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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
硫酸コバルト(II)
作成日 2010年3月31日
改訂日 2019年3月15日
改訂日 2022年03月15日
1.化学品及び会社情報
化学品の名称硫酸コバルト(II)
化学品の英語名称Cobalt(II) sulfate
製品コードR03-C-033-MHLW
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限触媒、磁気テープ、コバルト塩原料、蓄電池、メッキ用、塗料原料 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R4.3.15、政府向けGHS分類ガイダンス(令和元年度改訂版(Ver2.0))を使用 ※一部、ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
呼吸器感作性区分1
皮膚感作性区分1
生殖細胞変異原性区分2
発がん性区分2
生殖毒性区分1B
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分1(心臓、呼吸器系)
分類実施日
(環境有害性)
ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分2
GHSラベル要素
絵表示感嘆符健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有害
吸入するとアレルギー、ぜん(喘)息又は呼吸困難を起こすおそれ
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれの疑い
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による心臓、呼吸器系の障害
水生生物に毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
取扱い後は手をよく洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
 応急措置吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
口をすすぐこと。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名硫酸コバルト(II)
慣用名又は別名テトラオキシド硫酸コバルト(II)
硫酸第一コバルト
英語名Cobalt(II) sulfate
Cobalt(II) tetraoxidosulfate
Sulfuric acid, cobalt (2+) salt
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)CoSO4 (155.0)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号10124-43-3
官報公示整理番号(化審法)1-270
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
気分が悪いときは、医師の診察/手当てを受けること。
呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
眼に入った場合情報なし
飲み込んだ場合気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:咳。咽頭痛。息切れ。
眼:充血。痛み。
経口摂取:吐き気。嘔吐。腹痛。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項喘息の症状は、2〜3時間経過するまで現われない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静と経過観察が不可欠である。
この物質により、喘息の症状を示した者は、以後この物質に接触しないこと。
ばく曝露の程度によっては、定期検診を勧める。

5.火災時の措置
適切な消火剤周辺の火災時には、適切な消火剤を使用する。
使ってはならない消火剤情報なし
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質(硫黄酸化物、酸化コバルト)が放出される可能性がある。
特有の消火方法情報なし
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具を着用する。
密閉型防護服を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
呼吸用保護具を着用する。
必要に応じて適切な保護服または適切な化学防護服を着用すること。
漏洩区域外に避難する。
適切な保護対策がされていない場合は漏洩区域に入ってはいけない。
環境に対する注意事項環境汚染を引き起こすおそれがある。
この物質を環境中に放出してはならない。
漏出物を地面や河川や下水に直接流してはいけない。
封じ込め及び浄化の方法及び機材粉末の場合は、粉じんが飛散しないようにして取り除く。
こぼれた物質を、ふた付きの容器内に掃き入れる。
湿らせてもよい場合は、粉じんを避けるために湿らせてから掃き入れる。
残留分を、注意深く集める。
地域規則に従って保管・処理する。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
環境への放出を避けること。
粉じんの拡散を防ぐ。
作業衣を家に持ち帰ってはならない。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策取扱い後は手をよく洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
強酸化剤から離しておく。
安全な容器包装材料情報なし

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度0.02 mg/m3
許容濃度等
日本産衛学会(2021年版)許容濃度: 0.05 ppm(コバルトおよびコバルト化合物)
ACGIH(2022年版)TLV-TWA: 0.02 mg/m3(I; Inhalable particulate matter)(コバルトとして)
設備対策取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。
作業場では全体換気を行う。
設備は局所排気装置を用いる。
保護具
呼吸用保護具作業者が粉塵に暴露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。
防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。
-酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。
-防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具保護眼鏡を着用する。
皮膚及び身体の保護具保護衣を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
赤色
臭い無臭
融点/凝固点加熱分解する(GESTIS(2022))
沸点、初留点及び沸騰範囲データなし
可燃性不燃性(ICSC(2013))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点データなし
自然発火点データなし
分解温度735 ℃(ICSC(2013)、GESTIS(2022)、PubChem(2022))
pH<7.0(PubChem(2022))
動粘性率データなし
溶解度水: 36.2 g/100 ml(よく溶ける)(ICSC(2013))
水: 383 g/l(25℃)(GESTIS(2022))
n-オクタノール/水分配係数データなし
蒸気圧データなし
密度及び/又は相対密度3.71 g/cm3(25℃)(GESTIS(2022))
1.95 g/cm3(20℃)(GESTIS(2022))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性708 ℃まで安定。法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる。
危険有害反応可能性不燃性。735℃で分解する。火災時に、刺激性あるいは有毒な硫黄酸化物のフュームを生じる。粉塵は、強酸化剤と反応する。 火災や爆発の危険を生じる。
避けるべき条件
混触危険物質強酸化剤
危険有害な分解生成物硫黄酸化物

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットのLD50値が510 mg/kg および424 mg/kg(ATSDR(2004))に基づき区分4とした。

[なお、健康有害性に関しては塩化コバルト(II)(CAS:7646-79-9)も参照のこと]
経皮データなし。
吸入: ガスGHSの定義における固体である。
吸入: 蒸気データなし。
吸入: 粉じん及びミストデータなし。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性データなし。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性データなし。
呼吸器感作性種ーのコバルト化合物に曝露された労働者において、気管支喘息がこれまで認められている(CICADs 69(2006))ことに加え、EUではR42/43(EU-Annex I(2009))、産業衛生学会では第1群(産衛学会勧告(2009))にそれぞれ分類されていることから、区分1とした。
皮膚感作性健常人によるmaximization試験で25人中10人に硫酸コバルトによる感作誘発が認められたとする報告(DFGOT vol.23(2007))があり、日本産業衛生学会ではコバルトを皮膚感作性物質の第1群(「当該物質自体ないしその化合物を示すが、感作性に関与するすべての物質が同定されているわけではない」との但し書き有り)としている(日本産業衛生学会勧告(2008))ことから区分1とした。なおEU分類ではR42/43(EU-Annex I(2009))に分類されている。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
本物質及びその水和物のデータは(1)、(2)に限られるが、(3)、(4)より、本物質の潜在的な毒性は水溶性の2価コバルト化合物には共通した性質があると考えられることから、分類に利用可能なデータが最も豊富な塩化コバルト(II)の分類結果を適用し、区分2とした。旧分類からEUでGHS区分2相当に分類されたため、発がん性項目のみ見直した(2021年)。

【根拠データ】
(1)本物質について、in vitroでは細菌復帰突然変異試験では陽性、陰性双方のデータがあるが、in vivo のデータはない(AICIS IMAP (2014))。
(2)コバルト硫酸7水和物(CAS番号 10124-43-3)について、in vivoではラットの骨髄細胞を用いた染色体異常試験(単回強制経口投与、最大320 mg/kg)では陰性であった(AICIS IMAP (2014))。
(3)本物質は水溶性のコバルト化合物であり、2価の水溶性コバルトである塩化コバルト(II)(CAS番号 7646-79-9)のデータを利用することが可能である。これは両者とも体内に取り込まれた後、遊離した2価のコバルトイオンが有害作用を発揮する直接因子と考えられており、OECDのリードアクロスの原理が適用可能とされるからである(AICIS IMAP (2014)、ECHA RAC & SEAC Final Opinion (Background Doc.) (2020))。
(4)最も変異原性データが豊富な塩化コバルト(II)の本項は区分2である(政府によるGHS分類結果:2015年分類)。

【参考データ等】
(5)EUでは、本物質はMuta. 2に分類されている(REACH登録情報 (Accessed Oct. 2021))。なお、本物質は発がん性及び生殖毒性の分類区分からSVHCに指定されている(EU REACH SVHC Support Document (2010))。
発がん性コバルトおよびコバルト化合物として、IARCによりグループ2B(IARC 52(1991))に、日本産業衛生学会により第2群Bに分類(産衛学会勧告(2008))されていることに基づき区分2とした。なお、ラットおよびマウスに2年間吸入曝露した試験において、両動物種とも肺胞・細気管支腫瘍の発生頻度の増加が見られ、発がん性の明らかな証拠があると結論されている(NTP TR471(1998))。
生殖毒性【分類根拠】
実験動物データも本物質自体の生殖影響に関する情報は限られているが、本物質投与に関連した毒性影響は生体に吸収後のコバルトイオンに起因するものと考えられる。したがって、他の水溶性コバルト化合物の情報も本分類に利用することとした。ヒトへの影響については、(5)のように塩化コバルトの催奇形性は認められないと報告されている。(1)、(3)、(4)より水溶性コバルト化合物は雄に精巣毒性及び精子への有害影響を生じ、雌を受胎させる能力(授精能)を低下させる。(2)から、母動物に顕著な毒性がない用量でラット、マウスに胎児毒性及び催奇形性を生じる報告がある。以上、本物質を含む水溶性コバルト化合物では経口経路で雄生殖器官への有害影響や授精能の低下、並びに母動物毒性のない用量で催奇形性を示すことが報告されているため、本項は区分1Bとした。

【根拠データ】
(1)硫酸コバルト・七水和物(CAS:10026-24-1)をマウスに13週間吸入ばく露した試験では、3 mg/m3以上で精子の運動性低下、30 mg/m3で精巣及び精巣上体重量減少、異常精子の比率の増加が認められた(環境省リスク評価第11巻(2013)、NICNAS IMAP(Accessed Oct. 2018))。
(2)本物質を妊娠ラットに妊娠期間を通して強制経口投与した結果、母動物に軽微な影響(肝臓、副腎、脾臓の相対重量増加)がみられた100 mg/kg/dayよりも低い用量(25, 50 mg/kg/day)で、胎児の体重低値に加え、骨格・内臓の発達遅延、奇形(主に頭蓋、脊柱、腎盂、尿細管、卵巣、精巣に奇形)の増加がみられた。本物質50 mg/kg/dayを妊娠マウスの器官形成期(妊娠6〜15日)に強制経口投与した場合も、胎児に骨格の発育遅延、奇形(主に眼瞼、腎臓、頭蓋、脊椎)発生率の増加がみられた(環境省リスク評価第11巻(2013))。
(3)塩化コバルト(II)(CAS:7646-79-9)を雄マウスに12週間飲水投与後に無処置雌と交配させた結果、200 ppm(25 mg/kg/day)以上で吸収胚数及び生存胎児数減少、400 ppm(47 mg/kg/day)以上で妊娠雌数及び着床部位数の減少が認められた。雄には精巣・精巣上体等の重量減少、精巣及び精巣上体における精子数の減少、精子形成能の低下が認められており、妊娠雌数の減少は雄の授精能の低下に起因すると考えられている(環境省リスク評価第11巻(2013)、NICNAS IMAP(Accessed Oct. 2018)、厚労省初期リスク評価書(2009))。
(4)塩化コバルト(II)を雄マウスに72 mg Co/kg/dayで10週間飲水投与後に無処置雌と交配させた結果、投与群では妊娠動物数の減少、1腹当たりの生存胎児数の減少、及び同着床前死亡の増加がみられた。以上の結果は、雄の精子濃度の減少による受精率の低下による影響と考えられた。飲水投与し交配後の雄を6週間休薬させた回復群では、精子濃度は回復しなかったが、精子の運動量及び運動速度は正常レベルまで回復した(厚労省初期リスク評価書(2009))。

【参考データ等】
(5)ヒトにおける催奇形性は認められないとの報告、また出産時に抗貧血剤として塩化コバルトを服用した女性から産まれた新生児に臨床学的な変化は認められなかったとの報告がある(厚労省初期リスク評価書(2009))。
(6)EU CLPではRepr. 1Bに分類されている。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)データなし。なお、塩化コバルト(II)のデータとして、ラットによる強制経口試験では4.25 mg/kgにて自発運動、筋力、呼吸の低下が見られ(ATSDR(2004))、ヒトの影響として胸骨後部に痛み、耳鳴り、吐き気および嘔吐、神経性難聴、気管圧迫を伴う甲状腺過形成、粘液水腫、倦怠感などが記述されており(HSDB(2004))、水溶液を摂取した子供で赤血球の生成の抑制によるチアノーゼを起こし、昏睡および死に至ったとの記述がある(HSDB(2004))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)ヒトの影響として、1960年代前半から後半にかけ、欧米のビール会社で泡の安定剤として本物質がビールに添加され、そのビールを大量に飲んだ消費者が心筋症で死亡した例が多数報告され、原因は硫酸コバルトであった(CICAD 69(2006))との報告により区分1(心臓)とした。また動物試験では、ラットおよびマウスを用いた13週間の吸入曝露試験(0、0.3、13、10、and 30 mg/m3)で、両動物種とも咽頭の扁平化生(>=0.3 mg/m3)、咽頭・鼻・肺の慢性炎症(0.3〜1 mg/m3)を示し、高濃度(〜30 mg/m3)ではより重度の影響が見られ(CICADs 69(2006))、用量はガイダンス値範囲区分1に該当していることから、区分1(呼吸器系)とした。
誤えん有害性*データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)魚類(ファットヘッドミノー)の96時間LC50=3.6 mg/L(CICAD 69, 2006)から区分2とした。
水生環境有害性 長期(慢性)急性毒性区分2であるが、低濃縮性(BCF=<37(コイ、6週間)、既存点検, 1998)から、区分に該当しないとした。
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性化審法濃縮度試験:低濃縮性(濃縮度試験は硫酸コバルト(II)七水和物で行った。)(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号-
品名(国連輸送名)-
国連分類-
副次危険-
容器等級-
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*該当しない
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法特定化学物質第2類物質、管理第2類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2、5号)
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
危険物・酸化性の物(施行令別表第1第3号)
作業環境評価基準(法第65条の2第1項)
労働基準法疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
毒物及び劇物取締法該当しない
大気汚染防止法有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申)
水質汚濁防止法有害物質(法第2条、施行令第2条)
船舶安全法酸化性物質類・酸化性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法酸化性物質類・酸化性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・酸化性物質類(酸化性物質)(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」