職場のあんぜんサイト

安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
トリフェニルホスファイト
作成日 2009年3月30日
改訂日 2024年3月29日
化学品の名称トリフェニルホスファイト
化学品の英語名称Triphenyl phosphite
製品コードR05-C-058-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限プラスチック添加用酸化防止剤 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R6.3.29、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版 (Ver2.1))を使用  ※一部、ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
物理化学的危険性自己反応性化学品タイプG
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
急性毒性(経皮)区分4
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2B
皮膚感作性区分1A
分類実施日
(環境有害性)
H21.3.31、ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
環境に対する有害性-
GHSラベル要素
絵表示感嘆符
注意喚起語警告
危険有害性情報飲み込んだ場合や皮膚に接触した場合は有害
皮膚及び眼刺激
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
注意書き
 安全対策取扱い後は手をよく洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
 応急措置飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けんで洗うこと。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
 保管-
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性-

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名トリフェニルホスファイト
慣用名又は別名亜リン酸トリフェニル
英語名Triphenyl phosphite
Phosphorous acid, triphenyl ester
Triphenoxyphosphine
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C18H15O3P (310)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号101-02-0
官報公示整理番号(化審法)3-2501
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。医師に連絡すること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を多量の水と石けんで丁寧に洗浄する。ポリエチレングリコール 400と水で交互にすすぐことが推奨される。 最後に水と石けんで洗浄する。皮膚刺激が生じた場合は医師の診察/手当を受けること。
以上、GHS分類結果、GESTIS参照。
眼に入った場合多量の流水で10分間洗浄する。コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。眼の刺激が続く場合は医師の診察/手当てを受けること。
以上、GHS分類結果、GESTIS、ICSC参照。
飲み込んだ場合口をすすぐ。水を少しずつ飲ませる。嘔吐させないこと。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:わずかな刺激、咳、咽頭痛。
皮膚:痛み、発赤、軽度から重度の刺激。
眼:充血、痛み、軽度から重度の刺激。
経口摂取:粘膜の炎症。
吸収:興奮、落ち着きのなさ、調整障害、吐き気、嘔吐、振戦、強直間代けいれん、ChE 阻害。
以上、GESTIS、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、泡消火薬剤、二酸化炭素。
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤棒状注水
以上、GESTIS参照。
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質(リン酸化物)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。着火源となるものを遮断する。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項水域に対する危険性は大きい。地面や河川、下水への流出を避ける。少量でも流出した場合は、自治体に連絡する。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材すべての着火源を取り除く(現場での喫煙、火花や火炎の禁止)。
危険でなければ漏れを止める。
少量の場合、ウエス、雑巾等でよく拭き取り適切な廃棄容器に回収する。
大量の場合、盛土等で囲って流出を防止する。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
二次災害の防止策付近の着火源となるものを速やかに除くとともに消火剤を準備する。
火花を発生しない安全な用具を使用する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。容器を開けたままにしない。漏出を避ける。接触を避ける。粉じんの発生を避ける。使用する場合は十分な換気を確保すること。
機器類は防爆構造とし、設備は静電気対策を実施する。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
以上、GHS分類結果、GESTIS、日化協発行ガイドライン参照。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策皮膚や眼への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。蒸気またはミストの吸入を避ける。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。衣服との接触を避ける。汚染された衣類は交換し、注意深く洗うこと。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件容器を密閉し、涼しくて乾燥した換気の良い場所に保管すること。推奨保管温度: 室温。
以上、GESTIS参照。
安全な容器包装材料国連輸送法規、消防法で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度等
日本産衛学会(2023年版)-
ACGIH(2023年版)-
設備対策作業場所には換気設備を設置する。取り扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄のための設備を設け、標識を付ける。多量の物質を取り扱う場合は、緊急用シャワーが必要である。床に排水溝を設けないこと。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具必要に応じて状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用する。
防毒マスクの選択については、以下の点に留意する。
−防毒マスクは、電動ファン又は面体が国家検定合格品であることを確認し、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
−濃度に対応した・・・用吸収缶を使用する
注) ”…”の吸収缶は国家検定合格品又は日本産業規格(JIS T8152)に適合した物質に対応した吸収缶を記載します。SDS作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
−作業者が粉じんにばく露される環境で防毒マスクを使用する場合には、防じん機能付き吸収缶を使用する
−酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。
手の保護具適切な不浸透性の保護手袋を着用する。
保護手袋の選択については、厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」を参照のこと。
眼の保護具サイドガード付きの保護眼鏡を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具適切な保護衣または化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
無色〜淡黄色
臭い無臭〜快い臭い
融点/凝固点22〜25 ℃(GESTIS(2023)、ICSC(1998))
25 ℃(HSDB in PubChem(2023))
沸点、初留点及び沸騰範囲360 ℃(GESTIS(2023)、ICSC(1998)、HSDB in PubChem(2023))
可燃性可燃性、低引火性(GESTIS(2023))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点188 ℃(GESTIS(2023))
218 ℃(開放式)(ICSC(1998)、HSDB in PubChem(2023))
自然発火点データなし
分解温度>360 ℃(GESTIS(2023))
pH1 (20℃、濃度200 g/L)(GESTIS(2023))
動粘性率データなし
溶解度水: <0.1 mg/mL(68°F)(不溶)(HSDB in PubChem(2023))
水:(ゆっくり分解する)(GESTIS(2023))
エタノール、有機溶剤:(非常によく溶ける)(HSDB in PubChem(2023))
n-オクタノール/水分配係数データなし
蒸気圧データなし
密度及び/又は相対密度1.19 g/cm3(20℃)(GESTIS(2023))
1.18 (水=1)(ICSC(1998))
1.1842 g/cm3(20℃)(HSDB in PubChem (2023))
相対ガス密度>1 (空気=1)(HSDB in PubChem (2023))
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性強酸化剤、酸と激しく反応する。水と反応する。
危険有害反応可能性燃焼すると分解し、リン酸化物などの有毒なフュームを発生する。
酸化剤による部分酸化により、有毒なリン酸化物が放出される可能性がある。
水素化物などの強力な還元剤の存在下で、非常に有毒で可燃性のホスフィンガスを生成しやすい。
避けるべき条件火気、加熱、高温、静電気、火花、爆発性混合気の形成
混触危険物質強酸化剤、酸、還元剤
危険有害な分解生成物リン酸化物、ホスフィンガス

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットLD50 = 800-1600 mg/kg(PATTY(5th, 2001))から区分4 とした。
経皮ラットLD50 = ca. 1180-2900 mg/kg bw(IUCLID(2000))から区分4とした。
吸入: ガスGHSの定義における固体である。
吸入: 蒸気データなし。
吸入: 粉じん及びミストラットのLC50 = >1.7mg/L/4h(IUCLID(2000))とあり、判断できず分類できないとした。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性ウサギを用いた Draize Test により「中等度の刺激性 moderately irritating(IUCLID(2000))」を示し、更にEU分類においてXi; R36/38であることから区分2 とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性ウサギを用いた試験において、軽度の刺激性(slightly irritating)(IUCLID(2000))を示し、また、別途 Standard Draize Testにおいて軽度の刺激性(Mild)(RTECS(2007))と報告されている。さらにEU分類においてXi; R36/38であることから区分2B とした。
呼吸器感作性データなし。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)より、区分1Aとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2023年度)。

【根拠データ】
(1)マウス(n=4/群)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指数(SI値)は5.16(2.5%)、7.79(5%)、7.84(10%)であり、EC3値は1.4%(≦2%で区分1A)と算出されたとの報告がある(EU CoRAP (2019)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2023))。

【参考データ等】
(2)モルモット(n=20)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、皮内投与:5%溶液)において、惹起終了24、48時間後の陽性率はそれぞれ90%(18/20例)、95%(19/20例)であった(≧30%で区分1B)との報告がある(EU CoRAP (2019))。
生殖細胞変異原性マウスの経口投与による骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo 変異原性試験)で陰性の結果が得られている(IUCLID(2000))ことから区分に該当しないとした。なお、エームス試験(in vitro変異原性試験)の結果は陰性である。
発がん性データなし。
生殖毒性データなし。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)データなし。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)データなし。
誤えん有害性*データなし。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)データなし。
水生環境有害性 長期(慢性)データなし。
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号3077
品名(国連輸送名)環境有害性物質(固体)、n.o.s.
国連分類9
副次危険-
容器等級V
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報道路法、消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策道路法、消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*171
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和8年4月1日以降)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和8年4月1日以降)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)(令和8年4月1日以降)
作業場内表示義務(法第101条の4)(令和8年4月1日以降)
皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)-
毒物及び劇物取締法-
消防法第4類 引火性液体 第三石油類 非水溶性(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)
船舶安全法有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」
修正履歴
R6.3.29:
・危険有害性の分類について「皮膚感作性(分類できない→区分1A)」のみ見直した。
・SDS全般について表記の見直し・改訂をした。