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安全データシート
硫酸ヒドラジン
作成日 2010年2月1日
改訂日
1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称硫酸ヒドラジン、(Hydrazine sulfate )
製品コード21K2-098
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
緊急時の電話番号03-1234-5678
FAX番号03-1234-5678
メールアドレス    
推奨用途及び使用上の制限プラスチック発泡剤製造用、農薬
 

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日H21.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)を使用
物理化学的危険性火薬類区分外
 可燃性・引火性ガス分類対象外
 可燃性・引火性エアゾール分類対象外
 支燃性・酸化性ガス類分類対象外
 高圧ガス分類対象外
 引火性液体分類対象外
 可燃性固体区分外
 自己反応性化学品区分外
 自然発火性液体分類対象外
 自然発火性固体区分外
 自己発熱性化学品分類できない
 水反応可燃性化学品分類対象外
 酸化性液体分類対象外
 酸化性固体区分外
 有機過酸化物分類対象外
 金属腐食性物質分類できない
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
 急性毒性(経皮)分類できない
 急性毒性(吸入:ガス)分類対象外
 急性毒性(吸入:蒸気)分類できない
 急性毒性(吸入:粉じん)分類できない
 急性毒性(吸入:ミスト)分類対象外
 皮膚腐食性・刺激性分類できない
 眼に対する重篤な損傷・眼刺激性分類できない
 呼吸器感作性分類できない
 皮膚感作性区分1
 生殖細胞変異原性区分2
 発がん性区分2
 生殖毒性分類できない
 特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)区分1(神経系、肝臓)、区分3(気道刺激性)
 特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)区分1(肝臓、副腎)、区分2(腎臓、血液系、中枢神経系)
 吸引性呼吸器有害性分類できない
環境に対する有害性水生環境急性有害性区分1
 水生環境慢性有害性区分1
ラベル要素
絵表示又はシンボル感嘆符環境健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有害
 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
 遺伝性疾患のおそれの疑い
 発がんのおそれの疑い
 神経系、肝臓の障害
 呼吸器への刺激のおそれ
 長期にわたる、または、反復ばく露により肝臓、副腎の障害
 長期にわたる、または、反復ばく露により腎臓、血液系、中枢神経系の障害のおそれ
 水生生物に非常に強い毒性
 長期的影響により水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 【安全対策】
 取扱い後はよく手を洗うこと。
 この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
 適切な保護手袋を着用すること。
 使用前に取扱説明書を入手すること。
 すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
 適切な個人用保護具を使用すること。
 粉じん、ヒューム、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
 屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
 環境への放出を避けること。
 【応急措置】
 飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
 飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
 皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
 皮膚に付着した場合、皮膚刺激または発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯すること。
 ばく露またはばく露の懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
 ばく露した場合、医師に連絡すること。
 吸入した場合、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
 吸入した場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
 漏出物を回収すること。
 【保管】
 施錠して保管すること。
 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 【廃棄】
 内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報
 

3.組成及び成分情報
化学物質
化学名又は一般名硫酸ヒドラジン
別名ヒドラジン‐1,2‐ジイウム=スルファート、(Hydrazine-1,2-diium sulfate)
分子式 (分子量)H4N2H2O4S(130.1)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号10034-93-2
官報公示整理番号(化審法・安衛法)化審法:(1)-374の硫酸 ( (1)-430)塩
安衛法:
分類に寄与する不純物及び安定化添加物データなし
濃度又は濃度範囲100%
 

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
 気分が悪い時は、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合多量の水と石鹸で洗うこと。
 皮膚刺激または発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯すること。
目に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。
 眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
飲み込んだ場合口をすすぐこと。
 気分が悪い時は、医師に連絡すること。
予想される急性症状及び遅発性症状データなし
最も重要な兆候及び症状データなし
応急措置をする者の保護データなし
医師に対する特別注意事項データなし
 

5.火災時の措置
消火剤水噴霧、泡消火剤、乾燥砂類
使ってはならない消火剤棒状放水、炭酸ガス、粉末消火剤、ハロゲン化物
特有の危険有害性摩擦、熱、火花及び火炎で発火するおそれがある。
 粉じん又は煙霧は空気と爆発性混合気を形成するおそれがある。
 火災時に刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。
 熱により自己分解や自然発火を引き起こすおそれがある。
 蒸気又は粉じんが空気と爆発性混合気を形成するおそれがある。
特有の消火方法周辺火災の場合、移動可能な容器は速やかに安全な場所に移す。
 容器が熱に晒されているときは、移さない。
 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
 区域より退避させ、爆発の危険性により遠くから消火する。
消火を行う者の保護適切な空気呼吸器、防護服(耐熱性)を着用する。
 

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具および緊急措置全ての着火源を取り除く。
 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
 関係者以外の立入りを禁止する。
 密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項環境中に放出してはならない。
回収・中和漏洩物を掃き集めて空容器に回収し、後で廃棄処理する。
封じ込め及び浄化方法・機材水で湿らせ、空気中のダストを減らし分散を防ぐ。
二次災害の防止策すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
 プラスチックシートで覆いをし、散乱を防ぐ。
 

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項取扱い後はよく手を洗うこと。
 この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
 使用前に取扱説明書を入手すること。
 すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
 粉じん、ヒューム、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
 屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
 飲み込まないこと。
接触回避データなし
保管
技術的対策消防法の規制に従う。
混触危険物質データなし
保管条件換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 施錠して保管すること。
容器包装材料データなし
 

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度未設定
許容濃度 (ばく露限界値、生物学的ばく露指標)
日本産衛学会未設定(2008年度版)
ACGIH未設定(2008年度版)
設備対策この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
 ばく露を防止するため、装置の密閉化又は局所排気装置を設置すること。
保護具
呼吸器の保護具適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具適切な眼の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具適切な保護衣を着用すること。
衛生対策取扱い後はよく手を洗うこと。
 

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状固体(推定)
データなし
臭いデータなし
pHデータなし
融点・凝固点254℃ (access web-kis on sept.2009)
沸点、初留点及び沸騰範囲データなし
引火点データなし
自然発火温度データなし
燃焼性(固体、ガス)データなし
爆発範囲データなし
蒸気圧データなし
蒸気密度データなし
蒸発速度(酢酸ブチル=1)データなし
比重(密度)1.37 (access web-kis on sept.2009)
溶解度データなし
 データなし
オクタノール・水分配係数データなし
分解温度データなし
粘度データなし
粉じん爆発下限濃度データなし
最小発火エネルギーデータなし
体積抵抗率(導電率)データなし
 

10.安定性及び反応性
安定性法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる
危険有害反応可能性熱分解性 加熱すると分解して非常に毒性の強いSOxとNOxのガスを発する
避けるべき条件データなし
混触危険物質データなし
危険有害な分解生成物データなし
 

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットを用いた経口投与試験のLD50値670 mg/kg (BUA 205(1996)) 、601 mg/kg(HSDB(2005))との記述があるので、区分4とした。
経皮[ID56] ヒドラジン(CAS 302-01-2)について、ウサギを用いた経皮投与試験のLD50値が91 mg/kg (BUA 205(1996))との記述があるが、本物質そのもののデータではないので分類できない。
吸入吸入(ガス):GHS定義上の固体であるため、ガスでの吸入は想定されず、分類対象外とした。
 吸入(蒸気):[ID56] ヒドラジン(CAS 302-01-2)について、ラットを用いた4時間吸入ばく露試験のLC50値が0.35-0.76 mg/L(BUA 205 (1996))との記述があるが、本物質そのもののデータではないので分類できない。
 吸入(粉じん):データがないので分類できない。
皮膚腐食性・刺激性ヒトデータとして「志願者の皮膚をばく露した試験で、25%ヒドラジン硫酸塩又はその濃縮液を24 時間適用しても皮膚に対する刺激性をみとめなかった」(CERI・NITE有害性評価書(2004))との記述があるが、希釈液による24時間での試験データである。またウサギの外耳に本物質の浸漬綿球を24時間固定した試験では「肉眼的に観察できる症状はなし」(CERI・NITE有害性評価書(2004))との記述もあるが、いずれも1950年代の試験でありデータ不足なので、分類できない。
眼に対する重篤な損傷・刺激性ウサギを用い、角膜上皮を除いて0.02 mol濃度(0.26%相当)の希釈液を滴下した眼刺激性試験において、「損傷がなかった」とHSDB(2005)に記述があるが、化学品を透過しやすくするために角膜を除去して滴下するという過激な条件でかつ、希釈液での試験なので分類できない。
呼吸器感作性又は皮膚感作性呼吸器感作性:データがないので分類できない。
 皮膚感作性:「硫酸ヒドラジンを使用する工場従業員に、アレルギー性接触皮膚炎が生じた」(EHC 68 (1987))と記述されており、また、「ヒト感作性があり接触皮膚炎を生じる可能性がある」(BUA 205 (1996))との記述があるため、区分1とした。
生殖細胞変異原性in vivo遺伝毒性試験(マウスを用いた姉妹染色体分体交換試験)は陰性(BUA 205 (1996))であるが、ネズミチフス菌を用いたin vitro 変異原性試験は陽性 (EHC 68(1987))であり、ハムスターを用いた体細胞in vivo遺伝毒性試験においてDNAのメチル化(IARC 71 (1999))の記述がある。硫酸塩としてはin vivo変異原性試験のデータがないが、塩酸塩(CAS番号 2664-70-4)としては体細胞in vivo変異原性試験(マウススポット試験)で陽性(CERI・NITE有害性評価書(2004))である。本物質の水溶解度は塩酸ヒドラジンの1/10であるが、塩酸ヒドラジンと同程度の影響を細胞に及ぼすとみなして区分2とした。
発がん性IARCがヒドラジン類についてグループ2B(IARC 71(1999)、EHC 68(1987))、NTPがヒドラジン及び硫酸ヒドラジンについてR(NTP RoC(11th, 2005))と評価しており、IARCの分類を優先して区分2とした。 なお、本物質を動物に投与した試験について、ハムスターを用いた2年間飲水投与試験で肝細胞癌(IARC 71(1999))が報告されており、ラットおよびマウスを用いた反復強制経口投与試験で肺腺腫、マウスを用いた36週間強制経口投与試験において肝癌 (EHC 68(1987))が記述されている。
生殖毒性データがないので分類できない。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)ヒドラジンについてウサギを用いて致死量をもとめた経皮投与試験データがあり、考察として「ヒドラジンとヒドラジン硫酸塩は肝毒性及び腎毒性が主たる影響である」(BUA 205 (1996))との記述がある。これらの影響は区分1のガイダンス値の範囲内でみられたが、生存例での所見か否かは不明である。ヒトデータについては、[ID56] ヒドラジン(CAS 302-01-2)に関する事故事例として、CERI・NITE有害性評価書(2004)に1例は「爆発事故でやけどを負った労働者が、14時間後に昏睡、脳は活性低下等の神経症状を発症し、事故3日後に腎障害のない血尿、肝機能障害を示した」、もう1例は「蒸気に4-5時間ばく露した労働者で、吐き気、嘔吐、露出皮膚・結膜及び上部気道の局所刺激、肝臓毒性に関連した酵素値の大幅な上昇が見られた」旨の記述がある。このデータを本物質に適用することは問題ないので、区分1(神経系、肝臓)、区分3(気道刺激性)とした。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)がん患者に硫酸ヒドラジンを処方したいくつかの症例で「一部に中枢神経系の疾患が見られ、投与期間の長い場合には重症例として多発性神経炎症候群が見られた」(ATSDR(1997))旨の記述がある。しかし、「健常人ではないので、発現した症状は基礎的疾患による可能性がある」とまとめられているので、採用しない。一方、List2の情報源であるHSDB (2005)に、ヒトについて、「3〜4ヶ月間経口服用した男性が、肝性脳症、腎不全、重度凝血異常を示した」との記述、「7週間服用したヒトで重度脳障害が報告されている」との記述がある。動物については、マウスを用いた25週間経口発がん性試験で「非腫瘍性病変としては副腎の褐色変性が見られた」 およびハムスターを用いた15週間および20週間強制経口投与試験で「肝臓病変、細網内皮細胞増生、肝硬変、胆管増生が見られた」(EHC 68(1987))との記述がある。マウス、ハムスターともに区分1のガイダンス値の範囲内で影響が見られたので、区分1(肝臓、副腎)、区分2(腎臓、血液系、中枢神経系)とした。
吸引性呼吸器有害性データがないので分類できない。
 

12.環境影響情報
水生環境急性有害性ヒドラジン(CAS 302-01-2)の藻類(セレナストラム)72時間EC50=0.006mg/L(ECOTOX, 2007)から、区分急性1とした。
水生環境慢性有害性急性毒性が区分1、生物蓄積性が低いと推定されるものの(log Kow=-2.07(PHYSPROP Database、2005))、急速分解性がない(ヒドラジンのBODによる分解度:2%(既存化学物質安全性点検データ)から類推)ことから、区分慢性1とした。
 

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
汚染容器及び包装容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。
 

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報IMOの規制に従う。
航空規制情報ICAO・IATAの規制に従う。
UN No.2029 Hydrazine, Anhydrous
Proper Shipping Name.Hydrazine, anhydrous
Class8
国内規制
陸上規制情報消防法の規制に従う。
海上規制情報船舶安全法の規制に従う。
航空規制情報航空法の規制に従う。
特別安全対策移送時にイエローカードの保持が必要。
 食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
 重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号132
 

15.適用法令
労働安全衛生法健康障害防止指針公表物質(法第28条第3項・厚労省指針公示)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)新規指定化学物質(第2種)(平成20年11月21日公布、平成21年10月1日施行、PRTR:平成22年4月1日把握開始、平成23年4月1日届出開始) 硫酸ヒドラジン(政令番号:2-98)
消防法第5類自己反応性物質、ヒドラジンの誘導体(法第2条第7項危険物別表第1・第5類)
船舶安全法腐食性物質
航空法腐食性物質
 

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。