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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
一酸化二窒素 (別名: 亜酸化窒素)
作成日 2002年11月27日
改訂日 2006年05月27日
改訂日 2020年03月13日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称一酸化二窒素 (別名: 亜酸化窒素) (Dinitrogen oxide)
製品コードR01-B-039
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限医薬 (麻酔用)、冷媒、シリコンの酸化膜形成用、食品添加物 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R2.3.13、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性酸化性ガス区分1
高圧ガス高圧液化ガス
健康に対する有害性生殖毒性区分1A
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分3 (麻酔作用)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分1 (神経系、造血系)
分類実施日
(環境有害性)
H18年度、GHS分類マニュアル (H18.2.10版) (R1年度、分類実施中)
環境に対する有害性-
GHSラベル要素
絵表示円上の炎ガスボンベ感嘆符健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報発火又は火災助長のおそれ:酸化性物質
高圧ガス:熱すると爆発のおそれ
眠気又はめまいのおそれ
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、造血系の障害
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
衣類及び他の可燃物から遠ざけること。
バルブ及び付属品にはグリース及び油を使用しないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
火災の場合:安全に対処できるならば漏えい(洩)を止めること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。気分が悪い時は医師に連絡すること。
 保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
日光から遮断し、換気の良い場所で保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性気体は空気より重く、低くなった場所では、滞留して酸素欠乏を引き起こすことがある。

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名一酸化二窒素
別名亜酸化窒素
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)N2O (44.01)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号10024-97-2
官報公示整理番号
(化審法)
1-486
官報公示整理番号
(安衛法)
情報なし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。気分が悪いときは医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合凍傷の場合: 多量の水で洗い流し、衣服は脱がせない。医療機関に連絡する。
眼に入った場合数分間多量の水で洗い流し (できればコンタクトレンズをはずして)、医療機関に連絡する。
飲み込んだ場合口をすすぐこと。気分が悪いときは医師に連絡すること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入: 多幸感、嗜眠、めまい、意識喪失
皮膚: 液体に触れた場合: 凍傷
眼: 液体に触れた場合: 凍傷
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤情報なし
使ってはならない消火剤情報なし
特有の危険有害性不燃性だが、他の物質の燃焼を助長する。火災時に、刺激性あるいは有毒なヒュームやガスを放出する。火災及び爆発の危険性がある。
特有の消火方法情報なし
消火を行う者の保護自給式呼吸器、防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材危険区域から立ち退く。
専門家に相談する。
個人用保護具: 自給式呼吸器
換気する。
液体に向けて水を噴射してはならない。
液体の場合: おがくずや可燃性物質に吸収させてはならない。
圧力容器が漏出しているときは、気体が液状で漏れるのを防ぐため、洩れ口を上にする。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
衣類及び他の可燃物から遠ざけること。
バルブ及び付属品にはグリース及び油を使用しないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
建物内にある場合、耐火設備に保管する。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
日光から遮断し、冷所に保管する。
安全な容器包装材料高圧ガス保安法、国連危険物輸送勧告で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会 (2019年度版)-
ACGIH (2019年版)TLV-TWA: 50 ppm、90 mg/m3
設備対策密閉系、換気、防爆型電気設備及び照明設備を用いる。
保護具
呼吸用保護具呼吸用保護具を使用する。
手の保護具保温手袋を着用する。
眼の保護具呼吸用保護具と併用して、安全ゴーグル又は眼用保護具を着用する。
皮膚及び身体の保護具保護衣を着用すること。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態ガス (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色 (ICSC (2015))
臭い特徴的な臭気 (ICSC (2015))
融点/凝固点-90.8 (融点) (ICSC (2015))
沸点、初留点及び沸騰範囲-88.5℃ (ICSC (2015))
可燃性不燃性気体 (ホンメル (1991))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点該当しない
自然発火点データなし
(不燃性気体)
分解温度データなし
pH該当しない
動粘性率該当しない
溶解度水:1.2 g/L (20℃) (ICSC (2015))
n-オクタノール/水分配係数log Pow = 0.36 (PHYSPROP Database (2019))
蒸気圧4.29x104 mmHg (25℃) (PHYSPROP Database (2019))
密度及び/又は相対密度1.28 kg/L (液体の沸点において) (ICSC (2015))
相対ガス密度1.53 (空気=1) (ICSC (2015))
粒子特性該当しない

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性300℃以上で強酸化剤となり、還元剤及びある種の可燃性物質と 激しく反応し、火災や爆発の危険を生じる。
避けるべき条件混触危険物質との接触
混触危険物質還元剤、可燃性物質
危険有害な分解生成物分子中に窒素を含有しているため、火災等の場合は、一酸化炭素などの他、窒素酸化物系のガスなど毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
経皮【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: ガス【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
GHSの定義におけるガスであり、ガイダンスの分類対象外に相当し、区分に該当しない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
本物質単独でのin vivoデータはないものの、複数の指標のin vitro試験で陰性であったことから、専門家判断に基づき、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、本物質単独で行われた試験のデータはない。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のHPRT試験及び小核試験で陰性の結果がある (DFGOT vol.9 (1998)、ACGIH (7th, 2001))。

【参考データ等】
(3) in vivoでは、本物質とハロタン (CAS番号 151-67-7) をラットに同時ばく露した試験で骨髄、精原細胞の染色体異常誘発性の報告があるが、ハロタンは単独でも染色体異常誘発性を示すことから、本物質単独の染色体異常誘発性を明確に示すものではない (DFGOT vol.9 (1998))。
(4) 本物質へのばく露が明らかな疫学・職業ばく露データでは、労働者のリンパ球においてSCEの増加や染色体異常はみとめられなかった (DFGOT vol.9 (1998))。
発がん性【分類根拠】
(1) の既存分類結果から、ガイダンスに従い分類できないとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されている。
生殖毒性【分類根拠】
(1)〜(3) より、ばく露されたヒトに自然流産の増加がみられていることから区分1Aとした。

【根拠データ】
(1) 廃棄麻酔ガスにばく露された女性労働者で自然流産の増加が報告されている (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.9 (1998)、IPCS, PIM 381 (1991))。
(2) 歯科医院で麻酔ガスにばく露された女性歯科医、女性助手においても自然流産の増加が報告されている (ACGIH (7th, 2001))。
(3) 妊娠中にばく露された女性の子供における先天性異常の増加がみられたとの報告があるが、証明されていない (ACGIH (7th, 2001)、DFGOT vol.9 (1998)、IPCS, PIM 381 (1991))。

【参考データ等】
(4) 妊娠ラットを用いた吸入ばく露による発生毒性試験において高濃度 (50,000〜75,000 ppm) の24時間の連続ばく露で吸収胚増加、内臓奇形、骨格奇形の報告があるが、24時間/日未満の断続的なばく露では影響はそれほど顕著ではないか、検出できていない (DFGOT vol.9 (1998))
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)、(2) より、区分3 (麻酔作用) とした。

【根拠データ】
(1) 吸入ばく露では300,000 ppm以上で鎮痛作用、800,000 ppm以上で麻酔作用を示すとの記載がある (DFGOT vol.9 (1998))。
(2) 医療分野では国内外で古くから吸入麻酔薬として用いられており、日本薬局方に収載されている (食品安全委員会 添加物評価書 (2004))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)〜(3) より、ヒトにおいて神経系、造血系への影響があると考えられることから、区分1 (神経系、造血系) とした。情報源の情報を見直した結果、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 高濃度の本物質への長期間のばく露により、巨赤芽球性骨髄抑制や神経症状を引き起こすことがある (IPCS, PIM 381 (1991)、HSDB (Access on July 2019))。
(2) 本物質を鎮静剤として500,000 ppmの濃度で23日間ばく露した破傷風患者で、再生不良性貧血を伴う可逆性の骨髄抑制がみられた (DFGOT vol.9 (1998))。
(3) 本物質に重度にばく露 (10年間に3,000時間以上) された歯科医師で神経症状 (しびれ、刺痛、脱力感) がみられた (ACGIH (7th, 2001))。

【参考データ等】
(4) 本物質にばく露された歯科医師及び歯科衛生士で、肝臓及び腎臓病の割合が高いとの報告がある。一方、手術室スタッフ、病棟看護師、放射線技師及び医師を対象とした肝機能及び血液学的検査の結果、本物質を含む麻酔ガスへのばく露群と非ばく露群で有意差はなかったとの報告もある (ACGIH (7th, 2001)、Cohen et al., 1980、De Zotti et a., 1983)。
誤えん有害性*【分類根拠】
GHSの定義におけるガスである。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)データがなく分類できない。
水生環境有害性 (長期間)データがなく分類できない。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号1070
国連品名NITROUS OXIDE
国連危険有害性クラス2.2
副次危険5.1
容器等級-
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報道路法、高圧ガス保安法の規定に従う。
特別な安全上の対策道路法、高圧ガス保安法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*122
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【53 一酸化二窒素】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【53 一酸化二窒素】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)該当しない
毒物及び劇物取締法該当しない
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)【2 亜酸化窒素】
高圧ガス保安法圧縮ガス(法第2条1)【圧縮ガス】
航空法高圧ガス(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】1070 亜酸化窒素(圧縮されているもの)】
船舶安全法高圧ガス(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】1070 亜酸化窒素】
港則法その他の危険物・高圧ガス(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2イ 亜酸化窒素】
大気汚染防止法排出規制物質(有害物質) (法第2条第1項3、政令第1条)【5 窒素酸化物】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用