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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
4−ビニルシクロヘキサ−1−エン/4‐ビニル‐1‐シクロヘキセン
作成日 2002年 3月12日
改訂日 2006年10月30日
改訂日 2025年3月14日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称4−ビニルシクロヘキサ−1−エン/4‐ビニル‐1‐シクロヘキセン
化学品の英語名称4-Vinylcyclohex-1-ene
製品コードR06-B-071-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限難燃剤・塗料用樹脂・透明プラスチックポリマー原料(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
令和6年度(2024年度)、ガイダンスVer.2.1 (GHS 6版, JIS Z7252:2019) ※一部、平成18年度(2006年度)、マニュアル(H18.2.10版)(GHS 初版)
物理化学的危険性引火性液体区分2
健康に対する有害性急性毒性 (吸入: 蒸気)区分4
皮膚腐食性/刺激性区分2
発がん性区分2
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分2(呼吸器)、区分3(麻酔作用)
誤えん有害性区分1
分類実施日
(環境有害性)
平成26年度(2014年度)、ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分2
水生環境有害性 長期(慢性)区分2

GHSラベル要素
絵表示炎健康有害性感嘆符腐食性
注意喚起語危険
危険有害性情報引火性の高い液体および蒸気
吸入すると有害
皮膚刺激
発がんのおそれの疑い
呼吸器の障害のおそれ
眠気又はめまいのおそれ
飲み込んで気道に侵入すると生命に危険のおそれ
水生生物に毒性
長期継続的影響によって水生生物に毒性
注意書き
 安全対策熱、高温のもの、火花、裸火及び他の着火源から遠ざけること。禁煙。
容器を密閉しておくこと。
容器を接地しアースをとること。
防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。
火花を発生させない工具を使用すること。
静電気放電に対する措置を講ずること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
屋外又は換気の良い場所でだけ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”・・・”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”・・・”を適切に置き換えてください。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診察/手当てを受けること。
飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
無理に吐かせないこと。
漏出物を回収すること。
 保管換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
施錠して保管すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名4−ビニルシクロヘキサ−1−エン/4‐ビニル‐1‐シクロヘキセン
慣用名又は別名シクロヘキセニルエチレン
4−ビニルシクロヘキセン
4−ビニル−1−シクロヘキセン
英語名4-Vinylcyclohex-1-ene
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C8H12 (108)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号100-40-3
官報公示整理番号
(化審法)
3-2229
官報公示整理番号
(安衛法)
-
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)-

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で安静にさせる。
意識がないが呼吸がある場合は、横向きに安定した姿勢で寝かせ、低体温症から保護する。
呼吸が止まっている場合は、呼吸補助具(蘇生バッグなど)や口鼻蘇生法で人工呼吸を行う。口対口蘇生法は緊急事態の場合にのみ行う。
心停止(反応がなく、呼吸が正常でない)の場合は、直ちに胸骨圧迫と人工呼吸を行う。可能な場合は、自動体外式除細動器(AED)を使用すること。
医師に連絡すること。
気分が悪い時や呼吸に関する症状が現れた場合は、医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、ICSC参照。
皮膚に付着した場合自分自身を保護しながら、被害者を危険源から遠ざける。
直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。
皮膚に付着した部分を流水またはシャワーで洗い流したのち、水と石けん(鹸)で丁寧に洗浄する。
アルコール、ガソリン、その他の溶剤は絶対に使用しない。
被害者を静かな場所に横たえて休ませ、低体温症から保護する。
治療を手配する。
以上、GESTIS、ICSC参照。
眼に入った場合まぶたを大きく広げて流水で少なくとも10分間、患部を洗眼する。
以上、GESTIS、ICSC参照。
飲み込んだ場合口をすすぎ、液体を吐き出す。
何も飲ませない。
自然嘔吐の場合は、嘔吐物が呼吸器に侵入するのを防ぐため、頭を胸より低くし、うつぶせの姿勢にする。
医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状急性影響: 皮膚への刺激性影響、眼や気道への刺激性の可能性、中枢神経系障害
慢性影響: ヒトの生殖に毒性影響を及ぼす可能性があることが示されている。 ヒトで発がん性を示す可能性がある。
以上、GESTIS、ICSC参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤乾燥消火剤、泡消火薬剤、粉末消火薬剤、二酸化炭素
以上、GESTIS、ICSC参照。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性火災の場合、有害物質(一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法周囲の容器を水スプレーで冷却する。
可能であれば、容器を危険区域から移動する。
加熱すると圧力が上昇し、破裂や爆発の危険がある。
着火(発火)源を遮断する。
バックファイアに注意する。
防爆証明済みの機器のみを使用すること。
流出水が排水システムに入らないようにすること。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。
以上、GESTIS参照。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置すべての発火源を遮断する。
影響を受ける周囲に警告すること。
こぼれた液体は吸収剤(珪藻土、バーミキュライト、砂など)で吸収し、規制に従って廃棄する。
その後、周囲を換気し、こぼれた場所を洗浄する。
個人用保護具:空気中濃度に応じた有機ガスおよび蒸気用フィルター付マスク
以上、GESTIS、ICSC参照。
環境に対する注意事項容器とパイプラインにラベルを貼ること。
水、排水、下水、または地中への浸透を防ぐ。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材少量の物質の回収: ハロゲンフリー有機溶剤およびハロゲンフリー有機物質の溶液の回収容器に入れる。
収集容器にはラベルを貼ること。容器は換気の良い場所に保管すること。
専門家に相談する。
すべての発火源を取り除く。
下水に流してはならない。
この物質を環境中に放出してはならない。
換気をする。
残留液を、乾燥砂または不活性吸収剤に吸収させる。
地域規則に従って保管・処理する。
以上、GESTIS、ICSC参照。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
危険な爆発性の可能性は、リスク評価で評価する必要がある。
以上、GESTIS参照。
安全取扱い注意事項作業場を清潔で乾燥した状態に保つこと。
この物質は、作業に必要な量を超えて持ち込まない。
容器を開けたままにしないこと。
圧縮空気と一緒に輸送したり、圧縮空気を使用して輸送したりしないこと。
飛沫を避けること。
ラベルの付いた容器にのみ注入すること。
静電気放電に対する予防措置を講じる。
帯電できるすべての部品をアース(接地)する。
蒸気と空気の混合物は爆発性。
発火源(電気機器、裸火、熱源、火花など)から距離を置く。
作業エリアでの溶接はしないこと。
発火した場合、爆発の可能性がある。
裸火禁止、火花禁止、禁煙。 酸化剤との接触禁止。 密閉系、換気、防爆型電気設備および照明設備の設置。 充填、取り出し、取り扱い時に圧縮空気を使用してはならない。
以上、GESTIS、ICSC参照。
接触回避感染性、放射性、爆発性の物質
ガス
自然発火性物質
水と接触した可燃性ガスを放出する物質
硝酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムを含有する製剤。
有機過酸化物および自己反応性物質
この物質は、危険な化学反応が起こりうる物質と一緒に保管しない。
以上、GESTIS参照。
衛生対策眼、皮膚、衣類への接触を避けること。接触した場合は患部を洗浄する。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
使用後は手を洗うこと。
以上、GESTIS参照。
保管
安全な保管条件容器にはラベルを貼付すること。
できるだけ元の容器に保管すること。
容器を密閉すること。
推奨保管温度:2〜8℃
乾燥した場所に保管すること。
容器は換気の良い場所に保管すること。
物質は空気に敏感なため、空気/酸素から保護する。
内容物は不活性ガスの下に保管すること。
以上、GESTIS参照。
安全な容器包装材料消防法、国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度-
濃度基準値
八時間濃度基準値-
短時間濃度基準値-
許容濃度
日本産衛学会 (2024年度版)-
ACGIH (2024年版)TLV-TWA: 0.1 ppm、 0.44 mg/m3
設備対策取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄のための設備を設ける。
高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。
床に排水口を設置しない。
作業場での洗浄設備を設置する。
本物質を大量に取り扱う場合は、緊急用シャワーを設置すること。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具緊急時には、呼吸保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
手の保護具厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル」参照のこと。
必要に応じて適切な不浸透性の保護手袋を使用すること。着用する前に締まり具合を確認すること。手袋は取り外す前に十分に清掃し、換気の良い場所に保管すること。
次の材料は保護手袋に適している(透過時間>= 8時間): ニトリルゴム/ニトリルラテックス-NBR(0.35 mm)、フッ素炭素ゴム-FKM(0.4 mm)
以上、GESTIS参照。
眼の保護具必要に応じて安全眼鏡、保護面、安全ゴーグルなどの眼用保護具を着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具身体の保護リスクに応じて、適切な防護服または適切な化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体
データなし
臭いデータなし
融点/凝固点-108.9 ℃ (HSDB in PubChem (2024))
沸点、初留点及び沸騰範囲128 ℃ (760 mmHg) (HSDB in PubChem (2024))
130 ℃ (NFPA (14th, 2010))
可燃性可燃性 (HSDB in PubChem (2024))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界1〜5.9 vol% (NFPA (14th, 2010))
0.8〜9.1 vol% (空気中) (ICSC(2019))
引火点16 ℃ (Closed cup) (HSDB in PubChem (2024))
自然発火点269 ℃ (HSDB in PubChem (2024))
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率0.84 mm2/s (20℃)(粘度) (ICSC(2019))
0.69 mPa s (dynamic、20℃) (ECHA CHEM(2024))
溶解度水:50 mg/L (25℃水) (HSDB in PubChem (2024))
メタノール、エーテル、ベンゼン、石油エーテル:可溶 (HSDB in PubChem (2024))
n-オクタノール/水分配係数log Kow:3.93 (HSDB in PubChem (2024))
蒸気圧15.7 mmHg (25℃) (HSDB in PubChem (2024))
15 hPa (20℃) (ECHA CHEM (2024))
密度及び/又は相対密度0.8299 g/cm3 (20℃) (HSDB in PubChem (2024))
相対ガス密度3.76 (Air= 1) (HSDB in PubChem (2024))
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性引火性の高い液体。
蒸気は空気と爆発性の混合物を形成する。
物質は可燃性である。
以上、GESTIS、ICSC参照。
化学的安定性自発的に重合する傾向がある。
以上、GESTIS参照。
危険有害反応可能性通常の取扱い条件下では危険有害反応を起こさない。
避けるべき条件発火源(火気、加熱、高温、静電気、火花など)に近づけないこと。
混触危険物質接触して爆発する危険性: 酸化剤、酸素、空気、過酸化物
以上、GESTIS、ICSC参照。
危険有害な分解生成物火災の場合、有害物質(一酸化炭素と二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(5)より区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ラットのLD50:2,600 mg/kg(AICIS IMAP (2016)、厚労省リスク評価書 (2011))
(2)ラットのLD50:3.080 mL/kg [2,550〜2,563 mg/kg](AICIS IMAP (2016)、MOE初期評価 (2013)、ACGIH (2001)、DFG (MAK)(2000)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))
(3)ラットのLD50:6,700 mg/kg(AICIS IMAP (2016))
(4)ラットのLD50:6,300 mg/kg(ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))
(5)ラットのLD50:2,600〜3,080 mg/kg(NITE初期リスク評価書 (2008))
経皮【分類根拠】
(1)、(2)より区分に該当しない。

【根拠データ】
(1)ウサギのLD50:20 mL/kg [16,600〜16,640 mg/kg](AICIS IMAP (2016)、MOE初期評価 (2013)、ACGIH (2001)、MAK(DFG) (2000)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))
(2)ウサギのLD50:17,000 mg/kg(厚労省リスク評価書 (2011)、NITE初期リスク評価書 (2008))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
(1)より、ラットのLC50(4時間)は4,000 ppmと8,000 ppmの間にあると考え、区分4とした。(2)から試験空気は飽和蒸気圧濃度の90%よりかなり低く、ミストを殆ど含まない蒸気と考えられ、ppmVの単位を適用した。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した (2024年度)。

【根拠データ】
(1)ラットの死亡率(8,000 及び4,000 ppm、4時間):4/6例及び0/6例(ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))
(2)分子量(108.18)及び蒸気圧(15 hPa、20℃)(ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))より、飽和蒸気圧濃度及びその90%は14,851.5 ppm及び13366.3 ppmと算出される。

【参考データ等】
(3)ラットのLC50(ばく露時間不明):6,095 ppm [27,000 mg/m3])(AICIS IMAP (2016)、厚労省リスク評価書 (2011)、ACGIH (2001)、MAK(DFG) (2000)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))
(4)マウスのLC50(ばく露時間不明):10,610 ppm [47,000 mg/m3](同上)
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
データがなく分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)、(2)より区分2とした。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n= 6)を用いた皮膚刺激性試験(OECD TG404:原液0.5 mL、4時間閉塞、14日間観察)において、24/48/72hの平均スコアは紅斑2.56(フルスコア4)、浮腫1.17(フルスコア4)で、14日後の観察終了日まで刺激性変化は完全回復に至らなかった。また、適用局所には6日後に硬結と乾燥、8日から10日にかけて亀裂と痂皮の形成、及びその後に痂皮部の分離脱落がみられた。本物質は中程度の皮膚刺激性物質と判断された(ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024)、AICIS IMAP (2016))。
(2)ウサギの皮膚に原液を適用した試験で、中程度の刺激性がみられたとの報告がある(厚労省リスク評価書 (2011)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (2001)、MAK(DFG) (2000))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)より区分に該当しない。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n= 6)を用いた眼刺激性試験(OECDTG405:原液0.1 mL、適用後非洗浄、6日間観察)では、24/48/72hの平均スコア(フルスコア)は角膜混濁0 (4)、虹彩スコア0 (2)、結膜発赤1.33 (3)、結膜浮腫0.11 (4)で、結膜刺激性影響も6日以内に消失した。本物質は眼刺激性なしと判断された(ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024)、AICIS IMAP (2016))。

【参考データ等】
(2)1969年のウサギを用いた眼刺激性試験(原液0.5 mL適用)では、適用後に角膜の狭い領域に壊死がみられた(NITEリスク評価書(2008)、ACGIH (2001)、MAK(DFG) (2000)、厚労省リスク評価書 (2011))。なお、この知見について、NITEリスク評価書(2008)は詳細不明としている。
呼吸器感作性【分類根拠】
データがなく分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
データがなく分類できない。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)、(2)より、マウスリンフォーマ試験のS9存在下での陽性知見に対する影響評価が不十分のため、データ不足で分類できない。

【参考データ等】
(1)in vivoでは、ラット及びマウスの骨髄細胞を用いた2日間、又は13週間吸入ばく露(マウス:〜1,000 ppm(2日及び13週間)、ラット:〜1,500 ppm(13週間)、6時間/日)による小核試験では、いずれも陰性であった(NITE初期リスク評価書 (2008)、AICIS IMAP (2016)、RAC (Background Doc.) (2012)、厚労省リスク評価書 (2011)、ACGIH (2001)、 MAK(DFG) (2000))。
(2)in vitroでは、細菌を用いた3つの復帰突然変異試験(うち1試験はOECD TG471準拠、GLP適合)で代謝活性化系の有無にかかわらず陰性であった(AICIS IMAP (2016)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024)、RAC (Background Doc.) (2024))。一方、詳細は不明であるが、マウスリンフォーマ試験で陽性 (+S9) の報告がある(RAC (Background Doc.) (2012)、NTP CEBS (Accessed Sep. 2024))。
(3)本物質の主代謝物であるビニルシクロヘキセン・ジエポキシド(VCD:CAS登録番号 106-87-6)について、EU CLP (Accessed Sep. 2024) ではMuta. 2に分類されている。
発がん性【分類根拠】
ヒトの発がん性に関する情報はない。動物試験では(1)、(2)よりラットとマウスの試験結果があるが、(3)に記載のとおり雌雄ラット及び雄マウスでは早期の死亡が多いため、発がん性評価には不適切な結果とされ、雌マウスの卵巣腫瘍と副腎腫瘍の発生増加のみが有効とされた。雌マウスの卵巣腫瘍と副腎腫瘍は主に良性腫瘍の増加であり、また、(4)より作用機序の面からもヒトへの外挿性を正当化するにも知見が不足している。以上より、区分2とした。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた2年間強制経口投与(200及び400 mg/kg/day、5日/週)による発がん性試験において、雄の高用量群で皮膚の扁平上皮腫瘍の増加、雌の低用量群で陰核腺の腺腫と扁平上皮がん(組合せ)の僅かな増加が認められた(NTP TR303 (1986)、IARC 60 (1994)、RAC (Background Doc.) (2012)、MOE初期評価 (2013)、厚労省リスク評価書 (2011)、NITE初期リスク評価書 (2008))。本知見について、NTPは、生存率の減少が著しく、広範囲かつ早期の死亡例がみられたことから、発がん性評価には不適切な試験結果と評価している(NTP TR303 (1986))。
(2)マウスを用いた2年間強制経口投与(200及び400 mg/kg/day、5日/週)による発がん性試験において、雄で悪性リンパ腫の増加傾向、及び細気管支-肺胞上皮腺腫とがんの増加傾向がみられた。雌では卵巣の顆粒膜細胞腫瘍の発生率、及び卵巣の良性の混合型腫瘍の発生率に有意な増加が認められた。また、雌では副腎の腺腫の発生率に有意な増加傾向と高用量群における有意な増加が示された(同上)。本知見について、試験実施機関であるNTPは、雄マウスでは広範囲かつ早期の死亡例がみられたことから発がん性評価には不適切で、雌マウスのみ有効であると判断した(NTP TR303 (1986))。EUの評価でも、雌マウスの試験結果のみ有効であると結論されている(RAC (Background Doc.) (2012))。
(3)本物質の活性代謝物であるVCH-ジエポキシド(VCD)(CAS登録番号 106-87-6)は、マウスに卵巣腫瘍を発生させる。VCDはIARCによってヒトに対して発がん性がある可能性があると分類されている(グループ2B)。In vitro試験結果から、ヒト、マウス、ラットにおいて、VCHから発がん性ジエポキシド代謝物のVCDへの代謝経路は共通しているが、代謝酵素の活性には種間で量的な差異があり、また、VCDの解毒酵素について種差の知見がないなど、マウスの発がん性試験結果のヒトへの外挿性には不明な点があることから、ECHAのRACはCarc. 1B提案を退け、Carc. 2が妥当と結論した(RAC Opinion (2012))。

【参考データ等】
(5)国内外の評価機関による既存分類では、IARCでグループ2B(IARC 60 (1994))、ACGIHでA3(ACGIH (2001))、日本産業衛生学会で第2群B(産衛学会許容濃度等の勧告 (2023))、EUでCarc.2(CLP分類 (Accessed Sep. 2024))、DFGでカテゴリー2(List of MAK and BAT values (2024))に分類されている。

生殖毒性【分類根拠】
受胎能及び次世代の発生・発達に有害影響が認められなかったが、妊娠動物を用いた発生影響に関する情報がなく、データ不足のため分類できない。なお、新たな知見に基づき、分類を変更した(2024年度)。

【参考データ等】
(1)マウスを用いた強制経口投与(100〜500 mg/kg/day)による連続交配試験(F0:15週間投与(14週間連続交配)、F1:離乳後投与開始、平均74日齢から交配)において、F0及びF1雌雄親動物とも体重低値(F0雄を除く)がみられた高用量(500 mg/kg/day)まで、生殖能に対する有害影響はみられなかった。F1児動物では高用量群で低体重、F1雌雄親動物では同群で体重低値、肝臓相対重量高値に加えて、雄に精巣内精子数減少、雌に一次卵母細胞、成長期卵母細胞数及び胞状卵母細胞数の減少が認められた。しかしながら、F1世代も高用量まで受胎能を含め生殖能の指標に有害影響は認められなかった(NITE初期リスク評価書 (2008)、MOE初期評価 (2013)、RAC (Background Doc.) (2012)、厚労省リスク評価書 (2011)、ACGIH (2001)、IARC 60 (1994)など)。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)、(2)より区分2(呼吸器)、区分3(麻酔作用)とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)ラットに本物質蒸気を4,000 ppm(17.68 mg/L、区分2の範囲) で4時間ばく露後に肺に傷害がみられ、8,000 ppm(35.36 mg/L、区分2超) で生じた死亡例では肺に出血が認められた(AICIS IMAP (2016)、ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024)、MAK(DFG) (2000))。
(2)高濃度の蒸気にばく露された動物では、中枢神経抑制作用がみられる(Patty 6th. (2012)、GESTIS (Accessed Sep. 2024))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1)〜(4)より、区分2範囲で認められた腎臓の所見は、(5)より雄ラット特異的な所見と考えられ、ヒトには適用されない。旧分類が血液系及び腎臓の分類根拠としたヒトの有害性情報(引用元不記載)は、情報源からは得られなかった。以上、データを精査し分類結果を変更した(2024年度)。

【根拠データ】
(1)ラットを用いた13週間強制経口投与試験(50〜800 mg/kg/day、5日/週)において、雄では50 mg/kg/day(90日換算:36 mg/kg/day:区分2)以上で腎尿細管の硝子滴変性が認められた(MOE初期評価 (2013)、AICIS IMAP (2016)、RAC (Background Doc.) (2012)、厚労省リスク評価書 (2011)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (2001))。
(2)マウスを用いた13週間強制経口投与試験(75〜1,200 mg/kg/day、5日/週)において、区分2超の300 mg/kg/dayで雌2/10例が死亡し、1,200 mg/kg/day群では、雌雄に死亡(雄9/10例、雌5/10例)、雌に卵巣の一次ろ胞数及び成熟グラーフ卵胞数の減少(10/10例)が認められた(同上)。
(3)ラットを用いた13週間吸入ばく露試験(250〜1,500 ppm、5日/週)において、雄では250 ppm(1.11 mg/L)(90日換算:179 ppm(0.79 mg/L):区分2)以上で嗜眠(1,000 ppmを除く)及び腎尿細管の硝子滴蓄積の増加がみられた。区分2超の1,500 ppm (6.63 mg/L)(90日換算:1,074 ppm(4.75 mg/L))で雌雄に嗜眠、雌に卵巣の萎縮(2/10)がみられた以外は、肝臓、腎臓、精巣重量の変化がみられただけであった(MOE初期評価 (2013)、RAC (Background Doc.) (2012)、厚労省リスク評価書 (2011)、NITE初期リスク評価書 (2008)、ACGIH (2001))。
(4)マウスを用いた13週間吸入ばく露試験(50〜1,000 ppm、5日/週)において、区分2超の1,000 ppm(4.42 mg/L)(90日換算:716 ppm(3.16 mg/L))で雌雄に死亡(雄全例、雌8/10例)が認められた。剖検により、雄に胸腺の萎縮(3/10例)、雌に卵巣の萎縮(5/10例、全発育段階の卵胞の減少)がみられた(同上)。
誤えん有害性*【分類根拠】
(1)、(2)より区分1とした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を見直した。

【根拠データ】
(1)本物質は炭化水素化合物である。
(2)20℃での動粘性率は0.83 mm2/s との報告がある(ECHA CHEM (Accessed Sep. 2024))。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)甲殻類(オオミジンコ)による48時間EC50=1.87 mg/L (環境庁生態影響試験, 2000、環境省リスク評価第11巻, 2013、NITE 初期リスク評価書, 2008)であることから、区分2とした。
水生環境有害性 長期(慢性)慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(既存点検, 1985))、甲殻類(オオミジンコ)の21日間NOEC = 0.227 mg/L(環境庁生態影響試験, 2000、環境省リスク評価第11巻, 2013、NITE 初期リスク評価書, 2008) であることから、区分2となる。
慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく(BODによる分解度:0%(既存点検, 1985))、魚類 (メダカ) での96時間LC50 = 4.6 mg/L (環境庁生態影響試験, 2000) であることから、区分2となる。
以上の結果から、区分2とした。
残留性・分解性化審法分解度試験:難分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性化審法濃縮度試験:低濃縮性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
土壌中の移動性-
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書A〜C及びEに列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。


14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号1993
品名(国連輸送名)引火性液体、他に品名が明示されていないもの
国連分類3
副次危険-
容器等級II
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う
航空規制情報航空法の規定に従う
陸上規制情報消防法、道路法の規定に従う
特別な安全上の対策消防法、道路法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*128
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2024 Emengency Response Guidebook」に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで) 【462 4−ビニル−1−シクロヘキセン】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)【1647 4−ビニル−1−シクロヘキセン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、施行令別表第9)(令和7年3月31日まで)【462 4−ビニル−1−シクロヘキセン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2、労働安全衛生規則別表第2)(令和7年4月1日以降)【1647 4−ビニル−1−シクロヘキセン】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3) 
皮膚等障害化学物質(労働安全衛生規則第594条の2)
危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第一種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1) 【382 4−ビニル−1−シクロヘキセン】
毒物及び劇物取締法-
消防法第4類 引火性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類) 【2 第一石油類非水溶性液体】
大気汚染防止法有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申) 【173 4−ビニル−1−シクロヘキセン】
船舶安全法引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1)
港則法その他の危険物・引火性液体類(法第20条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・2024 Emengency Response Guidebook
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
・厚生労働省「皮膚障害等防止用保護具の選定マニュアル第1版」