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自動車整備業におけるリスクアセスメントのすすめ方

8.リスクアセスメントの導入・実施手順

5 リスクの見積り

「4 危険性又は有害性の特定」で特定された危険性又は有害性について、ここでは、「@労働者が危険性又は有害性に近づく頻度」、「A危険性又は有害性に近づいたときに、回避できない可能性」「B危険性又は有害性によって発生する、想定される最も大きな負傷又は疾病の重篤度」の3 つの要素によりリスクを見積ります。

リスクポイント =  @頻度 +  A可能性 +  B重篤度


@ 労働者が危険性又は有害性に近づく頻度

頻度 点数 内容の目安
頻繁 4 1日に1回程度
(10 回程度に1 回)
時々 2 週に1回程度
(50 回程度に1 回)
ほとんどない 1 半年に1回程度
(100 回程度に1 回)

留意事項

「頻度」と「可能性」の解釈を誤らないようにしましょう。
 「頻度」の解釈については、作業中に労働者が危険性又は有害性に近づく頻度のことで、作業頻度ではありません。

例えば、上図の台車を使った荷物の運搬作業を考えた場合、「頻度」は右図のように荷物が崩れて足元に落ちる頻度となります。台車と荷物をひもで縛って落ちにくくする対策を採れば頻度は低下します。
 また、「可能性」の解釈については、危険性又は有害性に近づいたときに、その危険などから回避できない可能性となります。上図の台車を使った荷物の運搬作業を考えた場合には、荷物が崩れて足元に落ちたときに、荷物から回避できない可能性となります。

A 危険性又は有害性に近づいたときに、回避できない可能性

可能性 点数 内容の目安
危険検知の可能性 危険回避の可能性
確実である 6 事故が発生するまで危険を検知する手段がない 危険に気がついたとしても、誰もが回避できない
可能性が高い 4 十分な注意を払っていなければ危険がわからない 危険に気がついたとき、回避できないことが多い
可能性がある 2 危険性又は有害性に注目していれば危険が把握できる 危険に気がつけば、回避できることが多い
ほとんどない 1 容易に危険が検知できる 危険に気がつけば、ほぼ回避できる

B 危険性又は有害性によって発生する、負傷又は疾病の重篤度

重篤度 点数 災害の程度・内容の目安
致命傷 10 死亡や永久的労働不能につながるけが
障害が残るけが
重傷 6 休業災害(完治可能なけが)
軽傷 3 不休災害(医師による措置が必要なけが)
軽微 1 手当後直ちに元の作業に戻れる微小なけが

加算して得られた「リスクポイント」から、下表の「リスク」が決まります。

リスク 点数
(リスクポイント)
優先度
M 12〜20 直ちにリスク低減措置を実施する必要がある。
(直ちに中止または改善する。)
L 9〜11 速やかにリスク低減措置を実施する必要がある。
(重大な問題がある早急な改善が必要です。)
K 6〜8 計画的にリスク低減措置を実施する必要がある。
(作業の改善が必要です。)
J 5以下 必要に応じてリスク低減措置を実施する。
(残っているリスクに応じて教育や人材配置が必要です。)

例) 作業者が、パンクしたチューブを修理しタイヤに空気を充てんしている時、タイヤが破裂したので、
タイヤホイールが飛び、頭部に激突し骨折する。

なお、自動車整備業における有害な化学物質、粉じん、騒音、暑熱のように、長期ばく露による健康障害のリスクを見積る手法例もあります。

リスクの見積り手法には様々な手法があり、指針では次のような代表的な3 つの手法を紹介しています。

  • 例1: マトリクスを用いた方法
  • 例2: 数値化による方法
  • 例3: 枝分かれ図を用いた方法

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