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労働災害事例

移動式クレーンを用いて、コンテナをつり上げ荷台に積み込む作業中、コンテナが傾き、転倒し、退避する際激突された

移動式クレーンを用いて、コンテナをつり上げ荷台に積み込む作業中、コンテナが傾き、転倒し、退避する際激突された
業種 清掃・と畜業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 移動式クレーン
災害の種類(事故の型) 激突され
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 作業方法の欠陥
発生要因(人) 職場的原因
発生要因(管理) 機械、装置等の指定外の使用

No.101369

発生状況

 被災者は、コンテナに入れられた廃棄物は、上部に木廃材、下部にコンクリート殻等が入っているものと考え、総重量が約1.8tであると推測し、コンテナの重量が移動式クレーンの定格荷重を超えていることを認識していたが、作業可能と判断した。尚、移動式クレーンの設置状況は、作業スペースの関係から、右側アウトリガー(運転席側)は最大張出で、左側アウトリガー(助手席側)は中間張出であった。
 被災者は、移動式クレーン正面に置かれたコンテナに玉掛け作業を行い、地上から約2mの高さまでつり上げ、右へ約45度旋回したところ、移動式クレーンがゆっくりと右側へ傾き始めたため、ジブを伏せ、コンテナを地面に下ろそうとしたが、間に合わず転倒した。
 被災者は、移動式クレーンの前方へ退避したが、退避する途中、移動式クレーンに接触する等、全身を打撲した。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 移動式クレーンの定格荷重(0.9t)に対し、約2倍の重量に当る1.8tのコンテナをつり上げ旋回動作を行ったこと。
2 移動式クレーンが傾き始めたとき、ジブを伏せたこと。
3 荷の重量が不明であったにもかかわらず、荷重計の確認を行わなかったこと。
4 作業場所が十分な広さを有していなかったため、片側のアウトリガーを最大張出としていなかったこと。
5 移動式クレーンを用いて行う作業について、適正な作業計画が定められていなかったこと。
6 吊り荷の重量が、移動式クレーンの定格荷重を超えていた場合の措置が、作業手順書に定められていなかったこと。

対策

 類似災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 移動式クレーンの定格荷重を超えて、荷のつり上げを行わないこと。
2 荷重計を用いて、荷の重量を確認すること。又は、過負荷防止装置の備え付けを行うこと。
3 吊り荷の重量に対し、十分な能力を有する移動式クレーンを使用すること。
4 移動式クレーンのアウトリガーを最大張出で使用し、作業場所の十分な広さを確保すること。
5 予め、当該作業場所における作業計画を策定し、転倒を防止するための措置を講じること。
6 関係者に対し、定期的に移動式クレーン使用時の技能向上教育及び安全衛生教育を行うこと。
7 作業手順書に、吊り荷の重量が移動式クレーンの定格荷重を超えていた場合の措置を定め、当該作業手順に基づく作業の徹底を図ること。