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労働災害事例

床上操作式天井クレーンを用いて鉄板を移動中、鉄板が揺れて配電盤との間にはさまれる

床上操作式天井クレーンを用いて鉄板を移動中、鉄板が揺れて配電盤との間にはさまれる
業種 金属製品製造業
事業場規模 16〜29人
機械設備・有害物質の種類(起因物) クレーン
災害の種類(事故の型) 激突され
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 作業箇所の間隔空間の不足
発生要因(人) 無意識行動
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

No.101263

発生状況

 この災害は、床上操作式天井クレーンを用いて鉄板を移動していたときに、鉄板が運転操作を行っていた被災者の方向に振れたため、その位置にあった配電盤との間にはさまれたものである。
 この会社は、金属板のロール曲げ加工等を行う金属製品の製造を行っており、被災者はケーシング材(土止め等に使用する円形の筒)の機械加工等を行っていた。
 当日、被災者は、予定した一日の作業を終えた後、翌日の準備作業として同僚とともに、鉄板を移動させる作業を行うことにした。
 作業は、鉄板(2.2m×8.1m×19mm、質量2.657t)の2か所にハッカーを掛け、被災者がペンダントスイッチ(上から「上→下→東→西→南→北」の表示となっている)でホイスト式天井クレーン(定格荷重2.8t)を操作して荷をつり上げ、南→西と運搬する予定であったが、南→東とペンダントを操作したため、荷が被災者の方向に振れて配電盤との間にはさまれた。
 なお、天井クレーンのガーダ下部には「東西南北」の方向表示があり、フックには外れ止め装置があったが、クレーンの定期自主検査は行われていなかった。また、玉掛け用ワイヤロープは2.5m×16mmのもので、端部にはハッカーがついていた。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  無資格者にクレーンの操作を行わせたこと
 被災者が操作したクレーンは、免許か特別教育の修了が必要であったが、被災者は免許(5t以上のクレーンの運転)を所有した者ではなく、また、クレーン取扱い業務等特別教育も受けてはいなかった。なお、会社では、特別教育を実施していなかった。
2  ペンダントスイッチの操作を誤ったこと
 ペンダントスイッチは、クレーンを多くの方向に動かせる機能を有していたが、被災者はその操作を誤った。また、ペンダントスイッチの操作を荷の近くで、かつ、配電盤の近くで狭い箇所で行った。
3  安全衛生教育を実施していなかったこと
 この会社では、従業員に対して労働災害防止のための安全衛生教育を実施しておらず、また、クレーンの運転に必要な資格等の確認も行っていなかった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  クレーンの運転は有資格者に行わせること
 事業者は、作業者をつり上げ荷重5t未満のクレーンの運転の業務に就かせる場合には、クレーン運転免許を所有する者か、クレーンの運転に係る特別教育を修了した者であることを確認する。(安衛法第59条第3項、第61条、安衛則第36条)
 そのため、事業者は、クレーンの運転を含め会社の作業に必要な各種の資格をチェックするとともに、有資格者をリストアップしておき、作業を指示する前にその確認を行う。
2  安全衛生教育を実施すること
 事業者は、クレーンを使用した作業を行う場合には、クレーンの運行経路の確保、運転者の位置、クレーンの定期自主検査の状況の確認と作業開始前点検の実施、荷の形状・質量等の確認などを明確に指示する。(クレーン則第34〜36条)
 また、安全衛生推進者を選任(工業的な業種で常時使用する作業者が10〜49人の事業場で選任義務がある。50人以上の場合は安全管理者、衛生管理者等の選任が必要)し、玉掛けワイヤロープの選定要領、玉掛け方法、運転方法等を含む安全作業手順等を定め、あらかじめ関係者に教育する。(安衛法第11条〜第12条の2、第59条第1項)