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労働災害事例

ドラグ・ショベルを積んだトラッククレーンが坂道を逸走し、崖下に転落

ドラグ・ショベルを積んだトラッククレーンが坂道を逸走し、崖下に転落
業種 砂防工事業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) トラック
災害の種類(事故の型) 飛来、落下
建設業のみ 工事の種類 その他の土木工事
災害の種類 クレーン等で運搬中のものが飛来・落下
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 老朽、疲労、使用限界
発生要因(人) 省略行為
発生要因(管理) その他

No.101089

発生状況

 この災害は、土木工事用仮設道路において、車両積載形トラッククレーンの荷台にドラグ・ショベルを積み込む作業中に発生したものである。
 災害発生当日、作業者Aは、工事現場でドラグ・ショベルをトラッククレーンに載せて移送するため、林道の平坦な場所にトラックを止め、アウトリガーを張り出してトラッククレーンの車体を20〜30度傾けた状態にして、鋼製の道板をトラックの荷台後部に架け、ドラグ・ショベルを自走させ荷台に載せようとしたが、前日の雨等によりドラグ・ショベルのゴム製クローラがスリップして道板を登れなかった。
 このため、Aは、林道から河川に通じる傾斜角16度の工事用仮設道路にトラッククレーンを坂の下に向けて駐車し、アウトリガーを張り出してトラックの車体をほぼ水平の状態にして、荷台後部に道板を架け、ドラグ・ショベルを運転して荷台に載せた。
 その直後、トラッククレーンが坂道を逸走して、右側の崖下に落ちて横転し、さらにドラグ・ショベルが荷台から転がり落ちて、Aはドラグ・ショベルのアームと地面の間にはさまれて死亡した。
 トラッククレーンの最大積載量は4tであったが、クレーンを取り付けていたため、荷台の積載量は、最大2.8tであったにもかかわらず、機体重量6tのドラグ・ショベルを積み込んだ。また、ドラグ・ショベルのゴム製クローラはすり減っていて、乾いた地面でもスリップすることがあった。
 さらに、Aは坂道にトラッククレーンを駐車した際、輪止め等の逸走防止をしていなかった。

原因

 この災害の原因として、次のようなことが考えられる。
1  トラッククレーンの荷台に最大積載量を超える荷を載せたこと
 坂道を逸走した車両積載形トラッククレーンは最大積載量4tのトラックにクレーンを取り付けたものであり、荷台の積載量は、最大2.75tであったのに対し、ドラグ・ショベルの機体重量は、6tであった。
2  坂道において、逸走防止措置を講じずにトラッククレーンの荷台に荷を載せる作業を行ったこと
 坂道に駐車した際、輪止め等の逸走防止措置を講じないまま、荷台に荷を載せる作業を行った。
3  ドラグ・ショベルのゴム製クローラがすり減っていたこと
 クローラがすり減っていたため、傾斜のある鋼製道板をスリップし、ドラグ・ショベルが登ることができなかったため、傾斜した仮設道路上で積み込むことになった。

対策

 同種災害防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  トラッククレーン荷台に、最大積載量以上の荷を載せないこと
 車両系積載形トラッククレーンの場合、トラック荷台の最大積載量は、クレーンを取り付けた時に減少しているので、これを考慮して荷を載せる。
2  トラッククレーン荷台への荷の積み込みは平坦な場所で行うこと
 やむを得ず傾斜地で荷の積み込みを行う場合は、輪止め等トラックの逸走防止措置をとった上で、積み込み作業を行う。
3  ドラグ・ショベルは、定期的に点検を行い、故障個所等は修理しておくこと
 ドラグ・ショベル等の車両系建設機械については、作業前の点検、月次検査、年次検査を定期的に実施するほか、工事現場に持ち込む前にも点検を行い、故障や消耗している箇所があれば、修理・部品の交換を行っておく。