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労働災害事例

つり足場の解体作業中、持っていた足場板が突風にあおられて、足場上から墜落し死亡

つり足場の解体作業中、持っていた足場板が突風にあおられて、足場上から墜落し死亡
業種 その他の建築工事業
事業場規模 1〜4人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 足場
災害の種類(事故の型) 墜落、転落
建設業のみ 工事の種類 その他の建築工事
災害の種類 足場から墜落
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 安全帯を備え付けていない
発生要因(人)
発生要因(管理) 保護具を使用していない

No.101085

発生状況

 この災害は、地上20mのビル屋上の塔屋部に設置された広告塔の鉄骨部塗装工事において発生した。
 塗装工事は、約3週間の工期で行われ、すでに広告塔鉄骨部の塗装をすべて終了し、残ったつり足場等の解体をZ社が請負っていた。
 災害発生当日は、工期の最終日に当たり、午前中に広告塔鉄骨からワイヤロープでつり下げられたつり足場の解体作業を行うこととなり、足場の組立等作業主任者であるAおよび作業者B〜Dの4名が従事した。
 作業は、Aの監視の下で、つり足場に乗った作業者BおよびCが長さ120cm、幅60cmの足場板を1枚づつ取り外して繊維ロープを結び、このロープを塔屋上にいるDが引き上げて塔屋上に仮置きする方法で行われ、南側の足場板から北側に向かって作業が進められた。BおよびCが5枚目の足場板を取り外し、Bが繊維ロープを結ぼうとしたとき突風が吹き、外した足場板が風であおられたため、Bはバランスを崩して地上まで墜落し、死亡した。
 災害が起きた現場には、ビル屋上から地上へ作業者が墜落したり資材が落下したりするのを防止するための防護柵や安全ネット等の措置は講じられていなかった。また、足場上で作業を行っていたBおよびCは、安全帯を着用していたが、親綱が設置されていなかったため使用しておらず、Aや現場にいた元請業者の現場責任者も墜落防止対策の実施や指導を行っていなかった。
 当日の天候は、晴天ではあったが、時おり強い風が吹いていた。

原因

 この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  作業者の墜落や資材の落下を防止する措置が講じられていなかったこと
 地上20mのビル屋上におけるつり足場の解体作業であり、作業者の墜落や資材の落下の危険があるにもかかわらず、防護柵や安全ネットの設置等、墜落・落下の防止措置が講じられていなかった。
2  足場の組立て等作業主任者が選任されていたにもかかわらず、安全帯を使用させて作業を行わせなかったこと
 現場には、足場の組立て等作業主任者が配置されていたが、作業者に安全帯を使用させるために親綱を張る等の措置が講じられておらず、作業者に安全帯を着用させて作業を行わせなかった。
3  元請業者の現場責任者による下請業者への指導が十分ではなかったこと
 つり足場の解体作業を行うときの安全対策について、元請業者の現場責任者が適切な指示や指導を下請業者に対して行っていなかった。
4  時おり強い風が拭いている中で高所における作業を行ったこと
 時おり強い風が吹き、作業者が墜落する危険が予想される状況下で作業を中止することなく、強行したため、作業者の墜落につながった。

対策

 同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  高所における工事では、墜落や落下の防止措置を講じること
 ビル屋上等、作業者の墜落や資材の落下のおそれがある高所での工事では、防護柵や安全ネットの設置等の墜落・落下防止措置を講じる。
 また、作業者が安全帯を使用できるよう親綱を張る等の措置を講じるとともに、作業者に安全帯を使用させるよう指導することも必要である。
2  つり足場の解体作業では、足場の組立て等作業主任者を選任するのみならず、その職務である次の事項を必ず行わせる必要があること
(1) 材料の欠点の有無を点検し、不良品を取り除くこと
(2) 器具、工具、安全帯等及び保護帽の機能を点検し、不良品を取り除くこと
(3) 作業の方法および労働者の配置を決定し、作業の進行状況を監視すること
(4) 安全帯等および保護帽の使用状況を監視すること
3  元請業者等の現場責任者は、危険な作業については下請業者に対する指導も行うこと
 元請業者等の現場責任者は、作業場所の巡視や元請と請負人との間、また請負人相互間における連絡・調整等を必ず実施し、つり足場の解体作業を行うときの墜落防止措置等、必要な安全対策についての指示、指導を行う必要がある。
4  悪天候のため危険が予想されるときは高所での作業を行わないこと
 つり足場の解体のように高所で作業を行う場合において、強風、大雨、大雪等の悪天候のため、作業者の墜落、資材の落下等の危険が予想されるときは、高所での作業は中止する。また、屋外で行われる工事は、悪天候により順延されることを考慮し、余裕を持った工期とする。