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労働災害事例

自動車部品のメッキ作業中に、リフターとチェーンコンベアとの間にはさまれ死亡

自動車部品のメッキ作業中に、リフターとチェーンコンベアとの間にはさまれ死亡
業種 めっき業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) エレベータ、リフト
災害の種類(事故の型) はさまれ、巻き込まれ
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 防護・安全装置がない
発生要因(人) 場面行動
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行

No.101053

発生状況

 この災害は、自動車部品のメッキを行う事業場で発生したものである。
 この事業場では、洗浄、亜鉛メッキ、水洗、乾燥、ベーキング(熱処理)加工、クロメート処理という一連の工程からなるメッキ作業を、常時3名の作業者で行っていた。
 災害発生当日、作業者Aを含む3名で朝からメッキ作業が開始され、Aは乾燥が終わった部品を籠に入れて、ベーキング炉へ搬送するコンベアに載せる作業を行っていた。
 午後2時頃、Aは、ベーキング炉からクロメート処理工程へ部品を搬送するチェーンコンベアと反転機能付き昇降リフターの下にベーキング加工された部品が落ちているのを見つけ、これを拾おうとリフターの下に入り込んだところ、リフターが降下し、リフターとチェーンコンベアとの間にはさまれた。Aは、すぐに病院に移送されたが死亡した。
 ベーキング炉からクロメート処理工程へ部品を搬送するチェーンコンベアとリフター(搬送ライン)は、災害発生の1ヶ月前に自動化されたもので、正常運転の場合、搬送ラインに作業者が近づくことはなかった。搬送ラインの周囲には「立入禁止」の表示はあったものの、柵等、周囲に作業者を立ち入らせないための設備はなく、作業者が立ち入ったときに搬送ラインを停止させる安全装置も設けられていなかった。
 また、搬送ラインの運転操作については、自動化された直後に、メーカーから作業者に説明があったが、事業場では、異常発生時の措置を含めた搬送ラインの操作についての作業手順書は作成していなかった。

原因

この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  搬送ラインの危険が放置されていたこと
 ベーキング炉からクロメート処理ラインへ部品を搬送するラインは、自動運転によりリフターが昇降し、チェーンコンベアとの間にはさまれる危険があったにもかかわらず、「立入禁止」の表示をしたのみで、作業者が危険箇所に近づけないように柵等の設置、作業者が危険箇所に立ち入ったときに搬送ラインが停止する安全装置の設置等の措置を講じていなかった。
2  搬送ラインの操作についての作業手順書を作成していなかったこと
 搬送ラインが自動化された時点で、メーカーによる作業者への説明は行われていたが、事業場として、点検の方法や異常発生時の措置について検討することはなく、搬送ラインの通常の運転操作や落ちた部品の回収作業等の非定常作業についての作業手順書を作成していなかった。

対策

同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  危険箇所へ作業者が接近することを防止する措置を講ずること
 自動運転される搬送ライン等の生産システムではさまれる等、作業者に危険を及ぼす箇所の周囲には、作業者が近づけないような柵等を設置するとともに、作業者がその内側に立ち入ったときにはラインが自動停止する安全装置を設ける。
2  異常発生時の措置を含めた作業手順書を作成すること
 自動運転される生産システムにおいても、通常の運転操作のみならず、機械設備の故障に伴う点検、落ちた部品の回収作業等の非定常作業を安全に行うための作業手順書を作成し、関係作業者に周知徹底する。