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プロパンガスメーターの取替え作業中、酸素欠乏症になる

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発生状況  この災害は、個人住宅のガスメーター取替え作業中に発生したものである。
 災害は集合プロパンガス供給方式となっている団地の個人住宅の敷地内で発生したが、この住宅のガスメーターは住宅の奥の方に取り付けられているため検針のときに不便であったことから、住宅の持ち主から移設の申し出があり、被災者が1月ほど前に下見を行って移設場所および移設方法を決定した。
 災害発生当日の午前11時30分頃から既設の埋設配管がある場所をスコップで深さ1m、広さ0.8m×0.7mの穴を掘り、既設配管を露出させた後、被災者はいったん現場を離れ、午後2時30分頃に戻ってきて移設の作業を再開した。
 手順は、まず新しいメーター取り付け用の配管を準備し、続いて穴の中に入って既設の配管(25mmの鋳鉄管)の両側を、ガスの漏れ止めテープを切断面に巻きながら金切鋸で切断し、切断が終了したところで、用意した新しい配管のカップリング切断面に突っ込みナットで締め付けるというものであった。
 午後3時頃、住宅の持ち主が作業の様子を見に行ったところ、ガスの臭いがして、被災者が穴の中で掘削面にもたれ掛るようにしてしゃがみ込み、眼を閉じて身体を小刻みに震わせていた。直ちに消防署に連絡し病院に移送したが、翌日に無酸素脳症のため死亡した。
原因 この原因としては、次のようなことが考えられる。
1  ガスの供給を止めずに作業を行ったこと
 このガスメーター移設作業は、集合供給方式を採っている団地内であったため、他の家庭への供給停止を避けるため、また、供給停止に伴う他の家庭への開始時および復旧時の連絡、確認の煩雑さを避けるため、ガスを供給したまま行われた。
 しかし、狭い掘削穴の中での作業であったため作業に手間取り、また、切断した配管からのガスをテープでは完全には封じることができなかったため、狭い掘削内にプロパンガスが充満し、酸素欠乏状態に至ったものと推定される。
2  呼吸用保護具を使用しなかったこと
 作業を行っていた場所の周囲には物置、塀があって通風が不十分な場所であったのに、強制換気あるいはホースマスクの使用を行っていなかった。
 なお、会社にはホースマスクの設備が1セット用意されていたが、同種工事で使用された実績はなく、また、会社から使用の指示もしていなかった。
3  酸素欠乏についての教育等を実施していなかったこと
 被災者は、会社の保安工事課長として作業者を指揮監督する立場にあったが、酸素欠乏に関する知識は無く、また、会社として酸素欠乏危険とその予防に関する教育を実施していなかった。
 なお、会社には、酸素濃度測定器も備え付けていなかった。
対策  同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  安全な作業手順を定めること
 プロパンガスは、気体比重が1.6であることから、穴の中等に漏洩した場合には低いところに滞留し、高濃度になると酸素欠乏症になるので、ガスの供給を行ったまま作業を行うことは避け、ガスの供給を遮断する作業手順を定め、関係作業者に徹底する。(酸欠則第23条の2関連)
 また、ガスの一時遮断による作業を原則とし、周囲の住宅に対する連絡、確認要領についても明確に定め徹底する。
2  酸素欠乏危険に関する教育を実施すること
 プロパンガスは、爆発危険のほか酸素欠乏危険があるので、メーターの取り付け・移設作業等に従事する作業員に対して、あらかじめ爆発危険および酸素欠乏危険とその防止策について十分な教育を実施する。(酸欠則第12条関連)
3  空気呼吸器等の準備と使用を徹底すること
 酸素欠乏危険等のある作業については、空気中の酸素濃度が18%以上になるように強制換気するとともに、必要に応じホースマスク等の空気呼吸器を使用させる。
 そのため、酸素濃度測定器、強制換気装置、空気呼吸器等を必要数準備し、保守管理を行うとともに、関係作業者に使用方法を教育する。(酸欠則第3,4,5,7条,5条の2関連)
4  安全衛生管理を十分に行うこと
 事業者は、受注した作業に関する危険有害性をあらかじめ検討する体制を整備し、作業手順書の作成、安全衛生教育の実施、必要な機器材の整備等を行う。
 また、作業開始前のKYK(危険予知活動)の導入などについて検討するとともに、経営トップは定期あるいは随時に作業現場を巡視し、必要な指示を行う。
業種 各種商品小売業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:0人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)
NO.100858
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