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タンクローリー内に入れた産業廃棄物の汚泥の量を確認する作業中、タンク内に滞留していたメタンガスが爆発

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発生状況
 この災害は、産業廃棄物処理場において、産業廃棄物を入れたタンクローリー内の汚泥の量を確認する作業中に発生したものである。
 このタンクローリーは、通称10トン車と呼ばれるタンクの容量が6,700リットルのもので、産業廃棄物処理場内で産業廃棄物を焼却処理する際に発生する汚泥状の焼却灰の一時仮置きとして使用していた。
 焼却処理する産業廃棄物は医療系産業廃棄物および一般産業廃棄物であり、一次燃焼室で焼却した灰混じりの高温の燃焼ガスを熱交換器により冷却していた。この冷却の際に熱交換器から漏れた冷却水が熱交換器下の灰出口に流れ込み、灰と混じり合って汚泥状となって溜まる。そのため、溜まった汚泥を定期的にタンクローリーに吸い込み一時的に仮置きしていた。
 災害が発生した日、被災者は、タンクローリー内の汚泥の量を確認するため、タンクのハッチを開けてタンク内部をのぞいたが周辺が夕暮れ時で薄暗くなっておりよく見えなかったので、ライターに点火して内部をのぞこうとしたときタンク内に滞留していたメタンガスに引火して爆発が起こり、吹き飛ばされて肺損傷による血気胸により死亡したものである。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1  焼却した廃棄物の灰に含まれていた有機物の加水分解の促進により生成されたメタンガスがタンク内に滞留していたこと。
 タンク内に入れられた灰混じりの汚泥は、2週間にわたってタンク内に仮置きされており、日中タンク内は高温で嫌気性の状態にあった。
 なお、事故後、この汚泥を分析したところ、メタンが9.3%含まれており、その他鉄、銅、アルミなどの金属類および相当量の有機物が検出された。
2  夕暮れ時の薄暗い構内で照明設備がなかったことから、可燃性ガスが滞留していたタンクの内部をのぞく際に、照明代わりにハッチ部でライターを点火したこと。
3  タンクローリーのタンク内に長時間灰混じりの汚泥を仮置きすることによって、汚泥が加水分解によりメタンガスが生成されるおそれがあることについての知識がなかったこと。
4  作業方法および手順についての作業手順書が作成されていなかったことから、作業員の判断により作業が行われていたこと。
5  小規模企業であったことから、作業手順、作業に対する安全教育などを組織的に実施する安全衛生管理体制がなかったこと。
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1  汚泥が密閉されて長時間保存されたときに発生するメタンガスなどの可燃性ガスの発生の機序、生成された可燃性ガスによる爆発の危険性およびその防止対策などについての安全教育を実施すること。
2  灰混じり汚泥の入ったタンクのハッチを開ける作業、タンク内の点検作業等で使用する照明器具は防爆構造のものを使用するなど使用する器材、保護具、作業方法などを定めた作業手順書を作成すること。
3  汚泥の仮置きの時間の短縮など仮置き方法に関する改善、仮置き中に発生する危険有害物を安全に除去する設備的な改善、危険有害ガスの検知および警報装置を備え付けるなどの措置が必要であること。
4  安全衛生推進者を選任し、その者に、施設、設備等の安全衛生点検、作業方法の点検、安全衛生教育に関すること、異常な事態における応急措置に関すること、安全衛生情報の収集などの業務を行わせること。
5  安全衛生教育の実施、作業手順の作成、設備的な改善など安全衛生対策を進めるに際して、安全・衛生コンサルタントなど外部専門家を委嘱し、アドバイスを受けることが効果的である。
業種 産業廃棄物処理業
事業場規模 5〜15人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 可燃性のガス
災害の種類(事故の型) 爆発
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:−
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 防護・安全装置がない
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 不意の危険に対する措置の不履行
NO.100844
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