アンケートにご協力お願いします。

木材加工工場の生産ラインの点検整備中にホルムアルデヒド中毒

  労働災害事例イラスト イラストをクリックすると拡大表示されます
発生状況
 この災害は、木材加工工場において発生したホルムアルデヒドによる中毒である。
 被災者の所属する会社は、主に木造住宅用部材の乾燥材、集成材の生産及び加工を行っているところで、被災者は集成材の製造等の作業、フォークリフトの運転等に従事している。
 災害発生当日の朝、被災者は、木材加工用機械作業主任者より集成棟1階の柏木製のフィンガージョイントライン(柏の木の端部を手の指状にカットし、そこに接着剤を塗布して木を縦に接着するライン)の使用開始前点検を行うよう指示された。
 被災者がこのラインの接着剤吹き付け装置の機能を点検したところ、接着主剤は出ていたものの、硬化剤は配管詰まり等のためかノズルから噴射されなかったので、木材加工用機械作業主任者に無線で連絡したところ、接着剤吹き付け装置を修理するよう指示された。
 被災者は直ぐに修理に取りかかり、装置に取り付けてある円筒型のタンクから主剤約23kg、硬化剤約27kgを抜き取り、ブラシ等を使用して配管及び当該装置以外のラインの機械に付着している接着剤の除去を行った。
 昼の休憩後に主剤、硬化剤をタンクに充填し、ノズルを取り付けてテストしたが噴射しなかったので、被災者は、ノズルを取り外してブラシを用いて詰まりを除去し、再度組み立てて作動させたところ、ノズルから接着剤が正常に噴射した。
 しかし、この頃から被災者は両足に力が入らなくなり、身体がだるくなってきたので椅子に掛けながら作業を行っていた。
 午後の休憩のときに、身体の具合が悪いことを作業主任者に申し出たところ、軽度の作業であるフィンガージョイントラインの監視を行うよう指示され、終業時刻までその業務を行って、帰路自家用車で病院に立ち寄り、風邪の診察を受け解熱剤をもらって帰宅したが、貰った薬を飲んでも熱が下がらず、膝から下の両下肢が痺れて立てなくなったので、妻の車で別の病院に行き診察を受けたところ、ホルムアルデヒドによる中毒と診断され、そのまま入院となった。
原因
この災害の原因としては、次のようなことが考えられる。
1 硬化剤にホルムアルデヒドが含まれていたこと
 被災者がフィンガージョイントラインの故障修理のため取り扱っていたノズル等に付着していた接着剤の成分は、主剤の中にはわずかのホルムアルデヒド(1%未満)であったが、硬化剤の中には11%を超えるホルムアルデヒドが含まれていたため、円筒タンクからの溶液の抜き出し、再充填あるいはノズルの掃除等の際に、その蒸気を吸入したことが第1の原因と考えられる。
2 防毒マスクを着用しなかったこと
 被災者は、修理作業中、風邪で咳が出ていて苦しかったので、会社で用意していた防毒マスクを着用していなかった。
 なお、被災者が作業を行っていた場所は、建物の1階で長さ81m、幅48m、高さ7.6mの空間を有していたが、全体換気装置等は設置されてはいなかった。
3 安全衛生管理を実施していなかったこと
 この会社には、特定化学物質作業主任者の資格を有する者がいたが、被災者が実施していた作業には関与せずに別の作業に従事していた。
 また、作業開始前に、被災者の身体状況等の確認も行っておらず、被災者が作業途中で作業の指示を行った木材加工用機械作業主任者に身体の異常を訴えたときに、その原因を確認する等の行為がなかった。
 さらに、有害な物質を含有する接着剤の除去作業等に関する作業手順がなく、労働者に対する安全衛生教育も実施していなかった。
対策
同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 有害なガス・蒸気にばく露されるおそれのあるときには十分な換気等を行うこと
 ホルムアルデヒド(ホルマリン)は、爆発範囲が7.0〜73%の爆発範囲を有するとともに、特定化学物質障害予防規則に定める第3類物質に分類されるもので、人体に対する影響としては、皮膚を刺激し、硬化、ひび割れ、潰瘍を生ずる、吸入すると粘膜が刺激されて咳が出る。慢性症状として肝臓、腎臓の障害が出る性状を有している。
 そのため、そのガス、蒸気を吸入するおそれのある作業を行う場合には、局所排気装置の設置、それが困難な場合にはガス、蒸気の性状に対応した防毒マスクの使用等を徹底する。(特化則第27、28条関連)
2 作業主任者等はその職務を確実に実施すること
 ホルムアルデヒドを取り扱う作業については、特定化学物質作業主任者を選任し、次の職務を行わせる。(特化則第22条関連)
(1) 労働者が特定化学物質により汚染され、またはこれらを吸入しないように、作業の方法を決定し、労働者を指揮すること
(2) 局所排気装置等の健康障害を予防するための装置を、1月を超えない期間ごとに点検すること
(3) 保護具の使用状況を監視すること
3 安全衛生教育等の安全衛生管理を実施すること
 身体に有害な物質等を取り扱う作業については、特定化学物質作業主任者を中心として、作業開始前に作業方法・手順、ばく露されないための措置等について十分な打合せを行わせるとともに、関係作業者に対してはあらかじめ危険有害性についての教育を実施する。
 また、その日の作業開始前に、労働者の健康状態を確認し、保護具の使用が困難な者等の就業は禁止する。なお、人体に有害な物質を取り扱う労働者に対して定期に健康診断を実施する。(特化則第39条関連)
業種 製材業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) その他の木材加工用機械
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)
NO.100766
このページのトップへ戻ります
アンケートにご協力お願いします。