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合成樹脂重合反応器から生成物をドラム缶に充填作業中、火災が発生し、作業者が火傷

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発生状況  この災害は、樹脂製造プラントにおいて重合反応器から合成樹脂製品をドラム缶に充填する作業中に、火災が発生したものである。
 充填作業は、台秤の上に載せたドラム缶の充填口に鉄製の漏斗を差し込み、ナイロン製とポリエチレン製のメッシュを2枚重ねた濾布を紐で縛り付けた重合反応器のドレン抜きノズルから、溶剤で希釈した合成樹脂を充填するものである。
 重合反応器のドレン抜きには接地線が取り付けられており、この接地線は台秤に接続され、台秤を接地していた。
 充填作業を始めてから10本のドラム缶への充填を終え、11本目のドラム缶への充填を始めたとき、反応器内の樹脂製品の残量が少なくなったので、反応器の攪拌翼の停止を依頼した。そして、充填中の11本目のドラム缶の場所まで1mほどの距離に近づいたとき、充填中のドラム缶の充填口に差し込まれている漏斗の下部で「ボッ」という音とともに発火し、重合反応器のドレン抜きノズルに縛り付けていた濾布に燃え移り、火がついて飛び散った濾布が被災者のヘルメットや作業服に付着し燃え始めたので、被災者は素手で払いのけたが、左手に火傷を負った。
 この発火により、重合反応器が設置されている工場の1階全体が延焼した。
原因  この災害は、合成樹脂製造プラントの反応器で重合された製品をドラム缶に充填する作業中に、火災が発生したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。
1
 重合反応器内で樹脂製品が攪拌されていたことにより樹脂製品に静電気が帯電していたこと。
2
 ドラム缶へ充填していた樹脂製品には、トルエン、酢酸エチルなどの引火性の物質を含有していたため、重合反応器のドレン抜きに縛り付けていた濾布の付近、ドラム缶充填口に差し込まれた漏斗の上部および漏斗挿入部付近、および充填中のドラム管内に溶剤の蒸気が滞留していたものと推定されること。
3
 重合反応器のドレン抜きノズル、ドラム缶、台秤は接地されていたが、ドラム缶への充填に使用していた漏斗は、ドラム缶充填口の縁周りが塗装されていたため、漏斗とドラム缶は電気的に絶縁状態にあったこと。
4
 重合反応器内で樹脂製品に帯電した静電気が漏斗を通過する際に、ドラム管内または漏斗周辺に滞留していた引火性の溶剤の蒸気に放電して着火したものと推定されること。
5  静電気対策についての対策が作業手順に示されていなかったこと。
対策  この災害は、合成樹脂製造プラントにおいて反応器から樹脂製品をドラム缶に充填する作業中に、火災が発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1
 ドラム缶への充填作業は、自動的に充填することのできる密閉系のシステムに改善することの検討が必要であること。
2
 液体の攪拌による帯電を防止するため、液体中に気泡、コロイド状溶解物などが混入しないように、また高速度で局部的に行わず、時間を掛けて広い範囲にわたって行うこと。
 また、充填に使用する濾布は、導電性のものを使用し、確実に接地すること。
3
 確実な接地効果が得られるように、接地抵抗を1,000Ω以下とすることが必要であること。また、接地線・接地端子については、機械的強度の高いもの、接触不良を起こさないように施工すること。
 また、台車のような移動型のものは、導電性のキャスターを使用するなど確実に接地することが必要であること。
4
 帯電防止用作業靴、帯電防止作業服を着用し、作業床としては鋼製床、帯電防止貼り床・塗り床・マット・カーペット等を使用すること。
5  静電気対策について作業手順に追加すること。
業種 無機・有機化学工業製品製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 引火性の物
災害の種類(事故の型) 火災
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 不安全な放置
NO.100719
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