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黄りんの精製作業中、硝酸液で暴走反応が起きて、反応器が爆発

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発生状況  この災害は、無機化学工業製品製造工場において、黄りんを精製するため、濃硝酸溶液中で黄りんを溶かして反応させる作業中、黄りんと硝酸とが異常反応を起こして処理槽が爆発し、作業者2名が死傷したものである。
 この企業では、黄りん中に含まれている微量の油分、ヒ素および硫黄を除去するため、濃硫酸および濃硝酸で処理するプロセスを新たに開発し、2年程前から開発研究を行っていた。これらのデータに基づき、事故発生の3箇月前から35リットルの硫酸および硝酸処理用のパイロットプラントによる実験を開始し、ほぼ所定の結果を得ることができた。そこで事故発生の1ヶ月前から800リットルの処理槽を用いて試運転を開始することとなった。
 事故発生日の2週間前に1回目の硫酸/硝酸処理を無事終了した。
 続いて、2回目の試運転を行うこととなり、事故発生3日前から黄りん230kgを硫酸槽で処理し、油分を除去した。        
 事故発生当日、この黄りんを硝酸処理のため、約27%濃度の硝酸約300kgが入っている処理槽に入れ、攪拌しながら約60℃まで加熱をしたところ、約10分後に硝酸処理槽が爆発し工場が破壊して、作業者が死傷した。
原因  この災害は、黄りん中に含まれる不純物を除去するため、濃硝酸溶液中に黄りんを溶かして反応させる作業中、黄りんと硝酸とが暴走反応を起こし、処理槽が爆発したものであるが、その原因としては、次のようなことが考えられる。
1 硝酸槽の初期設定温度が第1回目より13℃ほど高かったため、反応速度すなわち熱の発生速度が予想より大きくなったこと
2 硝酸処理槽の攪拌速度が第1回目の約2倍で回転させたため、黄りんが槽内に細かく分散し、反応速度が非常に大きくなったこと
3 硝酸処理槽をスケールアップしたときに、ジャケットからの熱の放出速度が大きく減少することを認識していなかったこと
4 硝酸槽内で異常な反応が生じたときの緊急冷却方法および緊急放出方法について検討がなされていなかったこと
5 自動制御を過信し、温度・圧力を作業員が直接監視していなかったこと
6 危険な化学反応を行うときの監視・連絡体制、警報体制など安全管理体制が不十分であったこと
対策  この災害は、黄りん中に含まれる不純物を除去するため、濃硝酸溶液中に黄りんを溶かして処理槽内で反応させる作業中、黄りんと硝酸とが暴走反応を起こし、処理槽が爆発したものであるが、化学反応工程における同種の暴走反応を防止するためには次のような対策の徹底が必要である。
1 化学反応の速度に影響を与える因子、たとえば、温度、濃度、攪拌機の回転速度など反応速度(発熱速度)に影響を与える因子について十分に検討しておくこと
2 危険な化学反応を行わせる場合は、その反応系が暴走状態になる危険性があるかどうか事前に把握しておくこと
3 スケールアップした時に安全に反応できる温度範囲を把握しておくこと
4 反応容器の冷却方式および緊急放出設備の妥当性について検討しておくこと
5 自動制御プロセスを採用した場合でも、作業員が反応温度、発生圧力の時間的な変化を確認する方法を明確にしておくこと
6 危険な反応を行わせるときには、暴走反応など緊急時の操作方法、他の作業員への連絡体制、避難方法について事前に定めておくこと。
業種 無機・有機化学工業製品製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 危険物、有害物等
災害の種類(事故の型) 爆発
被害者数
死亡者数:1人 休業者数:1人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人) 省略行為
発生要因(管理) その他
NO.100395
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