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工場付設の食堂の床清掃中、クリーナーの蒸気を吸引し、多数が有機溶剤中毒

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発生状況  この災害は、縫製工場の食堂内において、繊維用のしみ抜き剤(以下「クリーナー」という。)を用いて床の汚れを落とす清掃作業で発生したものである。
 災害発生当日、工場長の指揮のもと37名の労働者は、朝礼の後、午前8時40分から9時30分頃までの約50分間にわたって食堂内の清掃作業を行った。
 清掃作業の要領は、クリーナーを床にまいて金属タワシで磨く班、その後を布で拭き取る班及び台所用合成洗剤を用いてテーブルを拭く班の3班に分けて行われた。
 作業を開始してまもなく、午前8時45分頃から床を磨く第1班のほとんどの作業者が気分が悪くなって各自室外に退避したが、その後、室内の通気が多少改善されたこともあって、工場長は清掃を中止させないで予定通りこの作業を続けさせた。
 しかし、清掃作業終了時には、この作業に参加したほとんどの労働者が何らかの異常を訴えたため、全員を病院で受診させたところ、34名が有機溶剤中毒と診断され、そのうち11名が休業に至った。
原因  この災害の原因としては次のようなことが考えられる。
1 通気の悪い室で有機溶剤含有のクリーナーを使用したこと
 床の汚れ落としに、高濃度の蒸気を吸引すると吐き気、頭痛の症状から意識を失う程人体に有害な1・1・1−トリクロルエタンを95%含有するクリーナーを使用した。また、食堂は、外気に開放されている窓が小さくて自然換気が不十分であり、換気扇の換気能力も最大で15.9m3/分と小さなものであった。
2 防毒マスクを使用していなかったこと
 このクリーナーで床清掃業を行う場合には、有機ガス用防毒マスク等を使用させる必要があったのに、これらの防護具を使用させていなかった。
3 安全衛生管理体制の不備等があったこと
(1)工場長が有機溶剤作業主任者に選任されていたが、その職務を行っていなかった。
(2)第2種有機溶剤等についての労働衛生教育が行われていなかった。
(3)労働者から異常の訴えが出たのに作業を中止させたり、労働者を退避させる等の措置を講じなかった。
対策  この災害は、縫製工場付設の食堂内において、繊維用しみ抜き剤を用いて床の汚れを落とす清掃作業で発生したものであるが、同種災害の防止のためには、次のような対策の徹底が必要である。
1 有害性の事前確認を行うこと
 しみ抜き、汚れ落とし等の洗浄剤については、使用前にメーカー説明書等で含有成分、含有量、人体に対する有害性等を確認することが必要である。
2 必要な換気量を確保すること
(1)換気に必要な能力を有する設備を設置し、使用する。
(2)(1)の方法によっても必要な換気量を確保することができない時には、予定した洗浄剤の使用を中止し、有害性の低い代替物を使用する。
3 作業指揮者を選任し作業を行うこと
 有機溶剤業務を行う場合には、作業手順を定め、管理者による直接の指揮のもとで作業を行う。
4 使用する有機溶剤の有害性、健康障害防止について労働衛生教育を実施すること。
業種 その他の繊維製品製造業
事業場規模 30〜99人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:11人
不休者数:23人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 設計不良
発生要因(人) 危険感覚
発生要因(管理) 保護具を使用していない
NO.100181
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