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キュポラの炉内補修作業者が一酸化炭素中毒

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発生状況 この災害は、休止中キュポラ(溶銑炉)の炉内補修作業を行っていた作業者が隣接する稼働中キュポラの排ガスを吸入して一酸化炭素(CO)中毒に罹患したものである。
 当該事業場は、主に自動車部品用の特殊鋳鉄品を製造しており、鋳鉄の種類・工程に応じて、キュポラ、アーク式電気炉、高周波炉及び低周波炉を併設している。災害が発生したのは、2基一体型キュポラのうち休止中のNo.1キュポラの炉前である。
 災害発生当日、被災労働者は午前7時に出勤し、7時45分から正午までの間No.1キュポラ炉内の耐火レンガの取替え、煤等付着物の除去作業を行った。45分の昼休みの後、午後12時45分ごろから午前中の補修作業を再開し、炉前地面からの高さ1.75メートルの作業床に上っていたところ、急に気分が悪くなって12時55分ごろ自力で地上に降りたが、意識障害を起こして地上に倒れていたのを12時57分に職長が発見し、救急処置がとられた。
 このとき、No.1キュポラの5メートルの位置にあるNo.2キュポラは稼働中であり、この稼働中のキュポラからCOガスを含む排ガスが休止補修中のNo.1キュポラ炉内に流れ込み、補修作業をしていた被災者がこれを吸入したため一酸化炭素による中毒に罹ったものである。
原因 この災害の直接原因は、2基一体型のキュポラのうち稼働中のNo.2炉から一酸化炭素(CO)ガスを含む排ガスが休止補修中のNo.1炉内に流れ込み、補修作業をしていた被災者がこれを吸入したことによるものである。
 COガス発生設備は稼働中のNo.2キュポラである。設備の設計上は、このキュポラで発生したCOガスを含む排ガスはベルバルブを通り、集じん機で吸引されて本煙突から排出されるが、実際には排ガスの一部がNo.1キュポラのベルバルブを経由して、又は稼働中のNo.2キュポラから漏出した排ガスの一部がスポットクーラーから送給されて休止補修中のキュポラ内に流入したものとみられる。
 一酸化炭素は無色、無臭の気体で、血液中の血色素(ヘモグロビン)との親和性が大きく、血中のCO−Hb濃度が高くなると意識障害、昏睡、死亡に至る。本件災害では、被災者が意識障害ないし昏睡状態に陥ったことから、短時間に高濃度のCOガスを吸入したものと考えられる。
 また、間接的な原因としては以下の事項が挙げられる。
1 炉内補修作業を行うNo.1キュポラの換気が不十分であったこと。
2 補修作業開始前に同キュポラ内のガス濃度測定を実施していなかったこと。
3 COガスに有効な防毒マスクを使用させていなかったこと。
4 適切な安全衛生教育を行っていないこと。
5 安全衛生管理組織が十分には機能していないこと。
対策 鋳鉄用キュポラでは、炉内反応により一酸化炭素(CO)ガスが発生することは避けられない。また、機械・設備が老朽化すると、排ガスのすべてを集じん機で吸引して本煙突から排出できなくなる。特に、本件災害は、当事業場のキュポラが2基一体構造であるため、稼働中のNo.2キュポラからCOガスを含む排ガスが休止補修中のNo.1キュポラ炉内に流れ込み、補修作業をしていた被災者がこれを吸入したことによるものである。
 過去に重篤なCOガス中毒が発生していなかったこともあって、点検補修や換気が不十分であったため災害発生に至ったが、同種災害を防止するためには、次のような対策の徹底が望まれる。
1 作業場の安全衛生管理体制の整備
 (1) 安全衛生管理活動の活発化
(2) 安全作業手順書の整備と徹底
(3) 適切な安全衛生教育の実施
2 機械・設備の点検整備
3 適切なCOガス濃度測定と換気
4 その他のCOガスばく露作業対策
 (1) COガスに有効な防毒マスクの使用
(2) COガス発生危険の高い作業場所では単独作業は避けること
業種 自動車・同付属品製造業
事業場規模 100〜299人
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:0人 休業者数:1人
不休者数:0人 行方不明者数:0人
発生要因(物) 老朽、疲労、使用限界
発生要因(人) その他の職場的原因
発生要因(管理) 保護具の選択、使用方法の誤り
NO.1075
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