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労働災害事例

地下室内部の防水工事中に急性有機溶剤中毒

地下室内部の防水工事中に急性有機溶剤中毒
業種 木造家屋建築工事業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
建設業のみ 工事の種類 木造家屋建築工事
災害の種類 中毒
被害者数
死亡者数:− 休業者数:2人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.1003

発生状況

A社は、O邸新築工事において、地下室、浴室、屋外ベランダの防水工事を請け負った。工事の進捗状況の関係からまず、地下室の防水工事を行うことになった。
 災害発生当日は、午前9時30分ごろA社の作業者2名が現場に到着し、地下室の清掃作業と下地づくりのためのはつり作業を行った。はつり作業終了後、防水塗料の接着をよくするための定着剤X(キシレン60〜80%含有)の塗布作業を行った。
 午前11時30分ごろには定着剤の塗布作業が終了したので約1時間の休憩を取った。
 午後からの作業は、午後12時30分ごろ開始した。まず、ポータブルファン1台を1階床面に設置しダクトを地下室階段付近に置いて、換気の準備を行った。次に、定着剤Y(1.1.1−トリクロエタン10%含有)と定着剤Z(有機溶剤含有せず)をトルエン約1kgで溶解混合し防水塗料Hを調整した。
 その後、ローラバケを使用して、Hを塗布する作業を行った。午後9時になっても作業者2名が戻らないので現場監督が様子を見に行ったところ、2名が地下室階段付近に倒れているのを発見した。

原因

1 地下室の四方の壁及び床面に塗布された定着剤XとYから蒸発した有機溶剤(キシレン、トルエン、1.1.1−トリクロルエタン)が同室内に高濃度に存在したこと。
2 換気が十分でなかったこと。
3 送気マスク等呼吸用保護具を使用していなかったこと。
4 作業者の有機溶剤に対する認識が薄かったこと等があげられる。

対策

1 有機溶剤の発散面が広く、局所排気装置の設置がむずかしい場合には、十分な換気量を確保できる全体換気装置を設置すること。
2 作業者に対し、有機溶剤の特性、換気方法、保護具の使用等についての教育を十分行うこと。
3 送気マスク等呼吸用保護具に使用を徹底させること。