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労働災害事例

貯水槽建設工事において発生した一酸化炭素中毒

貯水槽建設工事において発生した一酸化炭素中毒
業種 その他の土木工事業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
建設業のみ 工事の種類 その他の土木工事
災害の種類 中毒
被害者数
死亡者数:− 休業者数:2人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.957

発生状況

本工事はZ社の倉庫敷地内に防火水槽を新設する工事であり、その内容は、地面に縦・横6.5m、深さ3.5mの穴を掘り、その中に縦・横4.5m、高さ3.5mの鉄筋コンクリート製の躯体を建造し、上面を除いて地中に埋め戻すものである。
 災害発生当時、工事はすでに躯体のコンクリート打設が終了し、コンクリートの硬化を待つ段階に至っていた。
 躯体の上面には直径60cmのマンホールが一箇所設けられており、硬化期間中の養生の目的で、躯体の上部をビニールシートで覆い、躯体の内外を練炭コンロで保温することになった。
 被災者Aと同僚Bは、災害発生日の5日前の15時頃から、練炭2個ずつを入れたコンロを掘削部(躯体の外側)に8個、水槽の内部(躯体の内側)に4個配置してから、水槽のマンホールに墜落防止の目的で木の板でフタをし、さらに躯体全体をビニールシートで覆った。
 練炭はおおよそ24時間で燃え尽きるため、2日後の朝、被災者Cがビニールシートをどけて躯体の外側の8個のコンロに練炭を補給した。
 さらにその2日後の災害発生日の前日には、コンクリートの硬化が完了したとの判断で、養生のビニールシートが外され、躯体の外側の型枠を解体する作業が行われた。
 災害発生当日は躯体内部の型枠を解体する予定で、朝8時15分より被災者A、C、同僚B、Dの4人が作業にとりかかった。
 最初に前夜降った雪を除雪し、Aがマンホールの上の木の板を取り除いて槽内に降りた。
 Aは直ちに型枠を外す作業にとりかかったが、5分くらい経ったところで気分が悪くなり、外へ出なければならないと思ったが気を失ってしまった。
 Cは除雪作業後マンホール部分の型枠を外していたが、槽内で音がしなくなったので中をのぞいたところ、Aが倒れているのを発見した。
 CはBとDにAが槽の内部で倒れていることを知らせ、自分は槽内に降りてコンロを外へ持ち出した。
 Bは事務所に事故を知らせ、その後Cと一緒にAを救助しようとしたが、その作業中にCが槽内で倒れ、自分も気を失いそうになったので、救助作業を中止して外へ脱出し、消防署に救助を求めた。
 20分後に消防隊員によりA、C2名は救出されたが、一酸化炭素中毒によりそれぞれ数日間休業した。

原因

1. 練炭を通風のない水槽内で燃焼させたため、練炭が不完全燃焼して一酸化炭素が発生したこと。
2. 槽内の換気を行わずに作業を開始したこと。
3. 作業者が一酸化炭素中毒に関する知識を有していなかったこと。
 が挙げられる。

対策

1. 練炭によるコンクリートの養生を行った場合には、一酸化炭素の発生が予想されるので、作業開始前に十分換気を行うこと。
2. 緊急時に適切な措置がとれるよう、安全衛生管理体制を確立すること。
3. 関係作業者に対して一酸化炭素中毒に関する労働衛生教育を実施すること。
 が挙げられる。