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労働災害事例

クリーンルーム内でのリン脂質製造作業中の急性肝炎発症

クリーンルーム内でのリン脂質製造作業中の急性肝炎発症
業種 その他の化学工業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:− 休業者数:2人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.886

発生状況

本災害は、脂肪酸を主原料としてリン脂質を合成する工程において、溶媒として使用しているメタノールとクロロホルムにばく露して発生したものである。
 作業は、脂肪酸等の原料と溶媒であるクロロホルムを反応器に入れて反応させた後、精製・濃縮を行うという工程にわかれ、全てクリーンルーム内で行われていた。
 このうち反応器にクロロホルムを入れる作業のように作業者が有機溶剤にばく露するおそれのある作業では、可搬式局所排気装置を稼働させるとともに、防毒マスクを着用することになっていた。
 作業には、5人の作業者が従事し、前述のようなばく露防止のための措置をとっていたが、このうち、新入社員の2人は本作業に配属されてから約1〜2カ月後に相次いで、肝機能に異常が認められ1か月程度の入院加療が必要となったものである。なお、他の3人には異常は認められなかった。

原因

[1] 有機溶剤作業主任者が選任されておらず、安全管理体制が不十分であったこと。
[2] 被災場所のクリーンルームに設置されている可搬式局所排気装置の外付け式フードの制御風速が法定基準に満たなかったこと。
[3] 被災者に対する雇入れ時の教育が不十分であったため、局排フードの位置やマスクの着用方法が適切でなかったこと。

対策

[1] 有機溶剤作業主任者を選任し、職務を行わせること。
[2] 可搬式局所排気装置のフードの形状を改良するとともに、法定の制御風速を確保すること。
[3] 有機溶剤業務に雇い入れたり、配置転換する場合には、必要な安全衛生教育を実施すること。