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有機ガス用防毒マスク吸収缶の破過によるメチルエチルケトン中毒

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発生状況 災害が発生した事業場は、熱硬化性樹脂成形材料を製造する事業場であり、次のような製造工程を有する。
[1] 調合工程:リボンブレンダーに10種類程度の原料を入れ、一定時間ブレンドする。
[2] ロール工程:原料をミキシングロール(ロール温度90℃〜130℃)に連続供給し、混練し、厚さ5mm、幅3〜5cmの帯状にして送り出す。
[3] 粗砕・粉砕工程:冷却コンベアー上で搬送中に常温に冷却され、送られてきたシートを粗砕機でチップ状にし、さらに、粉砕機で所要粒度まで粉砕し、コニカルブレンダーにためる。
[4] 包装工程:電磁除鉄機により除鉄したものを、秤量、袋詰めし、ダンボール箱に入れる。
 この製造工程では、製品を替える時、特に製品の色を替える時には、前の製品を製造した時の残りくずが混ざらないように、設備を清掃する作業があり、その頻度は、月に1〜2回である。清掃作業は、ほうきではいたり、布でふいたりして行うほか、ロール機、粗砕機、粉砕機等にこびりついたものは、メチルエチルケトンにより、ふき取っている。
 災害発生当日、被災者は、同僚2人とこの清掃作業を行っていた。被災者は、午前中、粉砕機の清掃を行っており、午後1時から、前記[3]粗砕・粉砕製造工程の粗砕機の清掃作業にとりかかった。粗砕機は、上部のホッパーと下部のロール部分とを切り離すことができる構造となっており、被災者は、その切り離しを行った後、図1のとおり、踏み台に乗り、ホッパー内部に身体を入れ、内壁の付着物をふきとる作業を行った。ホッパーの形状は図2のとおりであり、通風は不十分な状態であった。ふきとり作業は、メチルエチルケトンが3分の1くらいは入った18l缶に、ウエスを浸し、それを手に持って行った。被災者は、保護帽、安全靴、有機ガス用防毒マスク、ゴム手袋を着用していた。被災者は、途中からメチルエチルケトンのにおいに気付いていたが、午後3時の休憩時間まで作業を続けた。その後、休憩中に、被災者はめまいを訴え、病院に運ばれ、診断を受けたところ、有機溶剤中毒と診断され、そのまま8日間入院した。
 局所排気装置や全体換気装置は使用されていなかった。
 防毒マスクは、直結式小型の有機ガス用防毒マスクであり、午後の作業開始時に新しいものと取り替えたので、約2時間使用していたこととなる。
 有機溶剤作業主任者は、有機溶剤作業主任者講習を修了した者が選任されていた。
 被災者には、雇入れ時教育は行われていたものの、有機溶剤の有害性等については、ほとんど教育されていなかった。
 なお、災害発生後、作業を再現したところ、作業中のホッパー内部のメチルエチルケトンの濃度は、1,470ppmであった。
原因 [1] ホッパー内部等の通風が不十分な場所において、有機溶剤業務を行うに当たり、有機ガス用防毒マスクは使用していたが、ホッパー内部を換気する換気装置を設けていなかったこと。
[2] 有機ガス用防毒マスクを使用していたが、吸収缶の破過時間を超えていたため、有効に機能しなかったこと。
[3] 雇入れ時に、メチルエチルケトンの有害性及びその取扱い方法に関すること、保護具の性能及びその取扱い方法に関すること等について、十分な安全衛生教育が行われていなかったこと。
対策 [1] ホッパー内部を換気する換気装置を設け、作業者に有機ガス用防毒マスクを着用させること。
[2] 有機ガス用防毒マスクについて、吸収缶の破過時間を超えて使用しないこと。そのためには、使用時間を記録し、使用中のメチルエチルケトンの平均濃度に対応する破過時間に達する前に、新しい吸収缶に交換する必要があるが、それ以前であっても、メチルエチルケトンのにおいがしたら、新しい吸収缶と交換すること。また、予備の吸収缶を常時備え付けておくこと。
[3] 雇入れ時に、メチルエチルケトンの有害性及び取扱い方法に関すること、保護具の性能及びその取扱い方法に関すること等について、十分な安全衛生教育を行うこと。
業種 無機・有機化学工業製品製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)
NO.828
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