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洗浄機から漏えいした有機溶剤で中毒

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発生状況 本災害が発生した事業場は、回転砥石等の各種研削機を製造している。回転砥石には、アルミニウムの基板に研磨剤を固定して製造するタイプがあり、災害は、その基板を加工・洗浄する工程で発生した。工程は、
[1] アルミニウム素材からCNC(コンピュータ数値制御)旋盤によるボディの切り出し
[2] サンドブラストでの研磨
[3] 有機溶剤槽での洗浄
[4] 接着剤の塗布・乾燥
[5] 冷却
 といった一連の工程を一つの部屋で行っている。この部屋は、幅約25m、奥行約10mで、通路側は壁がない構造となっている。これらの工程は、ボディの切り出しを甲と乙の二名で、サンドブラストの研磨から冷却までを丙の1名で行っていた。
 洗浄工程で用いられる洗浄機は、かごに入れた材料を、洗浄剤(1、1、1−トリクロロエタン)を用いて自動で洗浄するものである。
 この機械は洗浄槽・蒸気槽・冷却配管から成り、洗浄槽では、かごごと洗浄剤に浸して超音波振動により洗浄し、次に蒸気槽で電熱ヒーターにより洗浄剤を加熱・気化させ、材料の洗浄の仕上げ・乾燥を行う。冷却配管は蒸気槽で気化した洗浄剤を冷却水により液化し、蒸気の拡散を防止している。さらに、その上部に、局所排気装置を設けている。洗浄機内には約1,000lの洗浄剤が入る。
 被災者甲はこの部屋でCNC旋盤を使用してアルミニウム素材の加工作業を行っていたが、午後の作業に入ってしばらくして、周囲に有機溶剤のにおいが漂い出した。周りを見回すと、においは洗浄機から流れてくるようであったが、被災者甲はそのまま旋盤の操作をしていた。また、乙は、他の用件があり、その作業場にはいなかった。
 そのころ、洗浄機の担当者丙も洗浄剤のにおいが漏れ出したことに気付き、上司を通じて機械保全担当者に点検を依頼した。
 その後、丙は付近の窓を開け、すぐに作業室から通路の向かいの扉のある室に避難した。
 一方、有機溶剤のにおいがさらに強くなってきたと被災者甲が感じたとき、どこからか避難するよう注意する声が聞こえたが、あたりを見回すと、乙も丙も見当たらなかったため、被災者甲はCNC旋盤の操作のプログラムを行ってから避難しようと考えた。そのころから気分が悪くなってきた。
 CNC旋盤のプログラムをセットし、通路を約30m走って避難したところで具合が悪くなり座り込んでしまった。
 被災者甲は2日間自宅で休養し職場に復帰した。
 調べたところ洗浄機の冷却配管のろ過装置が目詰まりを起こしており、冷却水が流れにくくなったため、冷却能力が下がり、液化しきれなくなった1,1,1−トリクロロエタンが洗浄機のかご搬入口から作業場に漏れ出していたことが分かった。
原因 (1) 冷却配管系が目詰まりを起こし、冷却装置が動作しなくなったことに加え、洗浄剤1,1,1−トリクロロエタンの蒸気が局所排気装置の能力を超えて拡散したために、洗浄機のかご搬入口より漏れ、作業場に充満したこと。
(2) 局所排気装置および冷却配管系の点検等を行っていなかったこと。
(3) 異常時の対応について、作業者に徹底していなかったため、直ちに避難しようとしなかったこと。
対策 (1) 冷却水の圧力計を点検しやすい位置に設け、正常値等を明示することにより、ゴミなどが詰まったときに迅速に対応できるようにすること。
(2) 局所排気装置、洗浄機等有機溶剤取扱設備の点検基準、取扱標準を定めて点検を行うこと。
(3) 異常時の対応について、作業者に対し、教育を行い、周知すること。
業種 機械(精密機械を除く)器具製造業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 有害物
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)
NO.793
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