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労働災害事例

サイロタンク内立入点検中に発生した酸欠災害

サイロタンク内立入点検中に発生した酸欠災害
業種 倉庫業
事業場規模
機械設備・有害物質の種類(起因物) 異常環境等
災害の種類(事故の型) 有害物等との接触
被害者数
死亡者数:− 休業者数:1人
不休者数:− 行方不明者数:−
発生要因(物)
発生要因(人)
発生要因(管理)

No.632

発生状況

災害の発生したA社は、45,950トンの総収容能力のあるサイロを保有する事業場である。
 Aの作業者である甲と被災者乙は、災害発生当日、大麦の検査に備えて、オーストラリア産大麦の保管状態を点検するよう、上司丙(酸素欠乏危険作業主任者)に指示された。
 甲と乙は、各サイロタンク内の大麦の保管状態を点検するため受入ノズル蓋を開いて、いくつかのサイロタンクを目視により点検していったところ、2号サイロタンク内の大麦に変色異常が認められた。そのためサイロタンク内に立入点検が必要と判断した甲は、丙にその旨を報告したところ、丙から、「サイロタンク内立入点検の際は、換気を十分に行うよう」指示された。
 2号サイロタンクは、高さ約27m、直径約7m、有効貯蔵容量960m3、有効貯蔵量700トンである。
 甲と乙は、2号サイロ屋上にあるエアレーション装置(吸引式20m3/min)の運転を開始した後、サイロの上部マンホール蓋を開き、照明灯をつり下げた。
 なお、このエアレーション装置は穀物の保管状態をサイロタンク内部温度と外温とを同一温度に保つための換気装置であり、吸引式ということで、実際にはサイロタンク内上部しか換気できない。
 乙は、受入ノズル口より縄ばしごで約3m下の貯蔵してある大麦の表面上へ降りた。そこへ甲はバケツのついたロープを降ろした。その直後、乙は縄ばしごの下でロープを握ったまま動かなくなり、おかしいと思った甲が話しかけたが返事はなかった。
 甲は、丙を呼んだが、かけつけた時、すでに乙は、うつぶせに倒れ、意識不明となっていた。
 その後消防署の救助隊に救助された乙は病院に送られたが、休業10日となった。

原因

[1] サイロタンク内の換気をエアレーションのみで行い、換気不十分のまま酸素欠乏危険場所に入ったこと。
[2] サイロタンク内の酸素濃度の測定を実施せず、酸素欠乏危険場所に入ったこと。
[3] 酸素濃度測定器は、会社事務所に備えていたが機能不良で使用できなかったこと。

対策

[1] 酸素欠乏危険場所において作業を行う場合は、その日の作業を開始する前に、当該作業場における空気中の酸素濃度を測定すること。
[2] 酸素欠乏危険場所において作業を行う場合は、当該作業場の空気中の酸素濃度を18%以上に保つように換気をすること。
[3] 酸素欠乏危険場所において作業を行わせる場合は、作業場における空気中の酸素の濃度を測定するのに必要な測定器具を備えるとともに、その性能等について酸素欠乏危険作業主任者が点検をすること。
[4] 作業者に対する酸素欠乏危険についての十分な教育を行うこと。
 等の措置を講ずることが必要である。