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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
2-ニトロトルエン
作成日 2006年05月15日
改訂日 2012年03月30日
改訂日 2021年03月12日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称2-ニトロトルエン (2-Nitrotoluene)
製品コードR02-B-010
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限染料中間体 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性自己反応性化学品タイプG
健康に対する有害性急性毒性 (経口)区分4
生殖細胞変異原性区分2
発がん性区分1B
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1 (血液系)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分2 (肝臓、血液系)
分類実施日
(環境有害性)
平成23年度、国連GHS文書(改訂4版)
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分2
水生環境有害性 (長期間)区分2
GHSラベル要素
絵表示感嘆符健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有害
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれ
血液系の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による肝臓、血液系の障害のおそれ
水生生物に毒性
長期継続的影響によって水生生物に毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名2-ニトロトルエン
別名1-メチル-2-ニトロベンゼン
o-ニトロトルエン
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C7H7NO2 (137.14)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号88-72-2
官報公示整理番号
(化審法)
3-437
官報公示整理番号
(安衛法)
情報なし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。医師に連絡すること。
人工呼吸が必要なことがある。
皮膚に付着した場合応急処置を行うときは、保護手袋を着用する。
洗い流してから水と石鹸で皮膚を洗浄する。
医療機関に連絡する。
眼に入った場合数分間多量の水で洗い流し (できればコンタクトレンズをはずして)、医療機関に連絡する。
飲み込んだ場合気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入: 頭痛、紫色(チアノーゼ)の唇、爪および皮膚、めまい、息切れ。
皮膚: 吸収される可能性あり! 他の症状については、「吸入」参照。
眼: 充血、痛み。
経口摂取: 腹痛。 他の症状については、「吸入」参照。
応急措置をする者の保護応急処置を行うときは、保護手袋を着用する。
医師に対する特別な注意事項この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要であるため、指示のもとに適切な手段をとれるようにしておく。
ばく露の程度によっては、定期検診を勧める。

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、泡消火薬剤、二酸化炭素
使ってはならない消火剤情報なし
特有の危険有害性可燃性。
酸または酸化剤と接触すると、火災および爆発の危険性がある。
特有の消火方法水を噴霧して容器類を冷却する。
消火を行う者の保護自給式呼吸器を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に防毒マスクを使用することとの記載あり)
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材この物質を環境中に放出してはならない。
漏れた液やこぼれた液を、密閉式の容器にできる限り集める。
残留液を、砂または不活性吸収剤に吸収させる。
地域規則に従って保管処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
環境への放出を避けること。
作業衣を家に持ち帰ってはならない。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
食品や飼料から離しておくこと。
密封し、床面に沿って換気すること。
排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵すること。
安全な容器包装材料消防法、国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会 (2020年度版)未設定
ACGIH (2020年版)TLV-TWA: 2 ppm, 11 mg/m3
(Skin; BEIM)
設備対策取り扱いの場所の近くに、洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。
高温下や、ミストが発生する場合は適切な局所排気装置・換気装置等を使用する。
保護具
呼吸用保護具状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に防毒マスクを使用することとの記載あり)
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具保護眼鏡や保護面を着用すること。
皮膚及び身体の保護具保護衣を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
黄色〜無色
臭い特徴的な臭気
融点/凝固点-10℃ (ICSC(2016))
沸点、初留点及び沸騰範囲222℃ (NFPA (14th, 2010))
可燃性可燃性 (ICSC (2016))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界1.47〜8.8 vol%(空気中) (ICSC (2016))
引火点95℃ (c.c.) (ICSC (2016))
自然発火点420℃ (ICSC (2016))
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度水:0.044 g/100 mL (20℃) (ICSC (2016))
n-オクタノール/水分配係数log Pow=2.3 (ICSC (2016))
蒸気圧0.02 kPa (20℃) (ICSC (2016))
密度及び/又は相対密度1.16 (水=1) (NFPA (14th, 2010))
相対ガス密度4.73 (空気=1) (NFPA (14th, 2010))
粒子特性該当しない

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性有毒なフュームを生じる。
火災や爆発の危険を生じる。
燃焼すると、窒素酸化物および一酸化炭素を生成する。
避けるべき条件混触危険物質との接触
混触危険物質強酸化剤、還元剤、酸または塩基
危険有害な分解生成物有毒なフューム、窒素酸化物、一酸化炭素

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1)〜(7) より、区分4とした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 890 mg/kg (EURAR (2008)、厚労省リスク評価書 (2009))
(2) ラットのLD50: 890〜2,546 mg/kg (MAK (DFG) vol.8 (1997)、AICIS IMAP (Access on April 2020))
(3) ラットのLD50: 891 mg/kg (EURAR (2008)、NTP TR504 (2002)、MOE初期評価第6巻 (2008))
(4) ラットのLD50: 1,610 mg/kg (EURAR (2008))
(5) ラットのLD50: 2,100 mg/kg (EURAR (2008))
(6) ラットのLD50: 2,546 mg/kg (EURAR (2008))
経皮【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: 5,000 mg/kg (AICIS IMAP (Access on April 2020))
(2) ラットのLD50: > 5,000 mg/kg (EURAR (2008)、MAK (DFG) vol.8 (1997))
(3) ウサギのLD50: > 20,000 mg/kg (EURAR (2008))

【参考データ等】
(4) ウサギのLD50 (単用量の試験): > 200 mg/kg (EURAR (2008))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における液体であり、区分に該当しないとした。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
(1)、(2) より、区分を特定できないため、分類できない。
なお、ばく露濃度が飽和蒸気圧濃度 (1.11 mg/L) よりも高いため、ミストとしてmg/Lを単位とする基準値を適用した。

【根拠データ】
(1) ラットのLC50 (4時間): > 1.795 mg/L (EURAR (2008))
(2) ラットのLC50 (4時間): > 320 ppm (1.795 mg/L) (AICIS IMAP (Access on April 2020))
(3) 本物質の蒸気圧:0.02 kPa (20℃) (ICSC (2016)) (飽和蒸気圧濃度換算値: 1.11 mg/L)
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)〜(4) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質はウサギの皮膚には刺激性はない (厚労省リスク評価書 (2009))。
(2) 本物質 (純度99.2%、0.5 mL) をウサギに4時間半閉塞適用した皮膚刺激性試験で、刺激性なし (Not irritating) と報告されている。その他、ウサギの皮膚に24時間適用した皮膚刺激性試験3試験において同様に刺激性なし (Not irritating) と報告されている (EURAR (2008)、AICIS IMAP (Access on April 2020))。
(3) 本物質は皮膚及び眼に対し刺激性を示さない (MAK (DFG) vol.8 (1997)、SIAP (1994)、GESTIS (Access on April 2020))。
(4) OECD TG 404類似のウサギを用いた皮膚刺激性試験(24時間閉塞適用)で刺激性を示さない (REACH登録情報 (Access on May 2020))

【参考データ等】
(5) 本物質は皮膚、眼、気道を刺激する (HSDB (Access on April 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
眼に入ると発赤や痛みを生じるとの記載 (3) もあるが詳細が確認できないため、実験のデータを優先し、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質はウサギの眼に入ると発赤や痛みを生じる (厚労省リスク評価書 (2009)、MOE初期評価第6巻 (2008))。
(2) 本物質 (純度99%、0.1 mL) をウサギの眼に適用した眼刺激性試験で、刺激性なし (Not irritating) と報告されている。その他、本物質 (純度不明、0.1 mL) ウサギの眼に適用した眼刺激性試験で、刺激性なし (Not irritating) と報告されている (EURAR (2008)、AICIS IMAP (Access on April 2020))。
(3) 本物質は皮膚及び眼に対し刺激性を示さない (MAK (DFG) vol.8 (1997)、SIAP (1994)、GESTIS (Access on April 2020)) 。
(4) OECD TG 405類似のウサギを用いた眼刺激性試験で刺激性を示さない (REACH登録情報 (Access on May 2020))。

【参考データ等】
(5) 本物質は皮膚、眼、気道を刺激する (HSDB (Access on April 2020))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)、(2) の記載はあるが、データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) 本物質のデータはなく、4-ニトロトルエン (CAS番号 99-99-0) のデータから、リードアクロスにより、感作性リスクはないと推定されている (REACH登録情報 (Access on May 2020))。
(2) 長期にわたる職業経験から、本物質は感作性を有しない (GESTIS (Access on April 2020))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分2とした。新たな情報を追加し、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、ラット精母細胞の不定期DNA合成試験では陰性の報告がある (IARC 101 (2013))。その他、げっ歯類の肝細胞を用いた不定期DNA合成試験及び肝細胞を用いたDNA付加体形成試験で陽性及び陰性の報告、げっ歯類の骨髄及び末梢血を用いた小核試験で陰性の報告がある (NTP TR504 (2002)、SIAP (1994)、IARC 101 (2013)、EURAR (2008)、NTP RoC (14th, 2016))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性の報告が多数ある。また、ほ乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性、小核試験で陽性、姉妹染色分体交換試験で陽性が報告されている(同上)。
(3)本物質を含むニトロトルエン類への職業ばく露により、本物質とヘモグロビンとの付加体形成、循環血中リンパ球における染色体異常、及び変異原性陽性尿 (mutagenic urine) が報告されている (同上)。
発がん性【分類根拠】
(1) の既存分類結果及び (2)、 (3) の実験動物の結果から区分1Bとした。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCで2A (IARC 101 (2013))、日本産業衛生学会で第2群A (産衛学会発がん性分類 (暫定) 提案理由書(2018))、NTPでR (NTP RoC (14th, 2016)) 、EU CLPでCarc.1B (EU CLP分類 (Access on April 2020))、MAK (DFG) で2 (DFG List of MAK and BAT Values 2019) に分類されている。
(2) ラットに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験で、雄で悪性中皮腫、皮下腫瘍、乳腺線維腺腫及び肝腫瘍の発生率の有意な増加、雌で皮下腫瘍及び乳腺線維腺腫の発生率の有意な増加が認められ、雌雄ラットにおいて発がん性の明らかな証拠が得られたと結論された (NTP TR504 (2002))。
(3) マウスに本物質を2年間混餌投与した発がん性試験で、雌雄で血管肉腫と大腸がん (盲腸)、雌で肝細胞腫瘍 (腺腫及びがん) の発生率の有意な増加が認められ、雌雄マウスにおいて発がん性の明らかな証拠が得られたと結論された (NTP TR504 (2002))。
生殖毒性【分類根拠】
データ不足のため分類できないとした。

【参考データ等】
(1) ラットを用いた強制経口投与による生殖毒性試験 (生殖毒性のスクリーニング試験) において、親動物毒性 (母動物の死亡 (3/12例) 、体重増加抑制、摂餌量減少、肝臓及び腎臓重量増加、精巣上体、精嚢、前立腺及び精巣重量減少) がみられ、母動物毒性による二次的影響としての胎児死亡がみられ、親動物毒性がみられない用量で児動物の成長遅延が認められた。成長遅延については、重篤度が不明であり、分類に使用できるのかそれともわずかな発達上の変化かは分からないと報告されている (EURAR (2008))。成長遅延についての重篤度が不明であることから、参考データとした。
(2) ラットを用いた1用量での強制経口投与による生殖毒性試験において、親動物毒性 (血液や脾臓、腎臓への影響) がみられたが、投与群と非投与群の受胎能に差はみられていない (AICIS IMAP (Access on April 2020)、EURAR (2008)、MOE初期評価第6巻 (2008))。
(3) ラットを用いた13週間混餌投与毒性試験において、雄で精子数減少、精子の運動性低下を伴う精巣の変性、雌では性周期の延長がみられている (AICIS IMAP (Access on April 2020)、EURAR (2008)、MOE初期評価第6巻 (2008))。
(4) マウスを用いた13週間混餌投与毒性試験において、雄で精子の運動性低下がみられている (AICIS IMAP (Access on April 2020)、EURAR (2008)、MOE初期評価第6巻 (2008))。
(5) EU CLP分類ではRepr. 2に分類されている。
(6) SIAP (1994) では、予備的な生殖毒性のスクリーニング試験で生殖影響は観察されていないとされている。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)、(2) より、区分1 (血液系) とした。新たな情報源の情報を加え、旧分類から分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質200 ppmに60分間ばく露されると重度の中毒症状を引き起こし、40 ppmでもばく露時間が長くなると同様の症状が出る可能性がある (EURAR (2008)、厚労省初期リスク評価:有害性評価書 (2009))。
(2) 実験動物の経口LD50はラットで890〜2,546 mg/kg、マウスで970〜2,462 mg/kg、ウサギで1,750 mg/kgであり、臨床所見はメトヘモグロビン生成に関連したものであった (EURAR (2008))。

【参考データ等】
(3) 窒素を含む芳香族化合物はメトヘモグロビン生成作用がある (ACGIH (7th, 2001))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1) より、区分2 (肝臓、血液系) とした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた105週間混餌投与試験における非腫瘍性病変として、625 ppm (雄/雌: 25/30 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雌雄で脾臓の造血細胞増殖、肺胞上皮過形成、雄で肝臓における好酸性巣、雌で肝臓における好塩基性巣と明細胞巣、乳腺過形成が、1,250 ppm (雄/雌: 50/60 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上の雄で肝臓における混合細胞巣と混合細胞浸潤、雌で肝臓における好酸性巣、骨髄過形成が、2,000 ppm (雄/雌: 90/100 mg/kg/day、区分2の範囲) の雄で肝臓における明細胞巣、雌で肝臓における混合細胞巣、下顎リンパ節過形成がみられた (NTP TR504 (2002)、EURAR (2008))。

【参考データ等】
(2) ラットを用いた13週間混餌投与試験において、625 ppm (雄/雌: 45/44 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で肝臓重量増加、1,250 ppm (雄/雌: 89/87 mg/kg/day、区分2の範囲) 以上で唾液腺の萎縮、雄で硝子滴腎症、包皮腺の萎縮が、区分2を超える用量で肝毒性を示す血液学的パラメータの変動、肝臓における細胞浸潤・空胞化、脾臓における色素沈着、髄外造血、雄で精子数減少、精子の運動性低下を伴う精巣の変性、雌では性周期の延長等が報告されている (NTP TR23 (1992)、ACGIH (7th, 2001)、EURAR (2008))。
(3) ラットに332 mg/kg/dayを30日間経口投与した試験 (被験物質の純度不明) で、スルホヘモグロビン血症と血液凝固時間の延長がみられたとの報告があるが、テストガイドラインに準拠していない非GLP試験であり、EURARではNOAELの決定には不適切としている (EURAR (2008))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。本有害性項目の内容に変更はない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)甲殻類 (オオミジンコ) の48時間EC50 = 5.4 mg/L (環境省リスク評価第6巻 (2008)他) から、区分2とした。
水生環境有害性 (長期間)急速分解性がなく (4週間でのBODによる分解度: 0.5% (既存点検 (1977)) 、甲殻類 (オオミジンコ) の21日間NOEC = 0.5 mg/L (環境省リスク評価第6巻 (2008) 他) であることから、区分2とした
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号1664
国連品名NITROTOLUENES, LIQUID
国連危険有害性クラス6.1
副次危険-
容器等級K
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質有害液体物質 (Y類物質)
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報消防法の規定に従う。
特別な安全上の対策消防法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*152
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【426 ニトロトルエン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【426 ニトロトルエン】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
作業場内表示義務(法第101条の4)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【315 オルト−ニトロトルエン】
毒物及び劇物取締法-
化学物質審査規制法旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項)【旧番号990 o−ニトロトルエン(平成23年4月1日をもって廃止)】
消防法第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1)【5 第三石油類非水溶性液体】
航空法毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】1664 ニトロトルエン(液体)】
船舶安全法毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】1664 ニトロトルエン(液体)】
港則法その他の危険物・毒物類(毒物)(法第21条第2項、規則第12条、危険物の種類を定める告示別表)【2チ ニトロトルエン(液体)】
海洋汚染防止法有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1)【289 オルトニトロトルエン】
大気汚染防止法有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申)【157 o−ニトロトルエン】
揮発性有機化合物 法第2条第4項 (平成14年度VOC排出に関する調査報告)【揮発性有機化合物】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用