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安全データシート
ヘキサヒドロ無水フタル酸
改訂日 2017年3月17日
1.化学品等及び会社情報
化学品等の名称ヘキサヒドロ無水フタル酸 (Hexahydrophthalic anhydride)
製品コードH28-B-014
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限医薬・農薬・駆虫剤・アルキド樹脂・可塑剤・防錆剤原料,樹脂改質剤, (NITE CHRIP)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
H29.3.1、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改定版 (ver1.1): JIS Z7252:2014準拠) を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性
健康に対する有害性眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
呼吸器感作性区分1
皮膚感作性区分1
特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分3 (気道刺激性、麻酔作用)
分類実施日
(環境有害性)
環境に対する有害性はH21.3、 政府向けGHS分類ガイダンス(H20.9.5版)を使用
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分3
水生環境有害性 (長期間)
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。
GHSラベル要素
絵表示感嘆符腐食性健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
重篤な眼の損傷
吸入するとアレルギー、喘息又は呼吸困難を起こすおそれ
呼吸器への刺激のおそれ
眠気又はめまいのおそれ
水生生物に有害
注意書き
  安全対策粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。−【】の文言は、化学品の使用時に関する追加的な情報が、安全な使用のために十分であろう換気のタイプを説明している場合に使用しても良い。
屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
  応急措置皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
直ちに医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。
呼吸に関する症状が出た場合:医師に連絡すること。
気分が悪いときは医師に連絡すること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。

 注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
  保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
  廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
  他の危険有害性-

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名ヘキサヒドロ無水フタル酸
別名8-オキサビシクロ[4,3,0]ノナン-7,9-ジオン
濃度又は濃度範囲100%
分子式 (分子量)C8H10O3
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号85-42-7
官報公示整理番号
(化審法)
3-2416
官報公示整理番号
(安衛法)
8-(4)-1958
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状情報なし
応急措置をする者の保護救助者は、状況に応じて適切な保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
消火剤水噴霧、粉末消火剤、泡消火剤、二酸化炭素を使用する。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の保護消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材飛散した物を掃き集めるか、真空掃除機で吸引する等できるだけ飛散発じんしないようにして、空容器等に回収する。
取扱いや保管場所の近傍での飲食の禁止。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
粉じんを発生させないようにする。
接触回避情報なし
衛生対策情報なし
保管
安全な保管条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。高温物を近づけない。
安全な容器包装材料破損や漏れの無い密閉可能な容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会(2016年度版)未設定
ACGIH(2016年版)TLV-CEILING: 0.005 mg/m3 (Inhalable fraction and vapor) (ヘキサヒドロ無水フタル酸とその構造異性体)
設備対策取り扱いの場所の近くに、洗眼および身体洗浄剤のための設備を設ける。
高温下や、ミストが発生する場合は換気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具粉じんが発生する場合、必要に応じて保護マスクや呼吸用保護具を着用する。
手の保護具手に接触する恐れがある場合、保護手袋を着用する。
眼の保護具眼に入る恐れがある場合、保護眼鏡やゴーグルを着用する。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて保護衣、保護エプロン等を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色 (HSDB (2016))
臭い無臭 (GESTIS (2016))
臭いのしきい(閾)値データなし
pH酸性 (GESTIS (2016))
融点・凝固点32℃ (HSDB (2016))
沸点、初留点及び沸騰範囲296℃ (760 Torr) (ACGIH (7th, 2015))
引火点149℃(開放式) (HSDB (2016))
蒸発速度(酢酸ブチル=1)データなし
燃焼性(固体、気体)可燃性 (ICSC(J) (2006))
燃焼又は爆発範囲データなし
蒸気圧0.0068 Torr (25℃) [換算値 0.91 Pa (25℃)] (ACGIH (7th, 2015))
蒸気密度データなし
比重(相対密度)1.19 (40℃) (HSDB (2016))
溶解度水: Slightly soluble in water. (GESTIS (2016))
n-オクタノール/水分配係数log Kow = 2.17 (est) (HSDB (2016))
自然発火温度450℃ (GESTIS (2016))
分解温度データなし
粘度(粘性率)データなし

10.安定性及び反応性
反応性通常の取扱い条件下では安定である。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性水と接触すると徐々に分解し、酸を生じる。
避けるべき条件直射日光を避け、冷暗所に保管する。
混触危険物質酸化剤、還元剤等
危険有害な分解生成物火災等の場合は、毒性の強い分解生成物が発生する可能性がある。

11.有害性情報
急性毒性
経口GHS分類: 区分外
ラットのLD50値として、2,700〜2,800 mg/kg (ACGIH (7th, 2015)、HSDB (Access on May 2016)) 及び4,040 mg/kg (HSDB (Access on May 2016)) の報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
経皮GHS分類: 区分外
ウサギのLD50値として、> 2,000 mg/kg (HSDB (Access on May 2016) 又は 2,000 mg/kg で死亡無し (ACGIH (7th, 2015)) の報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガスGHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミストGHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC50値として、> 1,100 mg/m3/4h (ACGIH (2015)) の報告があるが、区分が特定できないため分類できない。分類ガイダンスに従い、区分を変更した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性GHS分類: 区分外
ウサギを用いたドレイズ試験において刺激性が認められているとの記載があり (ACGIH (7th, 2015))、さらに元文献でスコア0.92のわずかな刺激性とされていることから、軽度の刺激性と判断し、区分外 (国連分類における区分3) とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性GHS分類: 区分1
工場での気中に存在する本物質へのばく露にて、作業員が結膜炎を発症したと報告 (ACGIH (7th, 2015)) や、ウサギを用いたドレイズ試験においては、重篤な刺激性が認められ可逆的であったが腐食性に分類したとの記載 (ACGIH (7th, 2015)) から、区分1とした。なお、本物質はEU CLP 分類で「H318 Eye Dam. 1」に分類されている (ECHA C&L Inventory (Access on May 2016))。
呼吸器感作性GHS分類: 区分1
本物質を扱う労働者において、IgE、IgG介在性過敏症 (鼻炎、喘息等) を発症した報告が複数あり、皮膚プリック試験においては8/13人で陽性反応を示した (ACGIH (7th, 2015)) ことから、区分1とした。なお、本物質はEU CLP 分類で「H334 Resp. Sens. 1」に分類されている (ECHA C&L Inventory (Access on May 2016))。
皮膚感作性GHS分類: 区分1
ヒトの事例で、本物質に経皮ばく露によって接触性蕁麻疹を発症した例がある (ACGIH (7th, 2015)) ことから、区分1とした。 なお、本物質はEU CLP 分類で「H334 Resp. Sens. 1」に分類されている (ECHA C&L Inventory (Access on May 2016))。
生殖細胞変異原性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。すなわち、in vivoデータはなく、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性である (ACGIH (7th, 2015)、HSDB (Access on May 2016))。
発がん性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
生殖毒性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)GHS分類: 区分3 (気道刺激性、麻酔作用)
ヒトでは本物質が一過性の皮膚、目、気道への刺激効果に加えて、貧血、頭痛、発熱及びめまいなどを起こすことが報告されている (HSDB (Access on May 2016))。またヒトでは環状酸無水物の高濃度の粉塵や蒸気へのばく露直後に、刺激症状 (そう痒、流涙、くしゃみ、鼻漏、咳、呼吸困難) が現れることが報告されている (CICAD 75 (2009))。したがって区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。なお、List外の情報源のものであるため分類には用いなかったが、ラットの経口及び吸入による単回ばく露試験で活動性低下が認められたとの報告がある (HPVIS (Access on July 2016))。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
吸引性呼吸器有害性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性(急性)藻類 (Scenedesmus subspicatus) での72h-EC50=95.6mg/L (IUCLID, 2000) であることから、区分3とした。
水生環境有害性(長期間)急性分類は区分3であるが、藻類 (Scenedesmus subspicatus) での長期毒性試験データ;72h-EC10=45.4mg/L (IUCLID, 2000) であることから、区分外とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、または地方公共団体が廃棄物処理を行っている場合はそこに委託して処理する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号該当しない
国連品名該当しない
国連危険有害性クラス該当しない
副次危険該当しない
容器等級該当しない
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報該当しない
航空規制情報該当しない
陸上規制情報該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号該当しない

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。