安全データシート
クロロホルム
作成日 2008年10月06日
改訂日 2016年3月31日
1.化学品等及び会社情報
化学品等の名称クロロホルム (Chloroform)
製品コードH27-B-050
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限フルオロカーボン原料、試薬、抽出溶剤、農薬、 医薬品 (NITE初期リスク評価書);フロンガス原料、医薬・農薬反応溶媒、溶剤、試薬 (SRI:CHEMICAL ECONOMICS HANDBOOK);フッ素系冷媒、フッ素樹脂の製造、医薬反応溶媒、農薬反応溶媒、溶剤、試薬 (化学工業日報社)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
H28.03.18、政府向けGHS分類ガイダンス(H25年度改訂版(ver1.1))を使用
GHS改訂4版を使用
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
急性毒性(吸入:蒸気)区分4
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
生殖細胞変異原性区分2
発がん性区分2
生殖毒性区分2
特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分1 (呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用)
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓)
分類実施日
(環境有害性)
環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分2
水生環境有害性 (長期間)区分2
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。
GHSラベル要素
絵表示腐食性感嘆符健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有害
皮膚刺激
重篤な眼の損傷
吸入すると有害
眠気又はめまいのおそれ
遺伝性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれの疑い
生殖能又は胎児への悪影響のおそれの疑い
呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓の障害
水生生物に毒性
長期継続的影響によって水生生物に強い毒性
注意書き
安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
環境への放出を避けること
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
直ちに医師に連絡すること。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
口をすすぐこと。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。

汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
漏出物を回収すること
保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性データなし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名クロロホルム
別名トリクロロメタン、トリクロロホルム、
濃度又は濃度範囲100%
分子式 (分子量)CHCl3 (119.378)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号67-66-3
官報公示整理番号
(化審法)
2-37
官報公示整理番号
(安衛法)
データなし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物データなし

4.応急措置
吸入した場合気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状データなし
応急措置をする者の保護救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項データなし

5.火災時の措置
消火剤周辺火災に種類に応じて適切な消火剤を用いる。
使ってはならない消火剤火災が周辺に広がる恐れがあるため、直接の棒状注水を避ける。
特有の危険有害性火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火を行う者の保護消火作業の際は、適切な空気呼吸器を含め完全な防護服( 耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置関係者以外の立入りを禁止する。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
作業者は適切な保護具( 「8 . ばく露防止及び保護措置」の項を参照)
を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
風上に留まる。
低地から離れる。
環境に対する注意事項河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
封じ込め及び浄化の方法及び機材危険でなければ漏れを止める。
すべての発火源を速やかに取除く( 近傍での喫煙、火花や火炎の禁止) 。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行なう。
安全取扱い注意事項使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
眼に入れないこと。
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
環境への放出を避けること。
接触回避「1 0 . 安定性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
施錠して保管すること。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度3 ppm
(クロロホルム)
許容濃度
日本産衛学会
(2015年度版)
3 ppm (14.7 mg/m3)
(クロロホルム)
ACGIH(2015年版)TLV-TWA: 10 ppm (49 mg/m3)
(クロロホルム)
設備対策この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸用保護具適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具適切な保護手袋を着用すること。
保護材料としてはフッ素ゴムが推奨される。
飛沫を浴びる可能性のある時は、全身の化学用保護衣( 耐酸スーツ等) を着用する。
眼の保護具適切な眼の保護具を着用すること。
化学飛沫用のゴーグル及び適切な顔面保護具を着用すること。
安全眼鏡を着用すること。撥ね飛び又は噴霧によって眼及び顔面接触が起こりうる時は、包括的な化学スプラッシュゴーグル、及び顔面シールドを着用すること。
皮膚及び身体の保護具適切な顔面用の保護具を着用すること。
一切の接触を防止するにはフッ素ゴム製の、手袋、エプロン、ブーツ、又は全体スーツ等の不浸透性の防具を適宜着用すること。
しぶきの可能性がある場合は、全面耐薬品性防護服( 例えば、酸スーツ) 及びブーツが必要である。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色 (ICSC (2000))
臭いさわやかなエーテル様 (ATSDR)(1997))
臭いのしきい(閾)値85 ; 2.4 ppm (ACGIH (7th, 2001))#
pHデータなし
融点・凝固点-64℃ (ICSC (2000))
沸点、初留点及び沸騰範囲62℃ (ICSC (2000))
引火点不燃性 (GESTIS (2015))
蒸発速度(酢酸ブチル=1)データなし
燃焼性(固体、気体)データなし
燃焼又は爆発範囲?-12.9 vol% (推定値) (NITE総合検索 (2015))
蒸気圧21.2 kPa (20℃) (ICSC (2000))
蒸気密度4.12 (空気= 1) (HSDB (2015))
比重(相対密度)データなし
溶解度水:0.8 g/100mL (20℃) (ICSC (2000))
n-オクタノール/水分配係数log Kow = 1.97 (HSDB (2015))
自然発火温度> 1,000 ℃ (NITE総合検索 (2015))
分解温度データなし
粘度(粘性率)0.514 mPa・s (30℃) (Lange's (16th Ed.))

10.安定性及び反応性
反応性不燃性。
酸化と光分解による塩化水素酸及びホスゲンの発生を避けるため、1%のエタノールが添加されている。この安定化剤の除去には、酸化アルミニウムを担体とするフィルターを用いる。
水にわずかに可溶。
水より重い。
高い揮発性を有する。
化学的安定性データなし
危険有害反応可能性加熱により分解する。
酸素の存在下では暗所でも分解する。
強塩基、アルミニウム粉末、アミン、アンモニア、アルカリ・アルカリ土類金属、フッ素、強いアルカリ液、酸素、アセトン、ジベンゾイルペルオキシド、鉄粉、メタノール、ナトリウムアミド、水酸化ナトリウム、ナトリウムメトキシド、ニトロメタン、二酸化窒素との接触で爆発を生じる危険性がある。
強酸化剤、水、ビス(ジメチルアミノ)ジメチルスズ、カリウム tert-ブトキシド、金属粉、鉱酸、水素化珪素、トリイソプロピルホスフィンと危険な反応を生じる危険性がある。
いくつかの形態のプラスチック、ゴム、被覆材を侵す。
四酸化二窒素との混合物は爆発性を有する。
強塩基及びアルミニウムと反応する。
無水物は常温では容器材料を腐食しない。
水と接触し、かつ比較的高温のときは、鉄及び他の金属に腐食性を示す。
避けるべき条件データなし
混触危険物質データなし
危険有害な分解生成物加熱による分解で、塩化水素酸の有毒なヒューム及びその他の塩素化化合物を生じる。

11.有害性情報
急性毒性
経口GHS分類: 区分4
ラットのLD50値として、440〜2,440 mg/kgの範囲内で12件の報告がある。最も多くのデータ (8件) (695 mg/kg (環境省リスク評価第2巻 (2003))、908 mg/kg (雄)、1,117 mg/kg (雌) (NITE有害性評価書 (2008)、DFGOT vol. 14 (2000)、ATSDR (1997)、EHC 163 (1994))、440 mg/kg (14日齢)、1,300 mg/kg (若い成熟体)、1,200 mg/kg (老齢成熟体) (NITE有害性評価書 (2008)、IARC 73 (1999)、ATSDR (1997)、EHC 163 (1994))、1,970 mg/kg (雄) (JECFA FAS 14)、2,000 mg/kg (雄) (NITE有害性評価書 (2008)、DFGOT vol. 14 (2000)、ATSDR (1997)、EHC 163 (1994)) が該当する区分4とした。
経皮GHS分類: 区分外
ウサギに対して、3,980 mg/kgの投与で死亡例なしとの報告 (EU-RAR (2007)、DFGOT vol. 14 (2000)) に基づき、区分外とした。新たな情報を追加し、区分を見直した。
吸入:ガスGHS分類: 分類対象外
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気GHS分類: 区分4
ラットのLC50値 (4時間) として、9,770 ppm (ATSDR (1997))、9,636 ppm (環境省リスク評価第2巻 (2003)) との報告に基づき、区分4とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (259,211 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。新たな情報を追加し、区分を見直した。
吸入:粉じん及びミストGHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない
皮膚腐食性及び皮膚刺激性GHS分類: 区分2
ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質の原液を腹部皮膚に24時間適用した結果軽度の充血、中等度の壊死及び痂皮形成がみられたとの報告や (EHC 163 (1994)、NITE有害性評価書 (2008))、本物質の原液適用により重度の刺激性がみられたとの報告がある (DFG vol.14 (2000))。また、本物質をウサギの耳に1-4回適用した結果、軽微な充血及び表皮剥離がみられたとの報告がある (EHC 163 (1994)、NITE有害性評価書 (2008))。本物質は皮膚に対して刺激性を示すと記載がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2005)、CICAD 58 (2004))。以上より、区分2とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Skin. Irrit. 2 H315」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。非可逆的な影響について情報が無いため区分を変更した。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性GHS分類: 区分1
ウサギを用いた眼刺激性試験において、本物質を適用した結果、散瞳、角膜炎、角膜混濁を伴う強度の刺激性がみられ、4匹は2〜3週間で症状が消えたが、1匹は3週間後以降にも角膜混濁の症状が残ったとの報告がある (EHC 163 (1994))。また、結膜への軽微な刺激及び角膜の障害がみられたとの報告 (EHC 163 (1994)、NITE有害性評価書 (2008)) や、本物質は眼に対して刺激性を持つとの記載がある (産衛学会許容濃度の提案理由書 (2005)、CICAD 58 (2004))。以上、投与3週間後に完全に回復性しなかったことから区分1とした。なお、本物質はEU CLP分類において「Eye. Irrit. 2 H319」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
呼吸器感作性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性GHS分類: 区分2
In vivoでは、トランスジェニックマウスの肝臓を用いた遺伝子突然変異試験で陰性、ラットの肝臓、腎臓細胞を用いた小核試験、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陽性あるいは陰性の結果、ラットの骨髄細胞、マウスの骨髄細胞、ハムスターの骨髄細胞を用いた染色体異常試験で概ね陽性、マウスの骨髄細胞を用いた姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性の結果、ラットの腎臓を用いたDNA切断試験で陰性、ラット及びマウスの肝臓、腎臓を用いたDNA結合 (DNA付加体) 試験で弱陽性、陰性の結果、ラット、マウスの肝臓を用いた不定期DNA合成試験で陰性、マウスの肝臓、腎臓を用いたDNA修復試験で陰性である (NITE有害性評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、CICAD 58 (2004)、DFGOT vol. 14 (2000)、IARC 73 (1999)、CEPA (2001)、ATSDR (1997))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、陽性の結果、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験、マウスリンフォーマ試験で陽性、陰性の結果、染色体異常試験で陰性、姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性の結果、不定期DNA合成試験で陰性である (NITE有害性評価書 (2008)、EU-RAR (2007)、DFGOT vol. 14 (2000)、IARC 73 (1999)、ATSDR (1997)、CEPA (2001))。以上より、in vivo体細胞変異原性試験で陽性結果があり、ガイダンスに従い、区分2とした。
発がん性GHS分類: 区分2
ヒトでは本物質の飲料水を介した経口ばく露による疫学研究において、多部位のがん、特に膀胱がん、結・直腸がんの過剰リスクの報告例があるが、副生物のトリハロメタンによる影響の可能性が高いこと、また、職場での本物質吸入ばく露による発がん影響に関する報告は統計解析による検出力が低く、前立腺がん、肺がんの過剰リスクは信頼性に疑問があることを指摘した上で、IARCは本物質のヒトにおける発がん性の証拠は不十分とした (IARC 73 (1999))。
一方、実験動物ではマウスを用いた経口経路による3試験、及びマウスの吸入経路による1試験において、腎尿細管腫瘍が認められ、1試験では肝細胞の腫瘍も認められたこと、またラットを用いた経口経路での3試験で、腎尿細管腫瘍が認められたことを挙げて、実験動物では発がん性の十分な証拠があるとして、IARCは1999年に「グループ2B」に分類した (IARC 73 (1999))。他の国際機関による本物質の発がん性分類としては、ACGIHが「A3」に (ACGIH (7th, 2001))、日本産業衛生学会が「2B」に (許容濃度の勧告 (2015))、EUが「Carc. 2」に (EU-RAR (2007))、EPAが1998年分類で”細胞毒性と再生性の過形成を生じるような高ばく露状況下では「 L (Likely to be carcinogenic to humans) 」、それ以外では「NL (Not likely to be carcinogenic to humans) 」” (IRIS Summary (Access on August 2015)) に、NTPが「R」 (NTP RoC (13th, 2014)) に、それぞれ分類されている。
以上、IARCを含む国際的な既存分類結果はほぼ合致しており、よって本項は区分2とした。
生殖毒性GHS分類: 区分2
ヒトでは、本物質職業ばく露と自然流産のリスクの増加との相関性が報告されたが、他の溶媒への同時ばく露を伴う状況であったと記載されている (IRIS Tox Review (2001))。また、飲料水を介した本物質への経口ばく露により、本物質濃度と胎児の子宮内成長阻害との間に相関性がみられたとの報告があるが、塩素消毒により生成したトリハロメタンによる影響の可能性が指摘されている (IRIS Tox Review (2001)) など、本物質ばく露に特異的なヒト生殖能への有害影響について確実な情報はない。
実験動物では、マウスを用いた経口経路 (飲水) による多世代繁殖試験において、高用量群のF1、F2世代の動物では、体重増加抑制、生存率の低下とともに、繁殖指標 (妊娠率低下、同腹児数の減少、出産率の低下) の有意な低下がみられた (DFGOT vol. 14 (2000)、NITE有害性評価書 (2008)) との記述がある。一方、発生毒性影響に関しては、妊娠ラットの器官形成期 (妊娠6〜15日) に吸入ばく露した発生毒性試験において、ラットでは母動物毒性が発現する用量 (30、95 ppm) で、胎児には胎児重量、及び頭尾長の低値、骨格変異 (骨化遅延、波状肋骨)、皮下の浮腫とともに、奇形 (無尾、鎖肛、肋骨欠損) の頻度増加が認められた (DFGOT vol. 14 (2000)、CICAD 58 (2004)、NITE有害性評価書 (2008))。また、妊娠マウスの器官形成期 (妊娠8〜15日) に100 ppmを吸入ばく露 (一濃度のみでばく露時期を可変させた) した試験でも、母動物に体重増加抑制、軽微な妊娠率低下が、胎児に胎児毒性 (胎児重量及び頭尾長の低値、骨化遅延) とともに、奇形として口蓋裂の頻度増加がみられた (DFGOT vol. 14 (2000)、CICAD 58 (2004)、NITE有害性評価書 (2008)) との記述がある。なお、妊娠ラット、又は妊娠ウサギを用いた器官形成期強制経口投与による発生毒性試験では、母動物に一般毒性影響が発現する用量でも、胎児毒性は軽微 (胎児重量の低値、又は骨化遅延のみ)、ないしは無影響であったと報告されている (DFGOT vol. 14 (2000)、CICAD 58 (2004)、NITE有害性評価書 (2008))。
以上、吸入経路では実験動物で母動物毒性が発現する用量で、奇形を含む発生毒性影響が認められていることから、本項は区分2とした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)GHS分類: 区分1 (呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用)
本物質は気道刺激性がある (EU-RAR (2007))。ヒト、実験動物ともに多数の急性毒性データがある。ヒトにおいては、麻酔薬として使用された経緯がある。吸入ばく露により、麻酔作用、咳、眩暈、嗜眠、感覚鈍麻、頭痛、吐き気、嘔吐、腹部痛、衰弱、意識喪失、昏睡、痙攣発作、呼吸速迫、呼吸中枢麻痺、意識障害、急性呼吸不全、不整脈、心血管系抑制作用、心室細動、黄疸、肝細胞変性・壊死、腎尿細管壊死、腎不全、経口摂取で腹痛、悪心、嘔吐、下痢、胃腸管刺激、呼吸中枢麻痺、痙攣発作、昏睡、乏尿症、アルブミン尿、腎障害、腎尿細管上皮の腫脹、硝子及び脂肪変性、肝障害、肝細胞壊死の報告がある (NITE有害性評価書 (2008)、DFGOT vol. 14 (2000)、IARC 73 (1999)、環境省リスク評価第2巻 (2003)、PATTY (6th, 2012)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2005)、EU-RAR (2007)、CICAD 58 (2004)、ATSDR (1997)、ACGIH (7th, 2001)、EU-RAR (2007)、IPCS, PIM 121 (1993))。
実験動物では、ラット、マウスの経口投与 (区分1相当) で、協調運動失調、鎮静、麻酔作用、肝臓の小葉中心性脂肪浸潤及び壊死、小葉中心性肝細胞壊死、腎皮質の近位尿細管上皮細胞の再生性増殖、腎臓の細胞増殖、腎臓に重度の壊死の報告、ラット、マウスの吸入ばく露 (区分1相当) で、麻酔作用、肝臓の脂肪浸潤、肝細胞壊死、腎近位・遠位尿細管の壊死、腎皮質の石灰化の報告、ウサギの経皮適用 (区分1相当) で、腎尿細管変性がみられている (NITE有害性評価書 (2008)、DFGOT vol. 14 (2000)、IARC 73 (1999)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (2005)、EU-RAR (2007)、CICAD 58 (2004)、DFGOT vol. 14 (2000)、ATSDR (1997)、ACGIH (7th, 2001)、PATTY (6th, 2012)、CEPA (2001))。
以上より、本物質は気道刺激性、麻酔作用のほか、呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓に影響を与えることから、区分1 (呼吸器、心血管系、肝臓、腎臓)、区分3 (麻酔作用) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)GHS分類: 区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓)
ヒトでは約1,950 mg/m3の濃度のクロロホルムに最大6ヶ月間ばく露された作業者13人中全員が黄疸を呈し、うち5人から 1〜2.9 mg/Lの血中クロロホルムが検出された (DFGOT vol. 14 (2000)) との記述、他の工場で 80〜160 mg/m3の濃度のクロロホルムに4ヶ月以上ばく露された作業者18人に黄疸が観察された (DFGOT vol. 14 (2000)) との記述、また、14〜400 ppm (68〜1,950 mg/m3) のクロロホルムに1〜6ヶ月間ばく露された作業者では、肝炎の進展、黄疸、悪心、嘔吐などの症状がみられ、肝炎の発症は 2〜205 ppm (9.7〜1,000 mg/m3) のばく露濃度でも生じた (PATTY (6th, 2012)) との記述、さらに製剤工場で 10〜1,000 mg/m3のクロロホルムに 1〜4年間ばく露された作業者68人中17人が肝腫大と診断され、うち3人で肝炎、14人で脂肪肝、10人で脾腫がみられた (環境省リスク評価第2巻 (2003)) との記述がある。
実験動物では、マウスに13週間強制経口、又は飲水投与した試験、ラットに3週間強制経口投与した試験で、区分2相当用量 (ガイダンス値換算用量: 14.8〜60 mg/kg/day) で肝臓 (肝細胞の腫大、変性、脂肪化、初期肝硬変様変化など)、腎臓 (慢性炎症、近位尿細管の変性、壊死など)、脾臓 (白脾髄の萎縮、抗体産生細胞数の減少) への影響がみられ、またイヌに7.5年間カプセルを介して強制経口投与した試験でも、15 mg/kg/day (ガイダンス値換算: 12.9 mg/kg/day) で、肝臓の脂肪化に加え、血清ALT値の上昇がみられている (NITE有害性評価書 (2008)、環境省リスク評価第2巻 (2003))。さらに、吸入経路では、ラット及びマウスに13週間、又は2年間吸入ばく露 (蒸気と推定) した複数の試験で、区分1該当濃度 (ガイダンス値換算: 0.01〜0.106 mg/L/6 hr/day) から、肝臓、腎臓に上記と同様の組織変化が認められた他、鼻腔への影響 (骨肥厚、嗅上皮の萎縮、化生、嗅上皮及び呼吸上皮の好酸性化) もみられている (NITE有害性評価書 (2008)、産衛学会許容濃度の提案理由 (2005))。
以上、ヒトでの知見より中枢神経系 (悪心、嘔吐) 及び肝臓を、実験動物での知見より呼吸器、肝臓、腎臓を標的臓器と考え、区分1 (中枢神経系、呼吸器、肝臓、腎臓) とした。なお、脾臓についてはヒトでの知見も少なく、肝硬変など重篤な肝毒性による二次的影響の可能性を否定できないため、標的臓器からは除外した。
吸引性呼吸器有害性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性(急性)GHS分類: 区分2
魚類(ニジマス)の96時間LC50=1.24-2.03mg/L(CICAD58、2004)から、区分2とした。
水生環境有害性(長期間)GHS分類: 区分2
急性毒性が区分2、生物蓄積性が低いものの(BCF=13(既存化学物質安全性点検データ))、急速分解性がない(BODによる分解度:0%(既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分2とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
本製品を含む廃液及び洗浄排水を直接河川等に排出したり、そのまま埋め立てたり投棄することは避ける。
汚染容器及び包装容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号1888
国連品名CHLOROFORM
国連危険有害性クラス6.1
副次危険-
容器等級V
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当する
国内規制
海上規制情報船舶安全法に従う。
航空規制情報航空法に従う。
陸上規制情報消防法、道路法に従う。
特別安全対策移送時にイエローカードの保持が必要。
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号151

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
化審法旧第2種監視化学物質
優先評価化学物質
旧第3種監視化学物質
労働安全衛生法健康障害防止指針公表物質
名称等を表示すべき危険物及び有害物
名称等を通知すべき危険物及び有害物
作業環境評価基準
特定化学物質第2類物質、特別有機溶剤等
特定化学物質特別管理物質
水道法有害物質
航空法毒物類・毒物
道路法車両の通行の制限
毒物及び劇物取締法劇物
消防法貯蔵等の届出を要する物質
水質汚濁防止法指定物質
船舶安全法毒物類・毒物
大気汚染防止法揮発性有機化合物
自主管理指針対象物質
有害大気汚染物質、優先取組物質
海洋汚染防止法有害液体物質
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)第1種指定化学物質
外国為替及び外国貿易管理法輸入貿易管理令第4条第1項第2号輸入承認品目「2の2号承認」
輸出貿易管理令別表第1の16の項
輸出貿易管理令別表第2
特定廃棄物輸出入規制法
(バーゼル法)
廃棄物の有害成分・法第2条第1項第1号イに規定するもの
労働基準法
(疾病、がん原性、etc)
疾病化学物質

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。