安全データシート
アニリン
作成日 2002年11月6日
改訂日 2010年3月31日
1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称アニリン、(Aniline)
製品コード21B3074
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
緊急時の電話番号03-1234-5678
FAX番号03-1234-5678
メールアドレス    
推奨用途及び使用上の制限染料、媒染剤、医薬品、火薬原料、ゴム薬、殺菌剤、合成中間体
 

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日H22.2.19、政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)を使用
物理化学的危険性火薬類分類対象外
 可燃性・引火性ガス分類対象外
 可燃性・引火性エアゾール分類対象外
 支燃性・酸化性ガス類分類対象外
 高圧ガス分類対象外
 引火性液体区分4
 可燃性固体分類対象外
 自己反応性化学品分類対象外
 自然発火性液体区分外
 自然発火性固体分類対象外
 自己発熱性化学品分類できない
 水反応可燃性化学品分類対象外
 酸化性液体分類対象外
 酸化性固体分類対象外
 有機過酸化物分類対象外
 金属腐食性物質分類できない
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
 急性毒性(経皮)区分3
 急性毒性(吸入:ガス)分類対象外
 急性毒性(吸入:蒸気)区分2
 急性毒性(吸入:粉じん)分類対象外
 急性毒性(吸入:ミスト)区分4
 皮膚腐食性・刺激性区分外
 眼に対する重篤な損傷・眼刺激性区分2A
 呼吸器感作性分類できない
 皮膚感作性区分1
 生殖細胞変異原性区分2
 発がん性区分2
 生殖毒性分類できない
 特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)区分1(血液系、全身毒性)
 特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)区分1(血液系、全身毒性)
 吸引性呼吸器有害性分類できない
環境に対する有害性
分類実施日急性毒性:H22.2.19、政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)を使用
 慢性毒性:H18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10)を使用
 水生環境急性有害性区分1
 水生環境慢性有害性区分外
ラベル要素
絵表示又はシンボルどくろ健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報可燃性液体
 飲み込むと有害
 皮膚に接触すると有毒
 吸入すると生命に危険
 強い眼刺激
 アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
 遺伝性疾患のおそれの疑い
 発がんのおそれの疑い
 血液系、全身毒性の障害
 長期にわたる、または、反復ばく露により血液系、全身毒性の障害
 水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 【安全対策】
 炎や高温のものから遠ざけること。−禁煙。
 適切な保護手袋、保護眼鏡、保護面を着用すること。
 取扱い後はよく手を洗うこと。
 この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
 適切な保護手袋、保護衣を着用すること。
 ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
 屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
 呼吸用保護具を着用すること。
 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
 使用前に取扱説明書を入手すること。
 すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
 適切な個人用保護具を使用すること。
 環境への放出を避けること。
 【応急措置】
 火災の場合には適切な消火方法をとること。
 飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
 飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
 皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
 皮膚に付着した場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。
 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯すること。
 吸入した場合、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
 吸入した場合、直ちに医師に連絡すること。
 眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
 眼に入った場合、眼の刺激が続く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
 皮膚に付着した場合、皮膚刺激または発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
 ばく露またはばく露の懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
 ばく露した場合、医師に連絡すること。
 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
 漏出物を回収すること。
 【保管】
 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
 施錠して保管すること。
 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 【廃棄】
 内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報
 

3.組成及び成分情報
化学物質
化学名又は一般名アニリン
別名1‐アミノベンゼン、(1-Aminobenzene)、フェニルアミン、(Phenylamine)、ベンゼンアミン、(Benzenamine)
分子式 (分子量)C6H7N(93.13)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号62-53-3
官報公示整理番号(化審法・安衛法)(3)-105
分類に寄与する不純物及び安定化添加物データなし
濃度又は濃度範囲100%
 

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
 直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。
 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯すること。
 多量の水と石鹸で洗うこと。
 皮膚刺激または発疹が生じた場合は、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
 眼の刺激が続く場合は、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合気分が悪い時は、医師に連絡すること。
 口をすすぐこと。
予想される急性症状及び遅発性症状吸入:紫色(チアノ−ゼ)の唇や爪、紫色(チアノ−ゼ)の皮膚、頭痛、めまい、息苦しさ、痙攣、頻脈、嘔吐、脱力感、意識喪失。
 皮膚:紫色(チアノ−ゼ)の唇や爪、紫色(チアノ−ゼ)の皮膚、頭痛、めまい、息苦しさ、痙攣、頻脈、嘔吐、脱力感、意識喪失、発赤。
 眼:発赤、痛み。
 経口摂取 : 紫色(チアノ−ゼ)の唇や爪、紫色(チアノ−ゼ)の皮膚、頭痛、めまい、息苦しさ、痙攣、頻脈、嘔吐、脱力感、意識喪失。
最も重要な兆候及び症状血液に影響を与え、メトヘモグロビンを生じることがある。高濃度の場合、死に至ることがある。
応急措置をする者の保護データなし
医師に対する特別注意事項ばく露の影響は遅れて現われることがある。 ばく露の程度によっては、定期検診が必要である。 アルコール飲料の使用により有害作用が増大する。 この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要である。指示のもとに適切な手段をとれるようにしておく。
 

5.火災時の措置
消火剤泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂類
使ってはならない消火剤棒状放水、水噴霧
特有の危険有害性極めて燃え易く、熱、火花、火炎で容易に発火する。
 消火後再び発火するおそれがある。
 火災時に刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法危険でなければ火災区域から容器を移動する。
 容器が熱に晒されているときは、移動させない。
 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
消火を行う者の保護適切な空気呼吸器、防護服(耐熱性)を着用する。
 

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具および緊急措置全ての着火源を取り除く。
 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
 関係者以外の立入りを禁止する。
 密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項環境中に放出してはならない。
回収・中和不活性材料(例えば、乾燥砂又は土等)で流出物を吸収して、化学品廃棄容器に入れる。
封じ込め及び浄化方法・機材危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
 

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項消防法の規制に従う。
 取扱い後はよく手を洗うこと。
 この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
 ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
 屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
 使用前に取扱説明書を入手すること。
 すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
 皮膚との接触を避けること。
 飲み込まないこと。
 眼に入れないこと。
接触回避『10.安定性及び反応性』を参照。
保管
技術的対策消防法の規制に従う。
混触危険物質『10.安定性及び反応性』を参照。
保管条件容器を密閉して冷乾所にて保存すること。
 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
 施錠して保管すること。
 消防法の規制に従う。
容器包装材料データなし
 

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度未設定
許容濃度 (ばく露限界値、生物学的ばく露指標)
日本産衛学会1ppm
 3.8mg/m3(経皮吸収)(2009年版)
ACGIHTWA 2ppm Skin(2015年版)
設備対策この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
 ばく露を防止するため、装置の密閉化又は局所排気装置を設置すること。
保護具
呼吸器の保護具適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具適切な眼の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具適切な保護衣を着用すること。
衛生対策取扱い後はよく手を洗うこと。
 この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
 

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状液体
無色
臭い特徴臭
pH8.1 (0.2モル水溶液) : Merck (13th,2001)
融点・凝固点-6℃ : ICSC (2004)
沸点、初留点及び沸騰範囲184℃ : ICSC (2004)
引火点70℃ (密閉式) : ICSC (2004) 76℃ (密閉式) : Merck (13th,2001)
自然発火温度615℃ : ICSC (2004)
燃焼性(固体、ガス)データなし
爆発範囲1.2〜11vol% : ICSC(2004)
蒸気圧0.04kPa (20℃) : ICSC (2004)
蒸気密度3.22 (空気=1) : 溶剤ポケットブック (1994)
蒸発速度(酢酸ブチル=1)データなし
比重(密度)1.02173 (20℃,4℃) : Gangolli (2nd, 1999) 1.0217g/cm3 (20℃) : Lide (84th,2003)
溶解度水 : 3.4g/100mL (20℃) : ICSC(2004)
 アルコール、ベンゼン、クロロホルム、その他多くの有機溶媒 : 混和 : Merck (2001)
オクタノール・水分配係数log P=0.9 : PHYSPROP Database (2005)
分解温度データなし
粘度4.35mPa・s (20℃) : HSDB (2005)
粉じん爆発下限濃度データなし
最小発火エネルギーデータなし
体積抵抗率(導電率)データなし
 

10.安定性及び反応性
安定性法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる
危険有害反応可能性190℃以上で加熱すると分解し、有毒で腐食性のヒューム(アンモニア、窒素酸化物)、引火性の蒸気を生じる。弱塩基である。強酸化剤と激しく反応し、火災や爆発の危険をもたらす。強酸と激しく反応する。銅、銅合金を侵す。70℃以上では、蒸気/空気の爆発性混合気体を生じることがある。
避けるべき条件190℃以上で加熱
混触危険物質強酸化剤、強酸
危険有害な分解生成物アンモニア、窒素酸化物、引火性の蒸気
 

11.有害性情報
急性毒性
経口ラット LD50値 930 mg/kg(雄)、780 mg/kg(雌)(雌雄ともEU-RAR(2004))、442mg/kg (EU-RAR(2004))、440 mg/kg (ACGIH (7th, 2001))は、いずれも区分4に該当している。
経皮ウサギの場合はLD50値が1540 mg/kg および820mg/kg (EU-RAR (2004))より危険性の高い方の区分3に該当し、ラットの場合もLD50値が670mg/kg (DFGOT vol.6 (1994))より区分3に該当することから、区分3とした。
吸入吸入(ガス):GHSの定義による液体である。
 吸入(蒸気):ラットのLC50=300 ppm/4h(1 mg/L/4h)(EU-RAR No.50 (2004))に基づき区分2とした。 飽和蒸気圧0.04kPa(20℃)(ICSC(2004))における飽和蒸気圧濃度は400 ppm(1.5 mg/L)であることから、試験はミストがほとんど混在しない蒸気で試験されたと考えられることから、ガスの基準値を用いて判断した。
 吸入(ミスト):ラットLC50は3.27 mg/L/4h(839 ppm/4h)、1.86 mg/L/4h(478 ppm/4h)(いずれもEU-RAR(2004))、2.1mg/L/4h(552 ppm/4h) (CaPSAR (1994))であり、いずれも区分4に該当する。飽和蒸気圧0.04kPa(20℃)(ICSC(2004))における飽和蒸気圧濃度は1.5 mg/L(400 ppm)であることから試験はミストで試験されたと判断した。
皮膚腐食性・刺激性ウサギ6匹に試験物質原液を適用し、全例にグレード1の紅斑が3日以上観察されたが浮腫の発生はなかったとの報告(EU-RAR (2004))、およびウサギの皮膚に原液を適用し軽度の紅斑が見られたが8日以内に回復したとの報告(EU-RAR (2004))から、分類JISの区分外 (国連分類基準の区分3に該当) とした。なお、ウサギに試験物質20 mgを24時間適用して中等度の刺激性が見られたとの報告(CERI・NITE有害性評価書 No.63 (2004))もある。
眼に対する重篤な損傷・刺激性ウサギに適用したドレイズ試験で重度の角膜混濁、重度の結膜発赤および浮腫が観察され、適用8日以内では回復せず8日目にはパンヌス形成が確認されたこと(EU-RAR (2004))、ウサギ6匹に適用後3日以内の角膜、虹彩、結膜の平均スコアが約52/110であったこと(EU-RAR (2004))、また、ウサギに適用した別のドレイズ試験では角膜混濁は適用後2日以内に回復し、結膜刺激は2日以内に最大に達したが観察期間の4日以内には回復しなかったこと(EU-RAR (2004))がそれぞれ報告されている。以上を総合しすると、ウサギの眼に重度の刺激性を示し、角膜、虹彩、結膜の平均スコアが52(最大110に対し)であり、かつ数日間の観察期間内に回復しなかったものの回復の兆しがあったことから、区分2Aとした。なお、EU分類 はXi; R41 (EU-Annex1 (access on5.2009))である。
呼吸器感作性又は皮膚感作性呼吸器感作性:データなし
 皮膚感作性:マキシマイゼーション試験でボランティア25人中7人に陽性反応が見られ(EU-RAR(2004))、芳香族アミン化合物に感作性を示す181人中24人 (13%)がアニリンに陽性反応を示し(EU-RAR(2004))、皮膚科病院の患者のパッチテストでアニリンに対する反応率が5.1-13%であった(EU-RAR(2004))ことがそれぞれ報告され、また、モルモットを用いたアジュバント皮下注射による感作性試験(Single Injection Adjuvant)では陽性率50%で皮膚感作性を示した(EU-RAR(2004))。以上のヒトおよびモルモットでの知見に加え、EU分類がR43である(EU-Annex1 (access on5.2009))ことから、区分1とした。
生殖細胞変異原性マウスに腹腔内または経口投与による骨髄細胞を用いた小核試験ならびにラットに経口投与による骨髄細胞を用いた小核試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陽性結果(CERI-NITE有害性評価書 No.63 (2004))が得られていることに基づき区分2とした。さらに、in vivo試験では、ラットを用いた優性致死試験では明確な結論が得られず、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験と染色体異常試験で陰性結果(EU-RAR (2004)、(CERI-NITE有害性評価書 No.63 (2004)))も報告されている。さらに、in vitroでは、エームス試験で陰性(CERI-NITE有害性評価書 No.63 (2004))、マウスリンフォーマ試験とCHO細胞を用いた染色体異常試験で陽性(CERI-NITE有害性評価書 No.63 (2004))がそれぞれ報告されている。なお、EU分類はR68・変異原性カテゴリー3となっている。
発がん性IARCによりグループ3(IARC Suppliment 7 (1987))、EUによりカテゴリー3(EU-RAR (2004))、ACGIHによりA3(ACGIH (2001))、EPAによりB2(IRIS (2005))にそれぞれ分類されている。これらの評価機関による分類に基づくと、IARCの場合のみが区分外に該当し、その他の機関ではいずれも区分2となるが、IARCの評価年度が最も古いことから、他の3機関による評価を採り区分2とした。なお、ラットおよびマウスに塩酸アニリンを2年間混餌投与した試験において、ラットの特に雄の脾臓で血管肉腫、線維肉腫、間質性肉腫などの腫瘍の発生頻度の増加が特徴的であった(DFGOT vol.6 (1994))が、マウスでは腫瘍の発生増加または増殖性変化は認められていない(DFGOT vol.6 (1994))。また、職業ばく露を受けたヒトを対象とした疫学調査で膀胱腫瘍の発生が報告されている(IARC vol.27 (1982)、EU-RAR (2004)、PATTY (5th, 2001))が、アニリンのばく露との関連について確かな根拠を示すものではない。
生殖毒性ラットに妊娠7日から妊娠20日または出生まで塩酸アニリンを経口投与し、動物の一部は分娩前に検査、残りを自然分娩させた試験(DFGOT vol.6 (1994))において、体重増加抑制や脾臓重量の増加など母動物に一般毒性が認められたが、仔動物への影響に関しては、高用量群における肝重量増加と軽度の造血能亢進を示す一部の血液指標の変化のみで、胎児毒性または催奇形性の兆候は認められず、さらに出生後の仔の哺育や授乳に対しても有害影響は報告されていない。しかしながら、交配前からのばく露による親動物の性機能および生殖能に対する影響に関しては、データがなく不明のため「分類できない」とした。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)アニリンの急性中毒はメトヘモグロビン形成に因るものであり、チアノーゼ、意識障害、頻呼吸、痙攣などを引き起こし死に至る可能性があると述べられている(ACGIH (2001))。実際にヒトで誤飲や自殺企図、あるいは職業ばく露により、めまい、昏睡、瞳孔収縮、錯乱、蒼白、チアノーゼ、呼吸困難、および心筋、肝臓及び腎臓の変性、肺及び脳の浮腫、延髄の出血などの症状が報告されており、その症状は総ヘモグロビン中に占めるメトヘモグロビンの量に依存すると記述されている(CERI・NITE有害性評価書 No.63 (2004))。また、自殺例やボランティアを用いた試験でメトヘモグロビン生成が確認されている。以上より、アニリンによる主な影響は血液中のメトヘモグロビン形成であり、ヒトで全身症状を呈していることから、区分1(血液系、全身毒性)とした。なお、実験動物に急性ばく露した場合にもラットで振戦、チアノーゼ、虚脱など(EU-RAR (2004))、ネコでは喘ぎやチアノーゼなどの症状とメトヘモグロビン生成(EU-RAR (2004))が報告されている。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)ラットに2週間吸入ばく露により17〜30 ppm(0.066〜0.116 mg/L)以上で脾臓のうっ血、ヘモジデリン沈着、髄外造血亢進(EU-RAR (2004))、45 ppm (174.2 mg/m3) 以上で赤血球数、ヘモグロビン濃度、ヘマトクリット値の減少およびメトヘモグロビンの増加(CERI・NITE有害性評価書 (2004))、また、ラットに4週間経口投与により、10 mg/kg/day(アニリン量として4 mg/kg/day)から赤血球毒性の兆しがあり、用量の増加とともに大球性溶血性貧血、メトヘモグロビン血症の兆候が見られた(EU-RAR (2004))。発現用量はガイダンス値範囲区分1に該当している。さらに、職業ばく露を受けたヒトにおいてもチアノーゼ、頭痛、めまい、嚥下困難、悪心、嘔吐、胸部及び腹部の痛み又は痙れん、脱力、動悸、不整呼吸、瞳孔収縮(光に対する反応性あり)、体温異常、暗色尿。重症時には肺浮腫、尿及び便の失禁(CERI・NITE有害性評価書 No.63 (2004))などの全身症状に加え、メトヘモグロビン増加の報告(DFGOT vol.6 (1994))があり、区分1(血液系、全身毒性)とした。
吸引性呼吸器有害性データなし
 

12.環境影響情報
水生環境急性有害性甲殻類(オオミジンコ)での48時間LC50 = 80μg/L(環境省リスク評価第1巻, 2002)であることから、区分1とした。
水生環境慢性有害性急速分解性があり(BODによる分解度:85%(既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.9(PHYSPROP Database、2005))ことから、区分外とした。
 

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
汚染容器及び包装容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。
 

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報IMOの規定に従う。
 UN No.1547
 Proper Shipping Name.ANILINE
 Class6.1
 Packing GroupU
 Marine PollutantNot Applicable
航空規制情報ICAO・IATAの規定に従う。
 UN No.1547
 Proper Shipping Name.Aniline
 Class6.1
 Packing GroupU
国内規制
陸上規制情報消防法の規定に従う。
 毒物及び劇物取締法の規定に従う。
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
 国連番号1547
 品名アニリン
 クラス6.1
 容器等級U
 海洋汚染物質非該当
航空規制情報航空法の規定に従う。
 国連番号1547
 品名アニリン
 クラス6.1
 等級2
特別安全対策移送時にイエローカードの保持が必要。
 食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
 重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号153
 

15.適用法令
化審法第2種監視化学物質(法第2条第5項)(政令番号:2監-1068
労働安全衛生法名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)(政令番号:9-19)
毒物及び劇物取締法劇物(法第2条別表第2)(政令番号:3)
海洋汚染防止法有害液体物質(Y類物質)(施行令別表第1)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)(政令番号:1-18)
消防法第4類引火性液体、第三石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1)
船舶安全法毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)
労働基準法疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条・別表第1の2第4号1・昭53労告36号)
 

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。