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安全データシート
チオりん酸O,O-ジエチル-O-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル) (別名 クロルピリホス)
作成日 2003年05月06日
改訂日 2006年10月15日
改訂日 2018年03月16日
改訂日 2019年03月15日
1.化学品等及び会社情報
化学品等の名称チオりん酸O,O-ジエチル-O-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル) (別名 クロルピリホス) (Phosphorothioic acid, O,O-diethyl O-(3,5,6-trichloro-2-pyridinyl) ester)、(Chlorpyrifos)
製品コードH29-B-020
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限農薬(殺虫剤)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
H30.3.16、政府向けGHS分類ガイダンス (H25年度改訂版 (ver1.1):JIS Z7252:2014準拠) を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分3
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2B
特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分1(神経系)
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分1 (神経系、副腎)
区分2 (眼、血液系、肝臓)
分類実施日
(環境有害性)
環境に対する有害性はH18年度、GHS分類マニュアル(H18.2.10版)を使用
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分1
水生環境有害性 (長期間)区分1
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」又は「分類できない」に該当する。なお、これらに該当する場合は後述の11項に記載した。
GHSラベル要素
絵表示どくろ健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有毒
眼刺激
神経系の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、副腎の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による眼、血液系、肝臓の障害のおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
漏出物を回収すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名チオりん酸O,O-ジエチル-O-(3,5,6-トリクロロ-2-ピリジル)
別名クロルピリホス
濃度又は濃度範囲100%
分子式 (分子量)C9H11Cl3NO3PS (350.58)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号2921-88-2
官報公示整理番号
(化審法)
5-3724
官報公示整理番号
(安衛法)
8-(1)-1042
分類に寄与する不純物及び
安定化添加物
情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。直ちに医療機関に連絡する。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。洗い流してから水と石鹸で皮膚を洗浄する。直ちに医療機関に連絡する。
眼に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
飲み込んだ場合口をすすぐこと。吐かせない。直ちに医師に連絡すること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:縮瞳、筋痙攣、唾液分泌過剰、筋攣縮、痙攣、めまい、発汗、喘鳴、息苦しさ、意識喪失
皮膚:吸収される可能性あり。「吸入」参照
眼:充血、痛み、縮瞳、かすみ眼
経口摂取:唾液分泌過剰、吐き気、嘔吐、胃痙攣、下痢、その他(「吸入」参照)
応急措置をする者の保護救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要である。
短期ばく露による症状が消えた後、遅延性(数日から数週間後)の影響を引き起こすことがある。
ばく露の程度によっては、定期検診を勧める。

5.火災時の措置
消火剤水噴霧、泡消火剤、粉末、二酸化炭素
使ってはならない消火剤棒状注水
特有の危険有害性火災時に刺激性あるいは有毒なヒュームやガスを放出する。有機溶剤を含む液体製剤は引火性のことがある。
特有の消火方法火元への燃焼源を断ち、消火剤を使用して消火する。
延焼の恐れのないよう水スプレーで周囲のタンク、建物等の冷却をする。
消火活動は風上から行う。
火災場所の周辺には関係者以外の立ち入りを規制する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
消火を行う者の保護消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服(耐熱性)を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び
緊急措置
関係者以外の立ち入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(自給式呼吸器付化学保護衣等)を着用し、眼、皮膚への接触や吸入を避ける。
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
この物質を環境中に放出してはならない。
下水に流してはならない。
こぼれた物質をふた付きの容器内に掃き入れる。
湿らせてもよい場合は、粉じんを避けるために湿らせてから掃き入れる。
残留分をに注意深く集める。
地域規則に従って保管・処理する。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項裸火禁止。
火や高温面の近くで、又は溶接作業中に使用してはならない。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
作業衣を家に持ち帰ってはならない。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件元の容器でのみ貯蔵する。
換気のよい部屋に保管する。
食品や飼料から離しておく。
排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。
施錠して保管すること(毒劇物)。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度未設定
許容濃度
日本産衛学会(2017年度版)未設定
ACGIH(2017年版)TLV-TWA: 0.1 ppm (Inhalable fraction of the aerosol)
(Skin)
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所換気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具呼吸用保護具を使用する。
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具粉末の場合には呼吸用保護具と併用して、顔面シールド又は眼用保護具を着用する。
皮膚及び身体の保護具保護衣を着用する。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色粒状結晶 (HSDB (2017))
臭い弱いメルカプタン臭 (HSDB (2017))
臭いのしきい(閾)値情報なし
pH情報なし
融点・凝固点41〜42℃ (Merck (15th, 2013))
沸点、初留点及び沸騰範囲160℃ (分解) (GESTIS (2017))
引火点82°F〜87°F (c.c.) (HSDB (2017))
蒸発速度(酢酸ブチル=1)情報なし
燃焼性(固体、気体)不燃性 (ICSC (J) (1998))
可燃性 (GESTIS (2017))
燃焼又は爆発範囲情報なし
蒸気圧0.0000187 mmHg [換算値 0.00249 Pa] (Merck (15th, 2013))
蒸気密度情報なし
比重(相対密度)1.44 (20℃) (HSDB (2017))
溶解度水:1.4 mg/L (25℃) (HSDB (2017))
n-オクタノール/水分配係数log Kow = 4.96 (HSDB (2017))
 
自然発火温度情報なし
分解温度160℃ (GESTIS (2017))
粘度(粘性率)情報なし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性通常の取扱い条件下では安定である。
危険有害反応可能性約160℃で分解する。塩化水素、ホスゲン、リン酸化物、窒素酸化物及びイオウ酸化物を含む有毒で腐食性のヒュームを生じる。銅及び真ちゅうを侵す。
避けるべき条件裸火、混触危険物質との接触
混触危険物質強酸、腐食剤、アミン、真ちゅう
危険有害な分解生成物塩化水素、ホスゲン、リン酸化物、窒素酸化物及びイオウ酸化物を含む有毒で腐食性のヒューム

11.有害性情報
急性毒性
経口GHS分類: 区分3
ラットのLD50値として、82 mg/kg (雌) (ATSDR (1997))、118 mg/kg (雄) (ATSDR (1997))、135 mg/kg (雌) (ATSDR (1997)、食品安全委員会農薬評価書 (2011))、155 mg/kg (雌雄) (ATSDR (1997))、163 mg/kg (雄) (食品安全委員会農薬評価書 (2011))、223 mg/kg (雌雄) (EPA Pesticide (2006)) の6件の報告に基づき、区分3とした。
経皮GHS分類: 区分外
ラットのLD50値として、202 mg/kg (ATSDR (1997)、ACGIH (7th, 2003)、EPA Pesticide (2006))、> 2,000 mg/kg (食品安全委員会農薬評価書 (2011)) の2件の報告があり、1件は区分3、1件は区分外に該当するが、GLP準拠試験である食品安全委員会農薬評価書のデータを採用して、区分外とした。
吸入:ガスGHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:蒸気GHS分類: 分類対象外
GHSの定義における固体である。
吸入:粉じん及びミストGHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。なお、ラットのLC50値として、> 0.2mg/Lとの報告 (EPA Pesticide (2006)、食品安全委員会農薬評価書 (2011)) がある。本物質は固体であるため、エアロゾルのデータである可能性があるが、このデータだけでは区分を特定できないことから、分類できないとした。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性GHS分類: 区分外
ウサギを用いた皮膚刺激性試験で軽度の刺激性を有し7日間で回復したとの報告 (EPA Pesticide (2006)、食品安全委員会農薬評価書 (2011)) から、区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性GHS分類: 区分2B
ウサギを用いた眼刺激性試験で軽度の刺激性を認め、24時間で回復したとの報告 (EPA Pesticide (2006)、食品安全委員会農薬評価書 (2011)) から、区分2Bとした。今回の調査で入手した情報をもとに区分を見直した。
呼吸器感作性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性GHS分類: 分類できない
モルモットを用いたビューラー法による皮膚感作試験で感作性を認めなかったとの報告 (食品安全委員会農薬評価書 (2011)) があるが、報告が1例のみであるため、分類できないとし、区分を見直した。
生殖細胞変異原性GHS分類: 分類できない
ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性、陽性の報告がある (食品安全委員会農薬評価書 (2011)、ATSDR (1997)) が、陽性結果の再現性は認められていない。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験及び姉妹染色分体交換試験でいずれも陰性である (食品安全委員会農薬評価書 (2011)、ATSDR (1997)、NTP DB (Access on May 2017))。
発がん性GHS分類: 分類できない
ラットに2年間、マウスに18ヵ月間又は2年間混餌投与した試験で、発がん性は認められなかった (食品安全委員会農薬評価書 (2011))。既存分類ではACGIHがA4に (ACGIH (7th, 2003)、1995年提案)、EPAがグループE (Evidence of Non-Carcinogenicity for Humans) に分類している (Chemicals Evaluated for Carcinogenic Potential: Annual Cancer Report (2016)、評価年: 1993年)。以上よりガイダンスに従い、発がん分類の提案年がより新しいACGIHの分類結果に基づき、分類できないとした。
生殖毒性GHS分類: 分類できない
ラットを用いた混餌投与による2世代試験では親動物に1 mg/kg/day以上で赤血球コリンエステラーゼ活性の阻害がみられたが、最高用量の5 mg/kg/day まで親動物に生殖への有害影響はみられなかった。ただ、児動物には5 mg/kg/dayで生存率の低下と体重増加抑制がみられた (食品安全委員会農薬評価書 (2011)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2003))。一方、妊娠ラット、妊娠マウス、又は妊娠ウサギの器官形成期に強制経口投与した発生毒性試験では、ラットで15 mg/kg/day、マウスで10 mg/kg/day、ウサギで140 mg/kg/dayで母動物に体重増加抑制が認められたが、胎児への影響は母動物毒性量以上でも影響なし又は軽微な低体重による所見に限定された (食品安全委員会農薬評価書 (2011)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2003))。また、妊娠ラットに強制経口投与 (妊娠6〜20日) し、児動物の神経発達影響を調べた試験で、母動物には0.3 mg/kg/day以上で赤血球コリンエステラーゼ阻害作用が生じたが、児動物には5.0 mg/kg/dayで低体重による所見がみられただけで発達神経毒性は認められなかった (食品安全委員会農薬評価書 (2011))。以上、全体的に親動物の毒性量においても分類根拠とすべき明確な生殖発生影響はみられていないが、ラット2世代試験では最高用量が5 mg/kg/day とやや低めの用量においても児動物に生存率低下がみられており、さらに高用量投与した場合の生殖発生影響の有無に関する情報が不足していると考えられる。よって、分類できないとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)GHS分類: 区分1(神経系)
本物質は有機リン系殺虫剤であり、アセチルコリンエステラーゼを阻害する (ATSDR (1997)、食品安全委員会農薬評価書 (2011))。
ヒトでは事故や自殺企図による本物質の急性経口ばく露で、昏睡、発作様動作、瞳孔縮小、筋肉の痙攣と攣縮、反射亢進又は低下、流涙、流涎、発汗、気管支漏、アテトーゼを起こした症例が複数、報告されている (ATSDR (1997))。また、ヒトの急性吸入ばく露の症状として、知覚異常、めまい、頭痛が報告されている (ATSDR (1997))。実験動物では、ラットの単回経口投与試験において、区分1相当の60〜100 mg/kgの用量で活動性低下、運動失調、振戦、体温低下が認められ、また脳、血漿、赤血球のコリンエステラーゼ活性の低下がみられたとの報告がある (ACGIH (7th, 2003))。以上より区分1 (神経系) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)GHS分類: 区分1 (神経系、副腎)、区分2 (眼、血液系、肝臓)
ヒトについては、3ヵ月以内に本物質を使用したペットを管理する従業員にかすみ目、皮膚の発赤、尿量減少、平均0.4年間ばく露された本物質のシロアリ駆除剤塗布作業者に疲労感、眩暈、集中力の低下、記憶障害、意気消沈、頭痛が報告されている (PATTY (6th, 2012))。
実験動物については、ラット、マウスを用いた混餌による90日間反復経口投与毒性試験において、ラットでは区分1のガイダンス値の範囲内である1.0 mg/kg/day以上で赤血球コリンエステラーゼ活性阻害 (20%以上)、5.0 mg/kg/day以上で脳コリンエステラーゼ活性阻害、副腎束状帯空胞化、区分2のガイダンス値の範囲内である15 mg/kg/dayで赤血球数、ヘマトクリット値の減少等がみられ、マウスでは、区分1のガイダンス値の範囲内である50 ppm (7.5 mg/kg/day) 以上で脳アセチルコリンエステラーゼ活性阻害、区分2のガイダンス値の範囲内である200 ppm (30 mg/kg/day) 以上で副腎脂肪性色素沈着、400 ppm (60 mg/kg/day) 以上で死亡率増加、眼球混濁、急性又は亜急性角膜炎の報告がある (食品安全委員会農薬評価書 (2011))。また、ラットを用いた混餌による2年間反復経口投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内である1.0 mg/kg/day以上で赤血球コリンエステラーゼ活性阻害、10 mg/kg/dayで総コレステロール・総タンパク・グロブリン低下、脳コリンエステラーゼ活性阻害、副腎皮質束状帯脂肪空胞化等がみられ、マウスを用いた混餌による18ヵ月間反復経口投与毒性試験において、区分1のガイダンス値の範囲内あるいはその上限近傍である50 ppm (雄: 6.1〜12 mg/kg/day、雌: 6.6〜12 mg/kg/day) 以上で、赤血球・脳コリンエステラーゼ活性阻害、区分2のガイダンス値の範囲内である250 ppm (雄: 32〜55 mg/kg/day、雌: 34〜62 mg/kg/day) で眼球混濁、流涎、肝臓の軽度亜急性胆管炎・組織球増生・小葉中心性肝細胞脂肪空胞化の報告がある (食品安全委員会農薬評価書 (2011))。
以上から、区分1 (神経系、副腎)、区分 2 (眼、血液系、肝臓) とした。
吸引性呼吸器有害性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性(急性)甲殻類 (ネコゼミジンコ属)の48時間LC50 = 0.000058 mg/L (ECETOC TR91, 2003)から、区分1とした。
水生環境有害性(長期間)急性毒性が区分1、急速分解性がなく (BODによる分解度:0.2%(既存化学物質安全性点検データ))、生物蓄積性がある (BCF = 2880 (既存化学物質安全性点検データ))ことから、区分1とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号2783
国連品名ORGANOPHOSPHORUS PESTICIDE, SOLID, TOXIC
国連危険有害性クラス6.1
副次危険-
容器等級L
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及び
IBCコードによるばら積み
輸送される液体物質
該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報道路法、毒物及び劇物取締法の規定に従う。
特別な安全上の対策道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*152
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2008 Emengency Response Guidebook (ERG 2008)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
化審法旧第3種監視化学物質(旧法第2条第6項)
旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項)
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
毒物及び劇物取締法劇物(指定令第2条)
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)
航空法毒物類・毒物(施行規則第194条危険物告示別表第1)
船舶安全法毒物類・毒物(危規則第3条危険物告示別表第1)
水質汚濁防止法指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3)
海洋汚染防止法個品運送P(施行規則第30条の2の3、国土交通省告示)
建築基準法化学物質の建築材料への使用規制(法第28条の2の3、施行令第20条の5)

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。