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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
五酸化りん
作成日 2009年3月30日
改訂日 2023年3月31日
1.化学品及び会社情報
化学品の名称五酸化りん
化学品の英語名称Phosphorus pentoxide
製品コードR04-B-012-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限医薬・農薬・界面活性剤・難燃剤原料,脱水剤,消火剤 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用
物理化学的危険性-
健康に対する有害性皮膚腐食性/刺激性区分1
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
分類実施日
(環境有害性)
ガイダンス(H20.9.5版)(GHS 2版)
環境に対する有害性-
GHSラベル要素
絵表示腐食性
注意喚起語危険
危険有害性情報重篤な皮膚の薬傷及び眼の損傷
注意書き
 安全対策粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱い後は手をよく洗うこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置飲み込んだ場合:口をすすぐこと。無理に吐かせないこと。
皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を水【又はシャワー】で洗うこと。
汚染された衣類を再使用する場合には洗濯をすること。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名五酸化りん
慣用名又は別名無水リン酸
英語名Phosphorus pentoxide
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)O5P2 (141.94)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号1314-56-3
官報公示整理番号(化審法)1-523
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。呼吸が止まっている場合は人工呼吸を行う。すぐに医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合迅速に汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した乾燥粉じんを素早く払い落とすか、拭き取る。その後直ちに汚染された部分を強い流水で継続的に洗浄する。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
眼に入った場合できるだけ早く、流水で10分間洗浄する。コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外し、洗浄を続けること。搬送中も流水で洗浄する。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、GHS分類結果参照。
飲み込んだ場合口をすすぐ。負傷者に意識がある場合は、コップ1杯の水(約200ml)を飲ませる。無理に吐かせない。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:喉への刺激、咳、鼻汁、高濃度では肺の損傷、喉頭・声門浮腫、気管支痙攣の危険性。
皮膚:特に湿った皮膚の急速な痛みを伴う化学熱傷。
眼:即時の灼熱感、痛み、眼瞼痙攣、瞼・結膜・角膜の化学熱傷(青白い、不可逆的な混濁の可能性)。
経口摂取:接触した粘膜(唇、口、食道、胃、腸)の化学熱傷、声門浮腫/声門痙攣の危険性、食道/胃/腸の穿孔の危険性。
吸収:化学熱傷の結果として、心臓/循環器系への可能な急性反応(虚脱、ショック)。
以上、GESTIS参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤不燃性。周辺の火災に応じた適切な消火剤を使用する。
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質(リン酸化物)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法情報なし
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置周囲に注意喚起し、避難させる。漏出区域に入るときは保護具を着用すること。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項水域に対する危険性は低い。非常に多量に水、排水、下水、または地中に入った場合は、自治体に連絡する。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材粉じんが発生しないように回収する。その後、換気し漏出個所を洗浄する。水は使用しないこと。
以上、GESTIS参照。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項容器を開けたままにしない。粉じんの発生を避ける。いかなる接触も避ける。使用時は十分な換気をすること。
以上、GESTIS参照。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策粉じんの吸入や接触を避ける。取扱後は手をよく洗浄する。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。
以上、GESTIS、GHS分類結果参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管する。容器を密閉して涼しくて乾燥した換気の良い場所に保管する。吸湿性があるので湿気は避ける。内容物を窒素ガス下で保管する。可燃性物質、還元剤、強酸化剤、強塩基および水から離しておくこと。
以上、GESTIS、ICSC、GHS分類結果参照。
安全な容器包装材料国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度等
日本産衛学会(2022年版)未設定
ACGIH(2022年版)未設定
設備対策作業場所には換気設備を設置する。取り扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具緊急時(例:意図しない物質の放出、ばく露限界値を超える場合)には、呼吸保護具を着用する。
作業者が粉じんにばく露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。
防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。
-酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。
-防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
以上、GESTIS参照。
手の保護具保護手袋を着用する。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具化学用安全ゴーグル、または顔面保護シールドを着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて十分な長さのエプロンと長靴、または化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色
臭い無臭
融点/凝固点562 ℃(固有の圧力のもとで)(Hommel (1996))
340 ℃(Lewis (2001))
580〜585 ℃(加圧)(化学薬品の混触危険ハンドブック (1997))
沸点、初留点及び沸騰範囲605 ℃(CRC (2018))
≧300 ℃(昇華)(Hommel (1996))
300 ℃(昇華)(Lewis (2001))
可燃性データなし
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界データなし
引火点不燃性であるが、発火作用がある(Hommel (1996))
20 ℃(道路輸送危険物のデータシート (1996))
自然発火点不燃性であるが、発火作用がある(Hommel (1996))
分解温度データなし
pHデータなし
動粘性率データなし
溶解度データなし
n-オクタノール/水分配係数データなし
蒸気圧1.3 mbar(388℃)(Hommel (1996))
1 mmHg(384℃ (SOLID))(HSDB (2022))
密度及び/又は相対密度2.3 g/cm3(CRC (2013))
2.3 -(Lewis (2001))
2.39 -(HSDB (2022))
相対ガス密度データなし
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性塩基と激しく反応し、腐食性を示す。過塩素酸と激しく反応する。水と激しく反応し、リン酸を生じる。水の存在下で多くの金属を侵す。(ICSC)可燃性物質と激しく反応する。(GESTIS)
避けるべき条件熱、衝撃、摩擦
混触危険物質水、塩基、酸化剤
危険有害な分解生成物一酸化炭素、二酸化炭素、リン酸化物

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
経皮【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しない。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
データ不足のため分類できない。なお、旧分類の根拠とされたIUCLID (2000)の試験データは入手可能なList 2情報源からは確認できなかった。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分1とした。

【根拠データ】
(1)本物質は皮膚及び眼に腐食性及び刺激性を示す(Patty (6th, 2012))。
(2)本物質は腐食性を有する(HSDB in PubChem (Accessed Aug. 2022))。

【参考データ等】
(3)EUではSkin Corr. 1Aに分類されている(CLP分類結果 (Accessed Aug. 2022))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分1とした。

【根拠データ】
(1)皮膚腐食性/刺激性で区分1である。
(2)本物質は皮膚及び眼に腐食性及び刺激性を示す(Patty (6th, 2012))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)In vitroでは、チャイニーズハムスター肺由来細胞を用いた遺伝子突然変異試験(OECD TG473、GLP)で陰性(S9+/-)の結果がある(REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。
発がん性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
生殖毒性【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

【参考データ等】
(1)約0.17 ± 0.12mg/m3の本物質ばく露レベルの作業状況下で8時間/日、約200日/年(計40年以上従事)で作業した約20人には、本物質ダストに関連する肺疾患はみられなかった。また、約70人の作業者について肺機能検査が毎年実施されたが、リン粉じんに関する肺機能の変化は観察されなかったとの報告がある(REACH登録情報 (Accessed Aug. 2022))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)データなし。
水生環境有害性 長期(慢性)データなし。
残留性・分解性情報なし
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号1807
品名(国連輸送名)五酸化リン(無水リン酸)
国連分類8
副次危険-
容器等級U
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報該当しない
特別な安全上の対策該当しない
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*137
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法労働安全衛生法に基づくラベル表示・SDS交付の義務化候補物質リスト(令和4年)
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)該当しない
毒物及び劇物取締法該当しない
船舶安全法腐食性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法腐食性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
R5.3.31: 物理化学的危険性、健康に対する有害性を見直した。