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安全データシート
シクロヘキサノン
作成日 2003年12月5日
改訂日 2010年3月31日
1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称シクロヘキサノン、(Cyclohexanone)
製品コード21B3037
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
緊急時の電話番号03-1234-5678
FAX番号03-1234-5678
メールアドレス    
推奨用途及び使用上の制限ナイロン用原料のアジピン酸及びかプロ楽他無の製造、樹脂、ニトロセルロース、ゴム、シェラック樹脂、およびワックス等の溶剤
 

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日H22.2.19、政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)を使用
物理化学的危険性火薬類分類対象外
 可燃性・引火性ガス分類対象外
 可燃性・引火性エアゾール分類対象外
 支燃性・酸化性ガス類分類対象外
 高圧ガス分類対象外
 引火性液体区分3
 可燃性固体分類対象外
 自己反応性化学品分類対象外
 自然発火性液体区分外
 自然発火性固体分類対象外
 自己発熱性化学品分類できない
 水反応可燃性化学品分類対象外
 酸化性液体分類対象外
 酸化性固体分類対象外
 有機過酸化物分類対象外
 金属腐食性物質分類できない
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
 急性毒性(経皮)区分3
 急性毒性(吸入:ガス)分類対象外
 急性毒性(吸入:蒸気)区分3
 急性毒性(吸入:粉じん)分類対象外
 急性毒性(吸入:ミスト)区分外
 皮膚腐食性・刺激性区分2
 眼に対する重篤な損傷・眼刺激性区分2A
 呼吸器感作性分類できない
 皮膚感作性区分1
 生殖細胞変異原性区分2
 発がん性区分外
 生殖毒性区分2
 特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)区分1(呼吸器系)、区分2(中枢神経系)、区分3(麻酔作用)
 特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)区分1(中枢神経系、骨)
 吸引性呼吸器有害性分類できない
環境に対する有害性
分類実施日急性毒性:H22.2.19、政府向けGHS分類ガイダンス(H21.3版)を使用
 慢性毒性:H18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10)を使用
 水生環境急性有害性区分外
 水生環境慢性有害性区分外
ラベル要素
絵表示又はシンボル炎どくろ健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報引火性の液体および蒸気
 飲み込むと有害
 皮膚に接触すると有毒
 吸入すると有毒
 皮膚刺激
 強い眼刺激
 アレルギー性皮膚炎を起こすおそれ
 遺伝性疾患のおそれの疑い
 生殖能または胎児への悪影響のおそれの疑い
 呼吸器系の障害
 中枢神経系の障害のおそれ
 眠気やめまいのおそれ
 長期にわたる、または、反復ばく露により中枢神経系、骨の障害
注意書き
 【安全対策】
 熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
 容器を密閉しておくこと。
 静電気的に敏感な物質を積みなおす場合、容器を接地すること、アースをとること。
 防爆型の電気機器、換気装置、照明機器等を使用すること。
 火花を発生させない工具を使用すること。
 静電気放電に対する予防措置を講ずること。
 適切な保護手袋、保護衣、保護眼鏡、保護面を着用すること。
 取扱い後はよく手を洗うこと。
 この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
 屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
 汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
 使用前に取扱説明書を入手すること。
 すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
 適切な個人用保護具を使用すること。
 ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
 【応急措置】
 皮膚または髪に付着した場合、直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。皮膚を流水、シャワーで洗うこと。
 火災の場合には適切な消火方法をとること。
 飲み込んだ場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
 飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
 皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
 皮膚に付着した場合、気分が悪い時は、医師に連絡すること。
 皮膚刺激または発疹が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。
 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。
 汚染された衣類を再使用す場合には洗濯をすること。
 吸入した場合、空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
 吸入した場合、医師に連絡すること。
 皮膚に付着した場合、皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。
 眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
 眼に入った場合、眼の刺激が続く場合は、医師の診断、手当てを受けること。
 ばく露またはばく露の懸念がある場合、医師の診断、手当てを受けること。
 ばく露した場合、医師に連絡すること。
 ばく露した時、または気分が悪い時は、医師に連絡すること。
 気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
 【保管】
 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
 施錠して保管すること。
 換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
 【廃棄】
 内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報
 

3.組成及び成分情報
化学物質
化学名又は一般名シクロヘキサノン
別名ケトシクロヘキサン、(Ketocyclohexane)、オクソシクロヘキサン、(Oxocyclohexane)、ピメリンケトン、(Pimerinketone)
分子式 (分子量)C6H10O(98.14)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号108-94-1
官報公示整理番号(化審法・安衛法)(3)-2376
分類に寄与する不純物及び安定化添加物データなし
濃度又は濃度範囲100%
 

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
 医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、取り除くこと。 皮膚を流水、シャワーで洗うこと。
 多量の水と石鹸で洗うこと。
 汚染された衣類を再使用する場合には洗濯すること。
 皮膚刺激が生じた場合、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
 眼の刺激が続く場合は、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合気分が悪い時は、医師に連絡すること。
 口をすすぐこと。
予想される急性症状及び遅発性症状吸入:咳、咽頭痛、めまい、し眠。
 皮膚:皮膚の乾燥、 発赤。
 眼:発赤、痛み。
 経口摂取 : 腹痛、灼熱感。
最も重要な兆候及び症状許容濃度をはるかに超えると、意識が低下することがある。
応急措置をする者の保護データなし
医師に対する特別注意事項データなし
 

5.火災時の措置
消火剤水噴霧、泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂類
使ってはならない消火剤棒状放水
特有の危険有害性極めて燃え易く、熱、火花、火炎で容易に発火する。
 消火後再び発火するおそれがある。
 火災時に刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。
 強力な酸化剤(硝酸など)と反応し、火災や爆発の危険をもたらす。 44℃以上では、蒸気/空気の爆発性混合気体を生じることがある。
特有の消火方法危険でなければ火災区域から容器を移動する。
 容器が熱に晒されているときは、移動させない。
 安全に対処できるならば着火源を除去すること。
消火を行う者の保護適切な空気呼吸器、防護服(耐熱性)を着用する。
 

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具および緊急措置全ての着火源を取り除く。
 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
 関係者以外の立入りを禁止する。
 密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項環境中に放出してはならない。
回収・中和不活性材料(例えば、乾燥砂又は土等)で流出物を吸収して、化学品廃棄容器に入れる。
封じ込め及び浄化方法・機材危険でなければ漏れを止める。
二次災害の防止策すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
 排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
 

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気『8.ばく露防止及び保護措置』に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項取扱い後はよく手を洗うこと。
 この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
 消防法の規制に従う。
 屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
 使用前に取扱説明書を入手すること。
 すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
 ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
 皮膚と接触しないこと。
 飲み込まないこと。
 眼に入れないこと。
接触回避『10.安定性及び反応性』を参照。
保管
技術的対策消防法の規制に従う。
混触危険物質『10.安定性及び反応性』を参照。
保管条件容器を密閉して冷乾所にて保存すること。
 熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から離して保管すること。−禁煙。
 換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
 施錠して保管すること。
容器包装材料データなし
 

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度20ppm
許容濃度 (ばく露限界値、生物学的ばく露指標)
日本産衛学会25ppm
 100mg/m3(2009年版)
ACGIHTWA 20ppm STEL 50ppm Skin (2009年版)
設備対策この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
 消防法の規制に従う。
 ばく露を防止するため、装置の密閉化又は防爆タイプの局所排気装置を設置すること。
保護具
呼吸器の保護具適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具適切な眼の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具適切な保護衣を着用すること。
衛生対策取扱い後はよく手を洗うこと。
 この製品を使用する時に、飲食または喫煙をしないこと。
 

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状液体
無色
臭い特徴臭
pHデータなし
融点・凝固点-32.1℃ : Merck (14th,2006)
沸点、初留点及び沸騰範囲155.6℃ (760mmHg) : Merck (14th,2006)
引火点44℃ (密閉式) : HSDB (2002)
自然発火温度420℃ : ホンメル(1991)
燃焼性(固体、ガス)データなし
爆発範囲1.1〜9.4vol% (100℃) : ICSC (2002)
蒸気圧4.33mmHg (25℃) : Howard(1997)
蒸気密度3.4 : Sax (11th,2004)
蒸発速度(酢酸ブチル=1)データなし
比重(密度)0.95 (20℃,4℃) : Chapman (2005) 0.9478g/cm3 (20℃) : Lide(88th, 2008)
溶解度水 : 25000mg/L : PHYSPROP Database (2005)
 アセトン、エーテル、アルコール : 可溶 : HSDB (2002)
オクタノール・水分配係数logP =0.081 (測定値) : SRC (2005)
分解温度データなし
粘度2.017mPa・s (25℃) : Lide(88th, 2008)
粉じん爆発下限濃度データなし
最小発火エネルギーデータなし
体積抵抗率(導電率)データなし
 

10.安定性及び反応性
安定性法規制に従った保管及び取扱においては安定と考えられる
危険有害反応可能性強力な酸化剤(硝酸など)と反応し、火災や爆発の危険をもたらす。 44℃以上では、蒸気/空気の爆発性混合気体を生じることがある。
避けるべき条件44℃以上
混触危険物質強力な酸化剤
危険有害な分解生成物爆発性混合気体
 

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットのLD50値が13件(1620, 1840, 1800, 1400, 1296, 1540, 1550, 800-1600, 1840, 2000, 2650, 3460, 1534 mg/kg)報告されている(SIDS(access on Apr, 2009)、DFGOTvol. 10(1998))。そのうち重複が1件、3002000mg/kgが3件である。これに基づき区分4とした。
経皮ウサギLD50=947mg/kg(DFGOT(1998), PATTY(2001))により、区分3とした。
吸入吸入(ガス):GHSの定義による液体である。
 吸入(蒸気):ラットLC50=2450ppm(換算値9.8mg/L)(ACGIH (2003))に基づき、区分3とした。なお、飽和蒸気圧濃度=5700ppm (25℃) (Howard,1997)より、蒸気での試験とみなす。
 吸入(ミスト):ラットLC50 = 8000 ppm(32.1 mg/L)(ACGIH (2003))に基づき、区分外とした。なお、飽和蒸気圧濃度=5700ppm(25℃)(Howard,1997)より、ミストでの試験とみなす。
皮膚腐食性・刺激性ウサギの皮膚に2種類のシクロヘキサノンのサンプルを閉塞適用し、その1種で壊死を認め腐食性と判定された(SIDS(access on Apr, 2009))結果がある。しかし、ウサギを用いた腐食性評価の試験で腐食性なし(SIDS(access on Apr, 2009))、また、原液を開放適用した別の試験で刺激性なし(SIDS(access on Apr, 2009))、さらに、試験物質の99%液を24時間閉塞適用した試験では著しい刺激性が見られたが、徐々に軽快し7日目までに消失した(PATTY (5th, 2001))など、腐食性を否定する複数の証拠に基づき、区分2とした。
眼に対する重篤な損傷・刺激性ウサギの眼に試験物質原液を適用により著しい刺激性と角膜損傷を起こした(ACGIH (2003))。軽度の虹彩炎と結膜炎を伴う角膜傷害は可逆的であったが、適用14日後に未だ角膜に軽度の影響が残っており(SIDS(access on Apr, 2009))、区分2Aとした。なお、水溶液で適用した場合に一部で腐食性の結果(SIDS(access on Apr, 2009))も報告されている。また、眼に関するヒトの情報(PATTY (5th, 2001))は吸入ばく露によるものであるので採用しない。
呼吸器感作性又は皮膚感作性呼吸器感作性:データなし
 皮膚感作性:Frosch接触アレルゲンリスト(FROSCH, TEXTBOOK OF CONTACT DERMATITIS)に収載されているため区分1とした。
生殖細胞変異原性ラットの皮下投与による骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)の陽性結果(SIDS(access on Apr, 2009))に基づき、区分2とした。なお、その他のin vivo試験として、マウスの吸入投与による優性致死試験(経世代変異原性試験)において陰性(SIDS(access on Apr, 2009))、ラットの吸入投与による骨髄細胞を用いた染色体異常試験(体細胞in vivo変異原性試験)で陰性の報告がある。また、in vitro試験ではAmes試験(IARC 47 (1989)、SIDS(access on Apr, 2009))では陰性ならびに陽性、CHO細胞またはヒトリンパ球を用いた染色体異常試験(IARC 47 (1989)、SIDS(access on Apr, 2009))ではそれぞれ陰性または陽性、マウスリンパ腫L51784を用いた前進突然変異試験で陰性の報告がある。
発がん性IARCによる発がん性評価がグループ3であり(IARC 47 (1989)、IARC 71 (1999))、ACGIHはA3に分類している(ACGIH (2003))が、ACGIH(2003)では新たな知見による評価でなないため、総合的にIARCによる評価を採用し区分外とした。なお、ラットおよびマウスに2年間飲水混入により投与した試験において、ラットでは雄の低用量群で副腎皮質の腺腫の有意な増加、雄の高用量群で甲状腺濾胞細胞の腺腫・癌腫の(有意でない)増加が報告されている(IARC 47 (1989))。一方、マウスでは雄の低用量群で肝細胞の腺腫・癌腫の有意な増加、雌の低用量群で悪性リンパ腫および白血病の増加が報告されている(IARC 47 (1989))が、いずれも低用量群の動物においてであり、この系統のマウスによく見られる腫瘍の軽度の発生増加であった。
生殖毒性ラットの吸入ばく露による二世代試験(DFGOTvol.10 (1998)、SIDS (access on Apr, 2009))において、流涙、不規則呼吸、運動失調など毒性症状が発現する高用量(5700 mg/m3)群でF1世代の仔の数が減少したが、この影響は雄生殖能の低下と捉えられ、次世代の生存率低下を招いたことから、区分2とした。なお、ラット、マウスおよびウサギの器官形成期あるいは妊娠期間中に吸入または経口ばく露した試験(SIDS (access on Apr, 2009)、DFGOT Vol.10 (1998))では、いずれ動物種も催奇形性を含め仔の発生に対し悪影響は認められていない。
特定標的臓器・全身毒性(単回ばく露)ラットおよびマウスの経口投与により催眠症状が現れ(SIDS (access on Apr, 2009))、さらにモルモットの吸入ばく露およびウサギの経口投与後の症状として麻酔が記載されている(SIDS (access on Apr, 2009))ことから区分3(麻酔作用)とした。また、高用量の場合は死亡に至り、急性毒性用量(LD50: 1300〜3500 mg/kg)における症状は中枢神経系の抑制であると記述されているので、区分2(中枢神経系)とした。また、ラットに475〜3800 mg/kgの経口投与試験における肺の出血(SIDS (access on Apr, 2009))、マウスに19.2mg/Lを90分(4時間補正:7.2 mg/L)吸入ばく露(蒸気)した試験における肺のうっ血と水腫、肺実質の限局性またはび慢性出血の所見(SIDS (access on Apr, 2009))に基づき、区分1(呼吸器系)とした。 なお、ヒトのボランティア試験で認められた鼻と咽喉の著しい刺激性(ACGIH (2003))は、気道刺激性とせず呼吸器系への影響に含めた。また、ヒトの事故または自殺によるばく露事例(DFGOT Vol.10 (1998)、(PATTY (5th, 2001)))で、肝炎、肝酵素の上昇、肝細胞の膨化と炎症性浸潤など肝障害を示す所見が得られているが、いずれも混合物のばく露の結果であり、他の成分による可能性を否定できず本物質によるものとは断定できないので採用せず、PATTY (5th, 2001)に脾臓についての記述もあるが、動物種、用量、ばく露期間などを特定できず、かつ他の評価書にも関連情報の記載がないことから、採用しなかった。
特定標的臓器・全身毒性(反復ばく露)家具製造工場で木材にシクロヘキサノンを塗る作業の間にばく露を受けた75人の労働者について、神経毒性学的影響の調査が行われた。その結果、気分不良、記憶困難、睡眠障害などの神経毒性症状の報告割合が増加している(PATTY (5th, 2001))ことが明らかになったことと併せ、本物質には中枢神経抑制作用があるとされている(ACGIH (2003))ことから、区分1(中枢神経系)とした。以上の調査で同時に報告率が増加した症状として、リウマチ症状(骨痛、関節痛、筋肉痛)があるが、これらの症状に中で骨痛については別の評価書でも記載されている(ACGIH (7th, 2003))ので採用し、区分1(骨)とした。 なお、肝臓と腎臓に関しては、PATTY (5th、2001)に"Liver and kidney effects"との記述があるが、それ以上の具体的な記載がなく、他の評価書でも記載または引用されていないので採用しなかった。
吸引性呼吸器有害性動粘性率(40℃)<14mm2/sと考えられ(動粘性率 = 2.13mm2/s (24℃)(Renzo(3rd,1986)に基づく)、また、「13を超えない炭素原子で構成されたケトンであることから旧分類の区分2相当であるが、区分1を示すデータはなく、区分2を使用しないJIS準拠のガイダンス文書に従い分類できないとした。
 

12.環境影響情報
水生環境急性有害性魚類(ファットヘッドミノー)での96時間LC50 = 527 mg/L(SIDS, 1996, 他)、甲殻類(オオミジンコ)での24時間LC50 = 800 mg/L(SIDS, 1996)であることから、区分外とした。
水生環境慢性有害性難水溶性でなく(水溶解度=25000mg/L(PHYSPROP Database、2005))、急性毒性が低いことから、区分外とした。
 

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
汚染容器及び包装容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
 空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。
 

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報IMOの規定に従う。
 UN No.1915
 Proper Shipping Name.CYCLOHEXANONE
 Class3
 Packing GroupL
 Marine PollutantNot Applicable
航空規制情報ICAO・IATAの規定に従う。
 UN No.1915
 Proper Shipping Name.Cyclohexanone
 Class3
 Packing GroupL
国内規制
陸上規制情報消防法の規定に従う。
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
 国連番号1915
 品名シクロヘキサノン
 クラス3
 容器等級L
 海洋汚染物質非該当
航空規制情報航空法の規定に従う。
 国連番号1915
 品名シクロヘキサノン
 クラス3
 等級3
特別安全対策移送時にイエローカードの保持が必要。
 食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
 重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号127
 

15.適用法令
労働安全衛生法第2種有機溶剤等(施行令別表第6の2・有機溶剤中毒予防規則第1条第1項第4号)
 作業環境評価基準(法第65条の2第1項)
 名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
 危険物・引火性の物(施行令別表第1第4号)
海洋汚染防止法有害液体物質(Z類物質)(施行令別表第1)
消防法第4類引火性液体、第二石油類非水溶性液体(法第2条第7項危険物別表第1・第4類)
 揮発性有機化合物 法第2条第4項 (環境省から都道府県への通達)
船舶安全法引火性液体類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法引火性液体(施行規則第194条危険物告示別表第1)
労働基準法疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条・別表第1の2第4号1・昭53労告36号)
 

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。