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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
レソルシノール(別名:レゾルシン)
作成日 2008年10月06日
改訂日 2015年3月31日
改訂日 2023年3月31日
1.化学品及び会社情報
化学品の名称レソルシノール(別名:レゾルシン)
化学品の英語名称Resorcinol
製品コードR04-C-052-JNIOSH
供給者の会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファクシミリ番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限タイヤ、コンベアベルト、駆動ベルト等の強化ゴム原料、木材の高級接着剤、染料、医薬の合成原料
(NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R5.3.31、政府向けGHS分類ガイダンス(令和3年度改訂版(Ver2.1))を使用 ※一部、ガイダンスVer.1.0 (GHS 4版, JIS Z7252:2014)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分4
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2A
皮膚感作性区分1B
特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分1(中枢神経系、血液系)
分類実施日
(環境有害性)
ガイダンス(H21.3版) (GHS 2版, JIS Z 7252:2009)
環境に対する有害性水生環境有害性 短期(急性)区分2
GHSラベル要素
絵表示感嘆符健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報飲み込むと有害
皮膚刺激
強い眼刺激
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
中枢神経系、血液系の障害
水生生物に毒性
注意書き
 安全対策取扱い後は手をよく洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーの吸入を避けること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
環境への放出を避けること。
 応急措置飲み込んだ場合:気分が悪いときは医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合:多量の水/石けん(鹸)で洗うこと。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が続く場合:医師の診察/手当てを受けること。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診察/手当てを受けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
化学物質・混合物の区別化学物質
化学名又は一般名レゾルシノール
慣用名又は別名レゾルシン
1,3−ジヒドロキシベンゼン
m−ジヒドロキシベンゼン
英語名Resorcinol
Resorcin
1,3-Dihydroxybenzene
m-Dihydroxybenzene
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C6H6O2 (110.11)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号108-46-3
官報公示整理番号(化審法)3-543
官報公示整理番号(安衛法)情報なし
GHS分類に寄与する成分(不純物及び安定化添加物も含む)情報なし

4.応急措置
吸入した場合新鮮な空気のある場所に移動させる。呼吸困難な場合は酸素吸入をさせる。医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。皮膚に付着した部分を流水と石鹸で十分に洗浄する。医師の診察を受けること。
以上、GESTIS参照。
眼に入った場合できるだけ早く、流水で10分間洗浄する。コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外し、洗浄を続ける。直ちに医師の診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS、GHS分類結果参照。
飲み込んだ場合口をすすぐ。負傷者に意識がある場合は、コップ一杯の水(約200mL) を飲ませる。無理に吐かせない。医師を事故現場に呼び、診察/手当てを受けること。
以上、GESTIS参照。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入:データ不足。 呼吸器の炎症はおそらく高濃度への曝露後にのみ発生し、全身への影響も考えられる。
皮膚:ほとんどが比較的弱い刺激(長時間接触するとより強くなる)、アレルギー反応(蕁麻疹、皮膚炎、湿疹)が起きる可能性、広い皮膚領域に物質が接触した場合は急性全身性影響の可能性 。
眼:濃度により、灼熱感、充血、結膜炎から角膜の混濁(可逆性の可能性)。
経口摂取:消化器障害(例:吐き気、嘔吐、腹部痙攣、濃度による)、比較的低用量でも全身への影響を誘発する 。
吸収:中枢神経系および心血管系反応への障害、めまい、震え、錯乱、振戦、発汗、脈拍の低下、意識喪失、強直間代性痙攣、呼吸不全;代謝性酸性血症、場合によっては肝機能および腎機能の障害、メトヘモグロビン血症はおそらく素因者だけに起こる(乳児に観察される)。
以上、GESTIS参照。
応急措置をする者の保護に必要な注意事項情報なし
医師に対する特別な注意事項情報なし

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、粉末消火薬剤、二酸化炭素。大規模火災には耐アルコール泡消火薬剤、水噴霧。
以上、GESTIS参照。
使ってはならない消火剤棒状注水
以上、GESTIS参照。
火災時の特有の危険有害性火災の場合、有害物質(一酸化炭素、二酸化炭素)が放出される可能性がある。
以上、GESTIS参照。
特有の消火方法可能であれば、容器を危険区域外に持ち出す。着火源となるものを遮断する。大量の粉じんが放出され、舞い上がった場合は、直ちに避難すること。
以上、GESTIS参照。
消火を行う者の特別な保護具及び予防措置消火作業の際は、適切な自給式の呼吸器用保護具、眼や皮膚を保護する防護服 (耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置周囲に注意喚起し、避難させる。漏出区域に入るときは保護具を着用すること。
以上、GESTIS参照。
環境に対する注意事項水域に対する危険性は大きい。地面や河川、下水への流出を避ける。少量でも流出した場合は、自治体に連絡する。
以上、GESTIS参照。
封じ込め及び浄化の方法及び機材粉じんが発生しないように回収する。その後、換気し漏出個所を洗浄する。
以上、GESTIS参照。
二次災害の防止策情報なし

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱注意事項容器を開けたままにしない。こぼさないようにする。接触を避ける。粉じんの発生を避ける。使用時は十分な換気をすること。
以上、GESTIS参照。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策皮膚や眼への接触を避ける。接触した場合は洗浄する。汚染された作業衣は作業場から出さないこと。汚染された衣服は慎重に交換、洗浄しなければならない。休憩前や作業終了時には石鹸と水で皮膚を洗い、洗浄後は脂肪分の多いスキンケア製品を塗布する。使用するときには飲食、喫煙をしないこと。
以上、GESTIS、GHS分類結果参照。
保管
安全な保管条件施錠して保管する。容器を密閉して室温の乾燥した場所に保管すること。光を避ける。
以上、GESTIS、GHS分類結果参照。
安全な容器包装材料毒劇法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度等については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGHIの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度未設定
許容濃度等
日本産衛学会(2022年版)未設定
ACGIH(2022年版)TLV-TWA: 10 ppm
TLV-STEL: 20 ppm
設備対策作業場所には適切な局所排気装置等を設置する。取り扱い場所の近くに洗眼及び身体洗浄のための設備を設ける。床に排水溝を設けないこと。
以上、GESTIS参照。
保護具
呼吸用保護具緊急時(例:意図しない物質の放出、ばく露限界値を超える場合)には、呼吸保護具を着用する。
作業者が粉じんにばく露される場合は呼吸保護具(防じんマスク等)の着用を検討する。
防じんマスクの選択については、以下の点に留意する。
-酸素濃度が18%未満の場所では使用しない。また、有害なガスが存在する場所においては防じんマスクを使用せず、その他の呼吸用保護具の利用を検討すること。
-防じんマスクは、日本工業規格(JIS T8151)に適合した、作業に適した性能及び構造のものを選ぶ。その際、取扱説明書等に記載されているデータを参考にする。
以上、GESTIS参照。
手の保護具保護手袋を着用する。天然ゴム、クロロプレン、ニトリルゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム、PVCが適している。繊維製、革製は適さない。
以上、GESTIS参照。
眼の保護具化学用安全ゴーグルを着用する。
以上、GESTIS参照。
皮膚及び身体の保護具必要に応じて適切な保護衣または化学防護服を着用する。
以上、GESTIS参照。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
白色
臭い不快な臭い
融点/凝固点111 ℃(GESTIS(2022))
110 ℃(ICSC(2018))
沸点、初留点及び沸騰範囲277 ℃(GESTIS(2022))
280 ℃(ICSC(2018))
可燃性データなし
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界1.4 vol.%(GESTIS(2022),ICSC(2018))
引火点127 ℃ (Closed cup)(GESTIS(2022),ICSC(2018))
自然発火点605 ℃ (GESTIS(2022))
607 ℃(ICSC(2018))
分解温度>=200 ℃(GESTIS(2022))
pHca. 4- 6(GESTIS(2022))
動粘性率データなし
溶解度水: 1400 g/L(20℃)(GESTIS(2022))
水: 140 g/100 mL(ICSC(2018))
n-オクタノール/水分配係数log Kow: 0.8(GESTIS(2022))
log Pow: 0.79〜0.93(ICSC(2018))
蒸気圧0.065 Pa(20℃)(ICSC(2018))
密度及び/又は相対密度データなし
相対ガス密度1.28 g/cm3(20℃)(GESTIS(2022))
1.28 g/cm3(ICSC(2018))
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性強酸化剤、アンモニアおよびアミノ化合物と反応する。 火災や爆発の危険を生じる。
避けるべき条件情報なし
混触危険物質濃硝酸、アンモニア、強酸化剤、アミノ化合物、ニトロ化合物
危険有害な分解生成物一酸化炭素、脂肪族炭化水素(ブタジエン、メタン)、芳香族化合物

11.有害性情報
急性毒性
経口ラットのLD50値として、202 mg/kg、301 mg/kg、370 mg/kg (CICAD 71 (2006))、510 mg/kg (雄/雌) (SIDS (2009))、980 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2009)、CICAD 71 (2006)、ACGIH (7th, 2001)、NTP TR 403 (1992))、202-980 mg/kg (DFGOT vol. 20 (2003)) との6件の報告がある。1件が区分3に該当するが、分類ガイダンスに従い、最も多くのデータ (4件) が該当する区分4とした。なお、1件は複数データの集約であるため、データ数に含めなかった。
経皮ウサギのLD50値として、2,830 mg/kg (SIDS (2009)、CICAD 71 (2006))、3,360 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2009)、DFGOT vol.20 (2003)、ACGIH (7th. 2001)、NTP TR 403 (1992)) との報告に基づき、区分外(国連分類基準の区分5) とした。
吸入: ガスGHSの定義における固体である。
吸入: 蒸気GHSの定義における固体である。
吸入: 粉じん及びミストラットのLC50値 (1時間) として、21.3-78 mg/L (4時間換算値:5.3-20 mg/L) との報告 (IUCLID (2000)) に基づき、区分外とした。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度(0.00289 mg/L) より高いため、ミストの基準値を適用した。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性ウサギに本物質2.5%を半閉塞適用した試験 (OECD TG 404、GLP準拠) において、刺激反応は観察されず、刺激性なしと判断されている (SIDS (2009))。 また、ウサギに本物質を24時間適用した皮膚刺激性試験において、皮膚刺激性スコア4.4及び5.4の報告があり、適用14日後に壊死部分の傷跡や瘡蓋がみられたとの報告がある (SIDS (2009)、DFGOT vol.20 (2003)、CICAD 71 (2006))。ヒト268人を対象とした疫学調査の結果、皮膚炎の発生と本物質ばく露との間に直接的関連がみられたとの報告のほか (NTP TR403 (1992)、 ACGIH (7th, 2001))、本物質ばく露による皮膚炎が複数報告されている (SIDS (2009)、PATTY (6th, 2012))。なお、本物質はEU DSD分類で「Xi;R38」、EU CLP分類で「Skin Irrit. 2 H315」に分類されている。以上、刺激性の程度は不明であるが、ヒトの疫学調査の結果をもとに区分2とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)、(2)より、区分2Aとした。なお、旧分類の根拠となった知見は本物質の工業製品を用いた知見であり、純度等の試験条件が不明のため分類には用いず、分類結果を変更した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(72時間観察)において、重度の刺激性影響がみられた(眼刺激性スコア:70/110、区分2Aに相当する結果)との報告がある(厚労省リスク評価書 (2019)、CICAD 71 (2006))。
(2)ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験(72時間観察)において、24、48及び72時間後の眼刺激性スコアはそれぞれ56.3/110、45.0/110及び39.9/110(区分2Aに相当する結果)であった(厚労省リスク評価書 (2019)、SIAR (2008)、AICIS IMAP (2016)、CICAD 71 (2006))。

【参考データ等】
(3)本物質のフレーク及び工業製品(純度不明)について、ウサギ(n=6)を用いた眼刺激性試験において、ばく露24時間後には重篤な結膜炎、虹彩炎、虹彩のほとんどを覆う角膜白濁及び角膜潰瘍がみられ、14日後には円錐角膜及びパンヌス形成がみられた。Draize法による24、48、72時間後の眼刺激性スコアは105/110であったとの報告がある(厚労省リスク評価書 (2019)、SIAR (2008)、AICIS IMAP (2016)、CICAD 71 (2006)、ACGIH (7th, 2001))。
(4)本物質の2.5%水溶液について、ウサギ(n=3)を用いた眼刺激性試験(OECD TG 405相当、GLP、72時間観察)において、眼刺激性影響はみられなかった(角膜混濁スコア:0/0/0、虹彩炎スコア:0/0/0、結膜発赤スコア:0/0/0、結膜浮腫スコア:0/0/0)との報告がある(厚労省リスク評価書 (2019)、SIAR (2008)、AICIS IMAP (2016)、CICAD 71 (2006))。
(5)EUではEye Irrit. 2に分類されている(CLP分類結果 (Accessed Oct. 2022))。
呼吸器感作性データ不足のため分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)〜(4)より、区分1Bとした。なお、新たな知見に基づき、分類結果を変更した(2022年度)。

【根拠データ】
(1)マウス(n=4/群)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指数(SI値)1.58(0.1%)、2.87(0.5%)、1.97(1%)、3.51(5%)、5.74(25%)であった。EC3値は1%適用群のSI値を除外し、1.4%(区分1Aに相当する結果)と算出されたとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
(2)(1)の知見について、RACは追加解析により、適切な統計検定を実施し、EC3値を3.67%(区分1Bに相当する結果)と再計算した。(ECHA RAC Opinion (2021))。
(3)マウス(n=4/群)を用いた局所リンパ節試験(LLNA)(OECD TG 429、GLP)において、刺激指数(SI値)0.7(1%)、2.2(5%)、5.2(10%)、8.4(25%)、10.4(50%)であり、EC3値は6.3%(区分1Bに相当する結果)と算出されたとの報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、厚労省 リスク評価書 (2019)、SIDS (2009)、AICIS IMAP (2016)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
(4)モルモット(n=10)を用いたMaximisation試験(OECD TG 406、GLP、皮内投与:2%溶液)において、惹起終了24、48時間後の陽性率はそれぞれ70%(7/10例)、50%(5/10例)であった(区分1Bに相当する結果)との報告がある(ECHA RAC Opinion (2021)、厚労省 リスク評価書 (2019)、SIDS (2009)、AICIS IMAP (2016)、CICAD 71 (2006)、REACH登録情報 (Accessed Oct. 2022))。
生殖細胞変異原性ガイダンスの改訂により「区分外」が選択できなくなったため、「分類できない」とした。すなわち、in vivoでは、ラット、マウスの小核試験、ラットの姉妹染色分体交換試験で陰性である (SIDS (2009)、NTP DB (Access on October 2014)、ACGIH (7th, 2001)、CICAD 71 (2006)、DFGOT Vol. 20 (2003)、IARC 71 (1999))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験で陰性、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験 (マウスリンフォーマ試験)、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験、小核試験で陽性の結果が認められている (SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001)、NTP DB (Access on October 2014)、CICAD 71 (2006)、IARC 71 (1999)、DFGOT Vol. 20 (2003))。
発がん性IARCでグループ3 (IARC 71 (1999))、ACGIHでA4 (ACGIH (7th, 2001)) に分類されているため、「分類できない」とした。
生殖毒性ラットを用いた経口経路 (飲水) での2世代生殖毒性試験 (OECD TG 416) において、母動物に体重増加抑制がみられる用量においても生殖能及び児動物に対する毒性はみられていないとの報告がある (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2009)、CICAD 71 (2006))。
ラットを用いた経口経路での催奇形性試験 (OECD TG 414) において、母動物に体重増加抑制がみられる用量においても胎児毒性及び催奇形性はみられていないとの報告がある (SIDS (2009)、CICAD 71 (2006))。また、ウサギを用いた経口経路での催奇形性試験において、母動物毒性、胎児毒性及び催奇形性はみられていないとの報告がある (PATTY (6th, 2012)、CICAD 71 (2006)、DFGOT Vol. 20 (2003)、 IARC 71 (1999)、NTP TR403 (1992))。
以上より、生殖能に対する悪影響、及び児の発生に対する悪影響のいずれも認められなかったことから区分外とした。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)本物質は複数のヒトの中毒事例がある。皮膚疾患治療に軟膏又はクリーム (50%本物質、100g) を使用後、意識喪失、振戦、痙攣、散瞳、錯乱、健忘、見当識障害、経口摂取でメトヘモグロビン血症、チアノーゼ、痙攣、乳幼児の経皮・経口中毒事例で、灼熱感、痙攣、中枢神経系障害 (めまい、錯乱、傾眠、見当識障害、記憶喪失、振戦)、赤血球の変化 (メトヘモグロビン血症、溶血性貧血、ヘモグロビン尿、チアノーゼ) などが認められている (ACGIH (7th, 2001)、CICAD 71 (2006)、IARC 71 (1999)、PATTY (6th, 2012)、DFGOT Vol. 20 (2003))。
実験動物では、ラットの経口投与で、流涎、過剰興奮、頻呼吸、眼瞼下垂、嗜眠、異常歩行、側臥位、震え、呼吸困難、振戦、痙攣、鎮静、強直性間代痙攣、チアノーゼなどが報告されている (SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001)、DFGOT Vol. 20 (2003)、PATTY (6th, 2012)、CICAD 71 (2006))。これらの症状は区分1に相当するガイダンスの範囲の用量でみられた。
以上より、本物質は中枢神経系及び血液系に影響を与えると考えられ、区分1 (中枢神経系、血液系) とした。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)ヒトでは本物質を含む製剤を経皮適用した患者での症例報告、並びに本物質製造工場での職業ばく露事例として、作業従事者に甲状腺機能低下症、一部に甲状腺肥大が生じたとの研究報告が多くあるが、職業ばく露による報告では他の物質へのばく露 (ベンゼンや甲状腺機能阻害作用が明らかなチオ尿素との複合ばく露、又は検査のため放射性ヨウ素を摂取) による影響を排除できないこと、また発生率が低頻度であること (SIDS (2009)、CICAD 71 (2006)) など、本物質ばく露との因果関係は明確ではない (SIDS (2009))。そのほか、ヒトでの本物質ばく露による影響としては中枢神経系への影響、皮膚障害が報告されているが、前者は急性ばく露影響と考えられており (CICAD 71 (2006))、後者は本物質固有の刺激性に基づくものと判断できる。
実験動物では、ラット及びマウスに13週間強制経口投与した試験では区分2 までの用量範囲で特定の標的臓器を示唆する知見はみられていないが、ラット又はマウスに2年間強制経口投与した試験では、区分2をわずかに上回る用量 (100-112 mg/kg/day) で、運動失調、振戦、流涎がみられた (SIDS (2009)、ACGIH (7th, 2001)、CICAD (2006))。一方、ラットに飲水投与した二世代生殖毒性試験では、最高濃度の3000 mg/L (雄:233 mg/kg/day; 雌:304-660 mg/kg/day) を70日間以上投与したが、この様な中枢神経症状は認められず、強制経口投与による一過性の急性影響と考えられている (SIDS (2009))。また、甲状腺の組織変化はラット、マウスの反復投与毒性試験では全くみられていない。特に、ラットに飲水投与した二世代試験は、F0親動物における甲状腺への影響を評価するために、甲状腺ホルモン及び甲状腺組織変化を綿密に調べたが、区分2を超える用量 (233-304 mg/kg/day (ガイダンス値換算: 181-236 mg/kg/day 相当)) まで、甲状腺への影響はみられなかった (SIDS (2009)、CICAD 71 (2006))。CICAD 71に収載された「甲状腺影響あり」とした動物実験報告件数は「同影響なし」とした報告件数より少なく、1用量のみの実験、又は皮下注射による実験結果であり (CICAD 71 (2006)) 、他方、 OECD SIDSではラット二世代試験のデータより、ラット経口投与では 233-304 mg/kg/day まで投与しても甲状腺影響は観測されなかったこと、また、ラットはヒトと異なり、TBP (甲状腺ホルモン結合タンパク) を欠損しており、甲状腺ホルモンが代謝されやすく (血中T4の半減期が短い)、結果としてTSHの上昇が生じやすい性質があり、ラットはヒトよりも甲状腺影響に対する感受性が高いという種差のメカニズムについて記述し、感受性の高いラットを用いた信頼性の高い二世代試験において甲状腺影響がみられなかったことからも、ヒトでの甲状腺影響に関して否定的である (SIDS (2009))。
以上、ヒトでの甲状腺影響の有無について未だ確定はできないものの、本分類では下垂体-甲状腺系の内分泌機構に関する動物種間差に基づき、本物質の甲状腺影響に対し否定的見解を示唆した旧分類時以降に発行されたSIDS (2009) の見解を支持し、旧分類が採用した「甲状腺」を標的臓器から削除すべきと判断した。よって、実験動物の知見から経口経路では区分外相当と考えられるが、他経路による毒性情報がなく、デ-タ不足のため「分類できない」とした。
誤えん有害性*データ不足のため分類できない。
* JIS Z7252の改訂により吸引性呼吸器有害性から項目名が変更となった。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 短期(急性)甲殻類(オオミジンコ)での48時間EC50 = 1.28 mg/L(SIDS, 2009)であることから、区分2とした。
水生環境有害性 長期(慢性)急速分解性があり(BODによる分解度:66.7%(既存点検, 1976))、かつ生物蓄積性が低いと推定される(log Kow=0.8(PHYSPROP Database, 2009))ことから、区分外とした。
残留性・分解性化審法分解度試験:良分解性(化学物質安全性点検結果等(分解性・蓄積性))
生態蓄積性情報なし
土壌中の移動性情報なし
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
化学品(残余廃棄物)、当該化学品が付着している汚染容器及び包装の安全で、かつ、環境上望ましい廃棄、又はリサイクルに関する情報廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号2876
品名(国連輸送名)レソルシノール
国連分類6.1
副次危険-
容器等級V
海洋汚染物質該当しない
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当しない
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報道路法、毒物及び劇物取締法の規定に従う。
特別な安全上の対策道路法、毒物及び劇物取締法の規定によるイエローカード携行の対象物
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*153
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2020 Emengency Response Guidebook (ERG 2020)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)、リスクアセスメント対象物(法第57の3)
作業場内表示義務(法第101条の4)
労働基準法疾病化学物質(法第75条第2項、施行規則第35条別表第1の2第4号1)【レゾルシン(皮膚障害、前眼部障害又は気道障害)】
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)該当しない
毒物及び劇物取締法劇物(指定令第2条)
水質汚濁防止法指定物質(法第2条第4項、施行令第3条の3)
船舶安全法毒物類(危規則第3条危険物告示別表第1)
航空法毒物類(施行規則第194条危険物告示別表第1)
道路法車両の通行の制限(施行令第19条の13、(独)日本高速道路保有・債務返済機構公示第12号・別表第2)

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
・NITE化学物質総合情報提供システム(NITE-CHRIP)
・International Chemical Safety Cards (ICSC)
・Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
・GESTIS Substance database (GESTIS)
・ERG 2020版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用
・一般社団法人日本化学工業協会 編「GHS対応ガイドライン ラベル及び表示・安全デ−タシ−ト作成指針」
R5.3.31: 眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性項目、皮膚感作性項目を見直した。