安全データシート
メチルイソブチルケトン
作成日 2008年10月06日
改訂日 2016年3月31日
1.化学品等及び会社情報
化学品等の名称メチルイソブチルケトン (Methylisobutylketone)
製品コードH27-B-063
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限硝酸セルロースおよび合成樹脂製造溶剤、溶剤 (化学工業日報社)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
H28.03.18、政府向けGHS分類ガイダンス(H25年度改訂版(ver1.1))を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性引火性液体区分2
健康に対する有害性急性毒性(吸入:蒸気)区分3
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分2B
発がん性区分2
特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分3 (気道刺激性、麻酔作用)
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分1 (中枢神経系)
分類実施日
(環境有害性)
環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。
GHSラベル要素
絵表示炎どくろ健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報引火性の高い液体及び蒸気
眼刺激
吸入すると有毒
呼吸器への刺激のおそれ
眠気又はめまいのおそれ
発がんのおそれの疑い
長期にわたる、又は反復ばく露による中枢神経系の障害
注意書き
安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
容器を密閉しておくこと。
容器を接地すること/アースをとること。
防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。
火花を発生させない工具を使用すること。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
応急措置皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
眼の刺激が続く場合:医師の診断/手当てを受けること。
医師に連絡すること。
火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
施錠して保管すること。
廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性データなし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名メチルイソブチルケトン
別名イソブチルメチルケトン、4‐メチル‐2‐ペンタノン 、イソプロピルアセトン
濃度又は濃度範囲100%
分子式 (分子量)C6H12O (100.16)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号108-10-1
官報公示整理番号
(化審法)
2-542
官報公示整理番号
(安衛法)
データなし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物データなし

4.応急措置
吸入した場合気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
症状が続く場合には、医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合大量の水で洗うこと。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
眼に入った場合水で15〜20分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。症状が続く場合には、医師に連絡すること。
飲み込んだ場合水で口をすすぎ、直ちに医師の診断を受けること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状データなし
応急措置をする者の保護救助者は、状況に応じて適切な眼、皮膚の保護具を着用する。
医師に対する特別な注意事項データなし

5.火災時の措置
消火剤泡消火剤、粉末消火剤、炭酸ガス、乾燥砂類
使ってはならない消火剤棒状放水
特有の危険有害性加熱により容器が爆発するおそれがある。
極めて燃え易く、熱、火花、火炎で容易に発火する。
消火後再び発火するおそれがある。
火災時に刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法危険でなければ火災区域から容器を移動する。
容器が熱に晒されているときは、移動させない。
安全に対処できるならば着火源を除去すること。
消火を行う者の保護適切な空気呼吸器、防護服( 耐熱性) を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置全ての着火源を取り除く。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項環境中に放出してはならない。
封じ込め及び浄化の方法及び機材不活性材料( 例えば、乾燥砂又は土等) で流出物を吸収して、化学品廃棄容器に入れる。
危険でなければ漏れを止める。
すべての発火源を速やかに取除く( 近傍での喫煙、火花や火炎の禁止) 。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行
う。
安全取扱い注意事項熱、火花、裸火、高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
消防法の規制に従う。
屋外または換気の良い場所でのみ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
使用前に取扱説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
皮膚と接触しないこと。
眼に入れないこと。
接触回避「10. 安定性及び反応性」を参照。
衛生対策取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件容器を密閉して冷乾所にて保存すること。
換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
施錠して保管すること。
消防法の規制に従う。
安全な容器包装材料データなし

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度20 ppm (メチルイソブチルケトン)
許容濃度
日本産衛学会
(2015年度版)
50 ppm (200 mg/m3)
(メチルイソブチルケトン)
ACGIH(2015年版)TLV-TWA: 20 ppm (82mg/m3)
TLV-STEL: 75 ppm (307mg/m3)
(メチルイソブチルケトン)
設備対策この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
ばく露を防止するため、装置の密閉化又は防爆タイプの局所排気
装置を設置すること。
消防法の規制に従う。
保護具
呼吸用保護具適切な呼吸器保護具を着用すること。
手の保護具適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具適切な眼の保護具を着用すること。
皮膚及び身体の保護具適切な保護衣を着用すること。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色 (HSDB (2015))
臭い甘いにおい (ACGIH (7th, 2001))
臭いのしきい(閾)値0.3 、 0.7 ppm (ACGIH (7th, 2001))
pHデータなし
融点・凝固点-84.7℃ (ICSC (1997))
沸点、初留点及び沸騰範囲117〜118℃ (ICSC (1997))
引火点14℃ (密閉式) (ICSC (1997))
蒸発速度(酢酸ブチル=1)データなし
燃焼性(固体、気体)データなし
燃焼又は爆発範囲1.4〜7.5 vol% (ICSC (1997))
蒸気圧2.1 kPa (20℃) (ICSC (1997))
蒸気密度3.5 (空気=1) (HSDB (2015))
比重(相対密度)0.801 (20℃/4℃) (Merck (15th, 2013))
溶解度水:19,000mg/L (25℃) (実験値) (PHYSPROP Database (2015))
n-オクタノール/水分配係数logP = 1.31 (測定値) (PHYSPROP Database (2015) )
自然発火温度460℃ (ICSC (1997))
分解温度データなし
粘度(粘性率)0.58〜0.61 mPa.s (20℃) (EHC117(1990))

10.安定性及び反応性
反応性引火性の高い液体。
蒸気と空気の混合物は爆発性を有する。
水より軽い。
揮発する。
空気に曝露すると爆発性過酸化物を生成することがある。
強酸化剤、強還元剤と激しく反応する。
化学的安定性データなし
危険有害反応可能性空気との接触で強く酸化され、静電気の蓄積により爆発を生じる危険性があう。
アルデヒド及び酸化剤との接触で危険な反応を生じる。
比較的小さなエネルギーの静電気火花でも発火することがある。
多くの合成物質を腐食し、それらを溶かす。
鋼、ステンレス鋼及びアルミニウムは容器として耐久性がある。
避けるべき条件データなし
混触危険物質データなし
危険有害な分解生成物データなし

11.有害性情報
急性毒性
経口GHS分類: 区分外
ラットのLD50値として、2,080 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2010)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、EHC 117 (1990))、2,780 mg/kg、2,991 mg/kg (SIDS (2011))、3,200 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2011))、4,500 mg/kg、4,570 mg/kg (PATTY (6th, 2012)、SIDS (2011)、ACGIH (7th, 2010)、EHC 117 (1990))、4,600 mg/kg (SIDS (2011)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、EHC 117 (1990))、1,900-4600 mg/kg (SIDS (2011))、2,080-4,600 mg/kg (NTP TR 538 (2007)、DFGOT vol. 13 (1999)) との報告に基づき、区分外 (国連分類基準の区分5) とした。
経皮GHS分類: 区分外
ウサギのLD50値として、> 3,000 mg/kg (環境省リスク評価第6巻 (2008))、> 16,040 mg/kg (SIDS (2011)) との報告に基づき、区分外とした。
吸入:ガスGHS分類: 分類対象外
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気GHS分類: 区分3
ラットのLC50値 (4時間) として、8.2〜16.4 g/m3 (1,968〜3,936 ppm) (NTP TR 538 (2007)、DFGOT vol. 13 (1999)、EHC 117 (1990)) 及び3,000 ppm (SIDS (2011)) との報告がある。前者は区分3又は区分4に該当し、後者は区分4に該当する。これらのデータの出典が同一であるので、安全側の区分3とした。LC50値が飽和蒸気圧濃度 (26,184 ppm) の90%より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミストGHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性GHS分類: 区分外
ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質を10時間閉塞適用した結果、紅斑が24時間後まで持続したとの報告がある (SIDS (2011)、EHC117 (1990)、NTP TR 538 (2007))。また、モルモットを用いた皮膚刺激性試験において、本物質 (5又は10 mL) を適用した結果軽度の刺激性がみられたとの報告がある (DFGOT vol. 13 (1999)、PATTY (6th, 2012))。以上、回復性がみられたとの報告及び軽度の刺激性との報告から区分外 (国連分類基準の区分3) とした。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性GHS分類: 区分2B
ウサギを用いた眼刺激性試験 (OTCD TG 405) において、本物質の原液0.1 mLを適用した結果、角膜混濁、結膜の発赤及び結膜炎がみられたが7日以内に回復したとの報告がある (ECETOC TR48 (1992))。また、ウサギを用いた別の試験において、本物質の原液0.1 mLを適用した結果、適用後10分以内に刺激性がみられ、症状は60時間後に回復したとの報告がある (SIDS (2011)、NTP TR 538 (2007)、EHC117 (1990))。以上から区分2Bとした。なお、本物質はEU CLP分類において「Eye Dam. 1 H318」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
呼吸器感作性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。なお、モルモットを用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG 406) において感作性は認められなかったとの報告がある (DFGOT vol. 13 (1999)) が、試験の詳細等の情報が得られなかったため区分外にするには十分な情報でないと判断した。
生殖細胞変異原性GHS分類: 分類できない
ガイダンスの改訂により区分外が選択できなくなったため、分類できないとした。すなわち、in vivoでは、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験で陰性 (IARC 101 (2012)、SIDS (2011)、PATTY (6th, 2012)、EHC 117 (1990)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、DFGOT vol. 13 (1999))、in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の染色体異常試験、小核試験、不定期DNA合成試験で陰性、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験で不確かな結果があるが、用量依存性がなく陽性の判断は困難である (SIDS (2011)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2010)、EHC 117 (1990)、環境省リスク評価第6巻 (2008)、DFGOT vol. 13 (1999))。
発がん性GHS分類: 区分2
ヒトの発がん性に関する情報はない (IARC 101 (2012))。実験動物では、ラット又はマウスに2年間吸入ばく露した発がん性試験において、ラットでは腎尿細管の腺腫、及び腺腫とがんの合計の頻度増加が雄に、腎臓の間葉系悪性腫瘍が雌2/50例にみられ、雄の腎臓腫瘍はα2μ-グロブリン介在性の機序による証拠の強さは弱いとされ、雌の腎臓腫瘍は希少な腫瘍で、自然発生腫瘍の可能性は低いとされた (IARC 101 (2012))。一方、マウスでは肝細胞腺腫の頻度増加、及び肝細胞腺腫とがんの合計頻度の増加が雌雄いずれにも認められた (IARC 101 (2012))。実験動物での腫瘍発生はヒトには当てはまらないとして除外できず、IARCは「グループ2B」とした (IARC 101 (2012))。これに先行して、ACGIHも、同様に実験動物での腫瘍誘発は確実であるとしたが、ヒトの発がん性に関して利用可能なデータがないため、「A3」に分類した (ACGIH (7th, 2010))。
以上、既存分類結果に基づき、本項は区分2とした。
生殖毒性GHS分類: 分類できない
ヒトの生殖影響に関する情報はない。実験動物ではラットを用いた吸入経路による2世代生殖毒性試験において、F0、F1親動物には主に1,000 ppm以上で、肝臓影響 (重量増加、小葉中心性肝細胞肥大)、腎臓影響 (重量増加、腎症)、中枢神経系影響 (驚愕反応低下) など一般毒性影響がみられたが、各世代の雌雄いずれの投与群にも、性機能及び生殖能への有害影響はみられていない (SIDS (2011)、ACGIH (7th, 2010)、環境省リスク評価第6巻 (2008))。児動物にもF1では1,000 ppmまでの用量では一過性の体重の低値がみられただけであった (SIDS (2011)、ACGIH (7th, 2010)、環境省リスク評価第6巻 (2008)) が、2,000 ppmでは離乳後のF1児動物 (生後22日齢) にばく露を再開した結果、雄1例が死亡したほか、雄7例、雌14例に中枢神経抑制症状がみられた (環境省リスク評価第6巻 (2008)) との記述がある。一方、発生毒性試験では妊娠ラット、又は妊娠マウスに妊娠6〜15日まで、吸入ばく露した結果、ラットで体重増加抑制、腎臓重量増加、マウスで死亡例発現 (3/30例)、肝臓重量増加など母動物毒性がみられる用量 (3,000 ppm) で、胎児に発生毒性影響として両種とも胎児重量の低値及び骨化遅延がみられ、マウスでは加えて吸収胚の増加が認められた (SIDS (2011)、IRIS Tox. Review (2003)、ACGIH (7th, 2010)、環境省リスク評価第6巻 (2008))。
以上、吸入経路のみの動物試験結果において、親動物に肝臓、腎臓への一般毒性影響が発現する用量でも性機能・生殖能への有害影響はみられず、発生毒性試験においても妊娠ラットを用いた試験では母動物毒性が発現する用量で軽微な影響 (胎児重量低値、骨化遅延) がみられたのみであった。同様に、妊娠マウスを用いた試験でも母動物が10%死亡する用量においても、ラットと同様の軽微な影響と吸収胚の増加がみられただけである。したがって、吸入経路では区分外の可能性があるが、本物質が中枢神経系作用物質であることから、次世代の神経発生発達への有害性影響に関する情報が不足しており、本項は分類できないとした。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)GHS分類: 区分3 (気道刺激性、麻酔作用)
本物質は気道刺激性がある (環境省リスク評価第6巻 (2008)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1984)、ACGIH (7th, 2010)、SIDS (2011)、EHC 117 (1990)、IRIS Tox. Review (2003)、DFGOT vol. 13 (1999)、ECETOC JACC (1987)、PATTY (6th, 2012))。ヒトにおいては、吸入ばく露で、咳、頭痛、咽頭痛、眩暈、麻酔作用、中枢神経系抑制、悪心、嘔吐、下痢、脱力感、食欲不振、意識喪失、経口摂取ではこれらの症状に加え腹痛の報告がある (環境省リスク評価第6巻 (2008)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1984)、SIDS (2011)、EHC 117 (1990)、IRIS Tox. Review (2003)、DFGOT vol. 13 (1999)、ECETOC JACC (1987)、PATTY (6th, 2012)、ACGIH (7th, 2010))。
実験動物では、マウス、モルモットの吸入ばく露 (高用量) で麻酔作用、ラットのその他の試験で、中枢神経系抑制、協調運動失調、虚脱の報告がある (ACGIH (7th, 2010)、ECETOC JACC (1987)、PATTY (6th, 2012))。
以上より、本物質は気道刺激性、麻酔作用を有し、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)GHS分類: 区分1 (中枢神経系)
イタリアの事業所で遠心分離機の操作中に本物質に毎日20〜30分間ばく露された作業者19人を対象とした疫学調査では、本物質の気中濃度は遠心分離機付近で 500 ppm、その他の室内で80 ppmであった。眼、鼻、喉への急性刺激症状以外に、19人中半数以上が自覚症状として頭痛、食欲不振、脱力感、胃痛、悪心、嘔吐を、少数例が不眠、嗜眠、胸痛を訴えたが、臨床検査結果では全員とも数値は正常範囲内であった (ACGIH (7th, 2010))。5年後の追跡調査 (気中本物質濃度: 遠心分離機付近で100〜105 ppm、その他は50 ppm) でも、残留していた14人中数人が中枢神経症状及び消化器症状が持続していると回答したと記述されている (ACGIH (7th, 2010))。
実験動物ではラットに13週間強制経口投与した試験で、区分2を超える用量 (250 mg/kg/day) で肝臓、腎臓重量の軽度増加がみられたのみで、NOAELは1,000 mg/kg/dayとされている (SIDS (2011)、ACGIH (7th, 2010))。また、ラット及びマウスに14週間吸入ばく露 (蒸気と推定) した試験では、区分2を超える用量 (250 ppm (1.02 mg/L/6 hr/day)) で、血清コレステロール及び尿糖の増加 (ラット)、肝臓重量の増加 (マウス) がみられたが、1,000 ppm まで標的臓器を特定可能な明瞭な毒性所見はなく、NOAELは1,000 ppmと報告されている (SIDS (2011)、ACGIH (7th, 2010))。その他、本物質の神経毒性を調べた複数の試験では、殆どが神経毒性を検出できなかったが、ラットを用いた1世代生殖毒性試験では、F0及びF1動物で1,000 ppm以上で驚愕反応の低下が示され、中枢神経抑制を示唆する所見と考えられている (SIDS (2011))。
以上、実験動物の既知見からは標的臓器を特定するのは困難であるが、ヒトの疫学研究結果より、本項は区分1 (中枢神経系) とするのが妥当と考えられた。
吸引性呼吸器有害性GHS分類: 分類できない
本物質は低粘性のため、飲み込んだ場合に肺にも吸引されて化学性肺炎を生じるおそれがある (EHC 117 (1990)) との記述、液体を飲み込むと肺に吸い込んで化学性肺炎を起こすことがある (環境省リスク評価第6巻 (2008)) との記述があるが、直接的な本物質ばく露による症例報告に基づく知見ではない。ただし、本物質は3以上13を越えない炭素原子で構成されたケトンに属し、動粘性率計算値が 0.691mm2/sec (粘性率: 0.55 mPa・s (25℃) (CRC Handbook of Chemistry and Physics (85th, 2004))、密度 (比重) : 0.796 g/cm3 (25℃) (Thermophysical Properties of Chemicals and Hydrocarbons (2008)) である。以上、国連分類では区分2に該当するが、現行ガイダンスに従い、分類できないとした。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性(急性)GHS分類: 区分外
魚類(ファットヘッドミノー)での96時間LC50 = 505 mg/L(ECETOC TR91, 2003)、甲殻類(オオミジンコ)での24時間LC50 = 1550 mg/L(EHC117, 1990)であることから、区分外とした。
水生環境有害性(長期間)GHS分類: 区分外
急性毒性区分外であり、難水溶性ではない(水溶解度=19000 mg/L(PHYSPROP Database、2009))ことから、区分外とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていないため。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄の前に、可能な限り無害化、安定化及び中和等の処理を行って危険有害性のレベルを低い状態にする。
廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号1245
国連品名METHYLISOBUTYLKETONE
国連危険有害性クラス3
副次危険-
容器等級U
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書U及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当する
国内規制
海上規制情報船舶安全法に従う。
航空規制情報航空法に従う。
陸上規制情報消防法、道路法に従う。
特別安全対策移送時にイエローカードの保持が必要。
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号127

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
化審法優先評価化学物質
労働安全衛生法危険物・引火性の物
名称等を表示すべき危険物及び有害物
作業環境評価基準
名称等を通知すべき危険物及び有害物
特定化学物質第2類物質、特別有機溶剤等
特定化学物質特別管理物質
健康障害防止指針公表物質
港則法その他の危険物・引火性液体類
航空法引火性液体
道路法車両の通行の制限
消防法第4類引火性液体、第一石油類非水溶性液体
悪臭防止法特定悪臭物質
船舶安全法引火性液体類
大気汚染防止法揮発性有機化合物
海洋汚染防止法有害液体物質
外国為替及び外国貿易管理法輸入貿易管理令第4条第1項第2号輸入承認品目「2の2号承認」
輸出貿易管理令別表第1の16の項
輸出貿易管理令別表第2
特定廃棄物輸出入規制法
(バーゼル法)
廃棄物の有害成分・法第2条第1項第1号イに規定するもの

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。