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安全データシート
アクリロニトリル
作成日 2008年10月06日
改訂日 2016年3月31日
1.化学品等及び会社情報
化学品等の名称アクリロニトリル (Acrylonitrile)
製品コードH27-B-033
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限合成繊維・アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)樹脂・アクリロニトリル−スチレン(AS)樹脂原料,合成ゴム (ニトリルゴム)樹脂原料、塗料・繊維樹脂加工・化粧品原料・合成糊料合成原料、アクリルアミド(紙力増強剤,凝集剤)重合原料、NITE初期リスク評価書;合成繊維・合成ゴム・プラスチック原料、アクリルアミド・アジポニトリル原料、SRI:CHEMICAL ECONOMICS HANDBOOK;合成繊維・合成ゴム・プラスチック原料 (化学工業日報社)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
H28.03.18、政府向けGHS分類ガイダンス(H25年度改訂版(ver1.1))を使用
GHS改訂4版を使用
物理化学的危険性引火性液体区分2
健康に対する有害性急性毒性(経口)区分3
急性毒性(経皮)区分2
急性毒性(吸入:蒸気)区分2
皮膚腐食性/刺激性区分2
眼に対する重篤な損傷性/眼刺激性区分1
皮膚感作性区分1
発がん性区分1B
生殖毒性区分1B
特定標的臓器毒性
(単回ばく露)
区分1 (神経系、肝臓、腎臓、血液系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用)
特定標的臓器毒性
(反復ばく露)
区分1 (神経系、呼吸器、血液系、肝臓、腎臓、精巣)
分類実施日
(環境有害性)
環境に対する有害性はH18.3.31、GHS分類マニュアル(H18.2.10 版)を使用
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分2
注) 上記のGHS分類で区分の記載がない危険有害性項目については、政府向けガイダンス文書で規定された「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」に該当する。なお、健康有害性については後述の11項に、「分類対象外」、「区分外」または「分類できない」の記述がある。
GHSラベル要素
絵表示炎腐食性どくろ健康有害性
注意喚起語危険
危険有害性情報引火性の高い液体及び蒸気
飲み込むと有毒
皮膚に接触すると生命に危険
皮膚刺激
アレルギー性皮膚反応を起こすおそれ
重篤な眼の損傷
吸入すると生命に危険
呼吸器への刺激のおそれ
眠気又はめまいのおそれ
発がんのおそれ
生殖能又は胎児への悪影響のおそれ
神経系、肝臓、腎臓、血液系の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による神経系、呼吸器、血液系、肝臓、腎臓、精巣の障害
水生生物に毒性
注意書き
安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
熱/火花/裸火/高温のもののような着火源から遠ざけること。−禁煙。
容器を密閉しておくこと。
容器を接地すること/アースをとること。
防爆型の電気機器/換気装置/照明機器を使用すること。
火花を発生させない工具を使用すること。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
眼、皮膚、衣類につけないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
屋外又は換気の良い場所でのみ使用すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
環境への放出を避けること
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
【換気が不十分な場合】呼吸用保護具を着用すること。
応急措置飲み込んだ場合:直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合:多量の水と石けん(鹸)で洗うこと。
皮膚(又は髪)に付着した場合:直ちに汚染された衣類を全て脱ぐこと。皮膚を流水/シャワーで洗うこと。
吸入した場合:空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合:水で数分間注意深く洗うこと。次にコンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師の診断/手当てを受けること。
直ちに医師に連絡すること。
気分が悪い時は医師に連絡すること。
気分が悪いときは、医師の診断/手当てを受けること。
特別な処置が緊急に必要である(このラベルの・・・を見よ)。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
口をすすぐこと。
皮膚刺激が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。
皮膚刺激又は発しん(疹)が生じた場合:医師の診断、手当てを受けること。
汚染された衣類を直ちに全て脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
汚染された衣類を脱ぎ、再使用する場合には洗濯をすること。
火災の場合:消火するために適切な消火剤を使用すること。
保管換気の良い場所で保管すること。容器を密閉しておくこと。
換気の良い場所で保管すること。涼しいところに置くこと。
施錠して保管すること。
廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性データなし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名アクリロニトリル
別名2-プロペンニトリル、シアノエチレン、シアン化ビニル
濃度又は濃度範囲100%
分子式 (分子量)C3H3N (53.064)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号107-13-1
官報公示整理番号
(化審法)
2-1513
官報公示整理番号
(安衛法)
データなし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物データなし

4.応急措置
吸入した場合被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。
直ちに医師に連絡すること。
皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。
皮膚刺激又は発疹が生じた場合は、医師の診断、手当てを受けること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
眼に入った場合水で数分間、注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が持続する場合、気分が悪い時は、医師の診断、手当てを受けること。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
医師の手当、診断を受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入すると、めまい、頭痛、吐き気、嘔吐、脱力感、震えなどの症状を起こすことがある。
応急措置をする者の保護状況により、直接接触を避けるため不浸透性の化学防護手袋等の保護具を着用し、室内換気を十分に行う。
医師に対する特別な注意事項データなし

5.火災時の措置
消火剤小火災: 二酸化炭素、粉末消火剤、散水、耐アルコール性泡消火剤
大火災: 散水、噴霧水、耐アルコール性泡消火剤
使ってはならない消火剤棒状注水
特有の危険有害性極めて燃え易い、熱、火花、火炎で容易に発火する。
加熱により容器が爆発するおそれがある。
火災によって刺激性、毒性、又は腐食性のガスを発生するおそれがある。
引火性の高い液体及び蒸気
特有の消火方法散水によって逆に火災が広がるおそれがある場合には、上記に示す消火剤のうち、散水以外の適切な消火剤を利用すること。
引火点が極めて低い: 散水以外の消火剤で消火の効果がない大きな火災の場合には散水する。
危険でなければ火災区域から容器を移動する。
移動不可能な場合、容器及び周囲に散水して冷却する。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
消火を行う者の保護消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置漏洩物に触れたり、その中を歩いたりしない。
直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具( 「8 . ばく露防止及び保護措置」の項を参照)
を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
適切な防護衣を着けていないときは破損した容器あるいは漏洩物に触れてはいけない。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所に立入る前に換気する。
環境に対する注意事項河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
封じ込め及び浄化の方法及び機材危険でなければ漏れを止める。
漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。
蒸気抑制泡は蒸発濃度を低下させるために用いる。
少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で吸収し、あるいは覆って密閉できる空容器に回収する。
少量の場合、吸収したものを集めるとき、清潔な帯電防止工具を用いる。
大量の場合、盛土で囲って流出を防止し、安全な場所に導いて回収する。
大量の場合、散水は、蒸気濃度を低下させる。しかし、密閉された場所では燃焼を抑えることが出来ないおそれがある。
すべての発火源を速やかに取除く (近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8 . ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
安全取扱い注意事項使用前に使用説明書を入手すること。
すべての安全注意を読み理解するまで取扱わないこと。
周辺での高温物、スパーク、火気の使用を禁止する。
容器を転倒させ、落下させ、衝撃を加え、又は引きずるなどの取扱いをしてはならない。
眼に入れないこと。
接触、吸入又は飲み込まないこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
接触回避「1 0 . 安定性及び反応性」を参照。
衛生対策取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
汚染された作業衣は作業場から出さないこと。
保管
安全な保管条件保管場所は壁、柱、床を耐火構造とし、かつ、はりを不燃材料で作ること。
保管場所は屋根を不燃材料で作るとともに、金属板その他の軽量な不燃材料でふき、かつ天井を設けないこと。
保管場所の床は、床面に水が浸入し、又は浸透しない構造とすること。
保管場所の床は、危険物が浸透しない構造とするとともに、適切な傾斜をつけ、かつ、適切なためますを設けること。
保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
熱、火花、裸火のような着火源から離して保管すること。- 禁煙。
酸化剤から離して保管する。
容器は直射日光や火気を避けること。
容器を密閉して換気の良い冷所で保管すること。
施錠して保管すること。
安全な容器包装材料消防法及び国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度2 ppm (アクリロニトリル)
許容濃度
日本産衛学会
(2015年度版)
2 ppm
4.3 mg/m3
(アクリロニトリル)
ACGIH(2015年版)TLV-TWA: 2 ppm (4.3 mg/m3)
(アクリロニトリル)
設備対策製造業者が指定する防爆の電気・換気・照明機器を使用すること。
静電気放電に対する予防措置を講ずること。
この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行なうこと。
高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度以下に保つために換気装置を設置する。
密閉された装置、機器又は局所排気を使用しなければ取扱ってはならない。
気中濃度を推奨された管理濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気、その他の設備対策を使用する。
保護具
呼吸用保護具適切な呼吸用保護具を着用すること。
ばく露の可能性のあるときは、送気マスク、空気呼吸器、又は酸素呼吸器を着用する。
手の保護具適切な保護手袋を着用すること。
二トリルゴム及び塩ビは適切な保護材料ではない。ネオプレンが推奨される。
眼の保護具適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡( 普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具適切な顔面用の保護具を着用すること。
しぶきの可能性がある場合は、全面耐薬品性防護服( 例えば、酸スーツ) 及びブーツが必要である。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
形状液体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色 (HSDB (2015))
臭い軽い刺激臭 (Hommel (1997))
臭いのしきい(閾)値21.4 ppm (HSDB (2015))
pH6.0〜7.5 (5%水溶液) (HSDB (2015))
融点・凝固点-82℃ (HSDB (2015))
沸点、初留点及び沸騰範囲77.3 ℃ (HSDB (2015))
引火点-1℃(密閉式) (ICSC (2001))
蒸発速度(酢酸ブチル=1)データなし
燃焼性(固体、気体)データなし
燃焼又は爆発範囲下限:3.0 vol%、上限:17.0 vol% (ICSC (2001))
蒸気圧109 mmHg (25℃) (HSDB (2015))
蒸気密度1.8 (空気 = 1) (HSDB (2015))
比重(相対密度)0.8004 (25℃/4℃) (Merck (15th, 2013))
溶解度7g/100 mL(20℃)(水) (ICSC (2001))
n-オクタノール/水分配係数Log Pow = 0.25 (ICSC (2001))
自然発火温度481℃ (ICSC (2001))
分解温度データなし
粘度(粘性率)0.34 cP (25℃) (HSDB (2015))

10.安定性及び反応性
反応性自然に重合する。
高い自然発火性と引火性を持つ。
熱、炎、酸化剤に曝露すると激しく燃焼する。
水に可溶。
高い揮発性。
光に反応する。
化学的安定性反応性の高い物質である。
危険有害反応可能性光、不純物、金属、金属化合物及び加熱により爆発的な重合を生じる。
蒸気と空気の混合物は爆発性を有する。
酸及び酸化剤と激しく反応する。
鋼とステンレス鋼は容器として耐久性がある。
銅とその化合物は腐食作用を受ける。
避けるべき条件データなし
混触危険物質データなし
危険有害な分解生成物燃焼により、シアン化水素と窒素酸化物を生じる。

11.有害性情報
急性毒性
経口GHS分類: 区分3
ラットのLD50値として、72 mg/kg (EHC 28 (1983))、78 mg/kg (環境省リスク評価第2巻 (2003)、EHC 28 (1983)、IARC 19 (1979)、JECFA FAS 19、JMPR (1965))、82 mg/kg (雄)、86 mg/kg (雌)、84 mg/kg (EHC 28 (1983))、93 mg/kg (ATSDR (1990)、EHC 28 (1983)、IARC 19 (1979)、JMPR (1965))、101 mg/kg、128 mg/kg、186 mg/kg (EHC 28 (1983))、72〜186 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2005)、EU-RAR (2004)、NICNAS (2000))、78〜150 mg/kg (NTP TR506 (2001)) との報告に基づき、区分3とした。
経皮GHS分類: 区分2
ラットのLD50値として、148 mg/kg (JECFA FAS 19)、148 mg/kg、282 mg/kg (EHC 28 (1983))、148〜282 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2005)、EU-RAR (2004)、NICNAS (2000)) との4件の報告がある。
2件が区分2に、1件が区分3に、1件は分類できないので、最も多くのデータが該当する区分2がラットの区分となる。ウサギのLD50値として、43 mg/kg (IARC 19 (1979))、226 mg/kg (EU-RAR (2004))、<200〜226 mg/kg (NITE初期リスク評価書 (2005))、226〜250 mg/kg (ATSDR (1990)) との4件の報告がある。2件が区分3に、1件が区分1に、1件が分類できないので、最も多くのデータが該当する区分3がウサギの区分となる。ラットの区分とウサギの区分とを比較し、安全側の区分2とした。
吸入:ガスGHS分類: 分類対象外
GHSの定義における液体である。
吸入:蒸気GHS分類: 区分2
ラットのLC50値 (4時間) として、470 mg/m3 (216 ppm) (EU-RAR (2004)、EHC 28 (1983))、333 ppm (環境省リスク評価第2巻 (2003))、1,030 mg/m3 (474 ppm)、1,210 mg/m3 (557 ppm) (EU-RAR (2004))、138〜558 ppm (NITE初期リスク評価書 (2005)、NICNAS (2000)) との5件の報告がある。3件が区分2に該当し、1件は区分を特定できないので、最も多くのデータが該当する区分2とした。残りの1件は複数データをまとめた値であるため、該当数に含めずに分類した。なお、LC50値が飽和蒸気圧濃度 (1,085,883 ppm) より低いため、ミストを含まないものとしてppmを単位とする基準値を適用した。
吸入:粉じん及びミストGHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性GHS分類: 区分2
ウサギを用いた皮膚刺激性試験において、本物質0.5 mLを24時間適用した結果、紅斑及び浮腫がみられ皮膚刺激スコア (最大値4) は 3.6であったとの報告がある (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005))。また、ヒトにおいても急性ばく露による皮膚刺激性が複数報告されている (CICAD 39 (2002))。以上より、区分2とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Skin. Irrit. 2 H315」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性GHS分類: 区分1
ウサギを用いた眼刺激性試験の報告が複数あり、本物質0.1 mLを1時間適用した結果、中等度の角膜混濁、中等度の虹彩炎、強度の結膜刺激性がみられ、適用21日後においても血管新生を伴う角膜混濁がみられたとの報告や (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005))、本物質0.02 mLを適用した結果 (適用時間不明)、角膜に強度の火傷がみられたとの報告がある (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005))。以上の結果から区分1とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Eye Dam. 1 H318」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
呼吸器感作性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。
皮膚感作性GHS分類: 区分1
モルモットを用いたマキシマイゼーション試験 (OECD TG準拠) において、本物質 (0.5%又は1%) の適用により感作性がみられた (感作陽性率95%) との報告がある (EU-RAR (2004)、CICAD 39 (2002)、NITE初期リスク評価書 (2005)、DFGOT vol.24 (2007))。また、ヒト対するパッチテストにおいて、対照群8人に反応はみられなかったが、本物質を適用した5人全員に陽性反応がみられたとの報告があり (EU-RAR (2004)、DFGOT vol.24 (2007))、DFGOTは本物質を感作性物質と結論している (DFGOT vol.24 (2007))。以上より、区分1とした。なお、本物質は、EU CLP分類において「Skin sens. 1 H317」に分類されている (ECHA CL Inventory (Access on September 2015))。
生殖細胞変異原性GHS分類: 分類できない
In vivoでは、経口投与によるラットの優性致死試験、腹腔内投与並びに吸入ばく露によるマウスの優性致死試験で陰性、経口、腹腔内投与又は吸入ばく露によるラット、マウスの骨髄細胞を用いた小核試験、染色体異常試験でいずれも陰性、飲水投与によるラット脾臓 T 細胞のhprt遺伝子突然変異試験で陽性、腹腔内投与によるマウス骨髄細胞の姉妹染色分体交換試験で陰性、経口投与によるラット脳、精母細胞の不定期DNA合成試験で陰性、経口投与によるラット肝臓の不定期DNA合成試験で陰性である (NITE初期リスク評価書 (2005) ,環境省_化学物質の健康リスク初期評価第3巻 (2004)、CICAD 39 (2002)、IARC 71 (1999)、EU-RAR (2004)、ACGIH (7th, 2001)) が、体細胞を用いた遺伝子突然変異試験の陽性報告は妥当性が低いと報告されている (EU-RAR (2004))。In vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞のマウスリンフォーマ試験、遺伝子突然変異試験、染色体異常試験、姉妹染色分体交換試験でいずれも陽性である(NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省_化学物質の健康リスク初期評価第3巻 (2004)、CICAD 39 (2002)、IARC 71 (1999)、EU-RAR (2004)、ACGIH (7th, 2001))。以上より、妥当なin vivo試験の陽性知見はなく、ガイダンスに従い、分類できないとした。
発がん性GHS分類: 区分1B
国際機関による発がん性分類は、IARCが2B (IARC vol. 71 (1999))、ACGIHがA3 (ACGIH (7th, 2001))、日本産業衛生学会が2A (1988年: (産衛学会勧告 (2015))、米国EPAがB1 (1999年: (IRIS Summary (Access on July 2015))、NTPがR (1991年: (NTP RoC (13th, 2014))、EUが1B (ECHA CL Inventory (Access on July 2015)) と分類ガイダンス上ではIARCとACGIHが区分2に、NTPが区分1Bから2に、日本産業衛生学会以降が区分1Bに該当する。
ヒトの疫学データに関して、1997年の国際会議で、「古い研究」と「新しい研究」とに分割して、解析することが合意され、IARCは疫学データの評価に加えた「新しい研究データ」の4件全てが発がん性を欠く結果であったことから、ヒトでの発がん性は不十分な証拠しかない、として「グループ2B」とした。一方、EUは1998年までの公表文献について、「新しい研究」を中心に検証し、「新しいデータ」3件で、膀胱がんの過剰リスクが示唆されたが、芳香族アミンへの過剰なばく露によるもので、アクリロニトリルばく露による影響ではないと考えられたこと、また、肺がんの過剰リスクについてもアクリロニトリルばく露との関連性は低いとしたが、比較的希少な腫瘍である脳腫瘍と前立腺がんの場合、利用可能な研究データ間の一貫性を評価しやすく、これらの腫瘍について、検討した結果、アクリロニトリル作業者ではアクリロニトリルをこれらの発がんの原因として完全に否定することはできず、実験動物のデータと併せ評価すると、「区分1B (旧DSD分類で「カテゴリー2」)」が妥当であるとした (EU-RAR (2004))。NTP RoC (13th, 2014) はIARC (1999) 以降の公表文献 (2004〜2008年) を追加収載し、肺がんの国際的な大規模症例対照研究で、喫煙補正後の肺がんのリスクがアクリロニトリルばく露の増加とともに有意に増加したとの報告、メタ解析で肺がんのリスクがばく露レベルの増加と相関したとの報告、オランダのコホートの追跡調査研究では、脳腫瘍の過剰リスクが一部の集団でみられたとの報告など、発がん性を示唆する報告と同時に、否定的な知見として、米国の繊維産業従業員のコホートを対象とした50年間追跡研究で、アクリルニトリルばく露と発がんとの相関は腫瘍の部位に関わらずみられなかったとの報告を記述している (NTP RoC (13th, 2014))。
実験動物では経口 (飲水) 又は吸入経路で、ラットに中枢神経系 (膠細胞腫、小膠細胞腫)、ジンバル腺、及び前胃に腫瘍発生の増加、マウスに肺、ハーダー腺に腫瘍発生の増加を示すなどから、いずれの国際機関による発がん性評価でも実験動物では発がん性の確実な証拠があるとされている (IARC 71 (1999)、EU-RAR (2004)、NTP RoC (13th, 2014))。
以上、実験動物で十分な証拠があること、疫学研究からもヒト発がん性の可能性を依然として否定できないことから、本項は「区分1B」とした。
生殖毒性GHS分類: 区分1B
ヒトでの生殖毒性に関する情報はない。実験動物ではラットを用いた経口経路 (飲水) での3世代生殖毒性試験において、F1〜F3の各世代の児動物には100 ppm以上で生存率の低下、体重の低値がみられたものの、F0〜F2の各世代の親動物には生殖能への影響はなく、NOAEL (受胎能) = 522 ppm (約 35 mg/kg/day) と報告されている (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価第2巻 (2003))。発生毒性に関しては、妊娠ラットに強制経口投与 (妊娠6〜20日) した試験では、母動物毒性 (体重増加抑制、流涎、腺胃の肥厚) が顕著である用量 (65 mg/kg/day) で、胎児に胎児重量の減少、頭尾長の減少、奇形 (短尾、脊椎欠損、短胴体、鎖肛、二分胸骨分節など) の頻度増加がみられた (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005)、DFGOT vol. 24 (2007)) との記述、妊娠ラットに吸入ばく露 (妊娠6〜15日、6時間/日) した試験では母動物に体重増加抑制がみられる用量 (40 ppm) で、胎児に有害影響はなく、80 ppm で骨化遅延がみられたのみ (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005)、環境省リスク評価第2巻 (2003)、DFGOT vol. 24 (2007)) で、同様に妊娠ラットを用いた吸入ばく露試験 (妊娠6〜20日、6時間/日) では 25 ppm以上の用量で母動物に体重増加抑制がみられたが、最高濃度の 100 ppm まで、胎児毒性及び奇形誘発はみられなかった (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005)、DFGOT vol. 24 (2007)) との記述がある。
この他、妊娠ハムスターに妊娠8日に単回腹腔内投与し、妊娠14日に屠殺した結果、母動物に呼吸困難、筋協調性低下、痙攣、低体温など重篤な症状が発現した用量 (80 mg/kg/day以上) で、胎児に外脳症、肋骨の癒合・分岐など奇形発生頻度の増加がみられている (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005)、DFGOT vol. 24 (2007))。
以上、受胎能への有害性影響はこれまで報告されていないが、妊娠ラットを用いた経口経路での発生毒性試験で、母動物毒性が発現する用量で胎児毒性、及び催奇形性が示された。催奇形性の内容として、脊椎欠損、鎖肛など重篤な奇形が発生しており、母動物毒性の程度と比べて、胎児への毒性影響の程度がより重度とみられることから、催奇形性は母動物毒性による二次的影響とは考えがたい。よって、本項は区分1Bとした。なお、EU CLP分類では、本物質を生殖毒性物質として分類していない (ECHA CL Inventory (Access on July 2015))。
特定標的臓器毒性(単回ばく露)GHS分類: 区分1 (神経系、肝臓、腎臓、血液系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用)
本物質のヒト並びに実験動物に関する多くの情報がある。
ヒト及び実験動物への影響は、本物質及びその代謝物であるシアン化物による影響が主なものである (EU-RAR (2004)、CEPA (2000)、CICAD 39 (2002)、ATSDR (1990)、NICNAS (2000))。
ヒトの中毒事例では、吸入ばく露により気道刺激性、頭痛、悪心、嘔吐、眩暈、手足の倦怠感、肝臓肥大、黄疸、貧血、白血球増加、腎臓の傷害、重篤なケースでは、振戦、痙攣、チアノーゼ、頻拍、意識喪失、呼吸不全、死亡、経皮ばく露で眩暈、吐き気、嘔吐、幻覚、痙攣の報告がある (NITE初期リスク評価書 (2005)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1988)、EU-RAR (2004)、環境省リスク評価第2巻 (2003)、CICAD 39 (2002)、NICNAS (2000)、IARC 71 (1999)、PATTY (6th, 2012) vol. 2、DFGOT vol. 24 (2007))。
実験動物では、本物質投与直後の興奮相に始まり、流涎、流涙、排尿、排便などコリン作動性症状を呈した後、間代性痙攣を経て、麻痺から死亡に至るという症状経過が報告されている (EU-RAR (2004))。ラット、マウスなど経口投与、吸入ばく露による症状は、前胃の出血性胃炎、興奮、呼吸促迫、呼吸抑制、流涎、流涙、縮瞳、排尿、排便障害等コリン作動性神経系影響、痙攣、四肢麻痺、昏睡等である (NITE初期リスク評価書 (2005)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1988)、EU-RAR (2004))。これらの症状は、区分1に相当する用量で認められた。また、単回投与による本物質の主な標的器官は、神経系 (中枢、末梢) であり、この他、肺、肝臓、腎臓、副腎、胃、十二指腸、脾臓、血液への影響の報告がある (EU-RAR (2004)、NITE初期リスク評価書 (2005)、産衛学会許容濃度の提案理由書 (1988)) が、肺、副腎、脾臓、十二指腸への影響の詳細は不明であった。
以上より、本物質は気道刺激性、麻酔作用のほか、神経系、肝臓、腎臓、血液系に影響を示し、区分1 (神経系、肝臓、腎臓、血液系)、区分3 (気道刺激性、麻酔作用) とした。
新たな情報を追加し旧分類を見直した。
特定標的臓器毒性(反復ばく露)GHS分類: 区分1 (神経系、呼吸器、血液系、肝臓、腎臓、精巣)
ヒトについては、本物質単独ではなく他の物質との混合ばく露であるが、眼、鼻、喉、気道の痛み、眩暈、手足の倦怠感、わずかな肝臓肥大及び黄疸(NITE初期リスク評価書 (2005))、ヘモグロビン濃度・赤血球数・白血球数減少、免疫抑制 (EU-RAR (2004)) 等の記述があった。
実験動物については、吸入経路では、ラットを用いた2年間吸入毒性試験において80 ppm (0.18 mg/L) で化膿性の鼻炎、鼻甲介の呼吸上皮の過形成、呼吸上皮粘膜の限局性びらん及び扁平上皮化生・化生様増殖、肝臓及び脾臓の髄外造血、肝臓の限局性壊死、脳の限局性グリオーシス及び血管周囲の細胞浸潤がみられている (NITE初期リスク評価書 (2005))。ラットを用いた24週間吸入毒性試験において、110 mg/m3 (0.11 mg/L) で濃度と時間に依存した運動神経伝導速度及び知覚神経伝導速度、知覚活動電位の低下を認め、部分的に可逆性の影響がみられている (環境省リスク評価 第2巻 (2003)、CICAD 39 (2002))。ラットを用いた8週間吸入毒性試験において100 ppm (ガイダンス値換算:0.067 mg/m3) で軽度の嗜眠、脾臓にヘモジデリンの増加、腎集合管の硝子円柱、亜急性の気管支肺炎がみられている (NITE初期リスク評価書 (2005))。
経口経路では、ラットを用いた2年間飲水投与毒性試験において、100 ppm (雄:8.36 mg/kg/day、雌:10.9 mg/kg/day) の雌でヘモグロビン・ヘマトクリット・赤血球の減少がみられている (NITE初期リスク評価書 (2005))。マウスを用いた60日間強制経口投与毒性試験において、10 mg/kg/day (ガイダンス値換算:6.7 mg/kg/day) で精巣の精細管萎縮・核濃縮・多核巨細胞を伴う精子細胞の変性・間質の水腫がみられている (NITE初期リスク評価書 (2005)、CICAD 39 (2002))。
以上から、神経系、呼吸器、血液系、肝臓、腎臓、精巣が標的臓器と考えられ、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。なお、脾臓における所見は貧血に関連した二次的所見と考えられる。
したがって、区分1 (神経系、呼吸器、血液系、肝臓、腎臓、精巣) とした。
吸引性呼吸器有害性GHS分類: 分類できない
データ不足のため分類できない。なお、HSDB (Access on August 2015) に収載された数値データより、動粘性率は0.424 mm2/sec (粘性率: 0.83 mPa・s (25 ℃)、密度 (比重) : 0.8004 (25 ℃)) と算出される。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性(急性)GHS分類: 区分2
甲殻類 (ミシッドシュリンプ) の96時間LC50=5.81mg/L (CERI・NITE有害性評価書、2005) から、区分2とした。
水生環境有害性(長期間)GHS分類: 区分外
急速分解性があり (BODによる分解度:96% (既存化学物質安全性点検データ))、かつ生物蓄積性が低いと推定される (log Kow=0.25 (PHYSPROP Database、2005)) ことから、区分外とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規ならびに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
該当の有無は製品によっても異なる場合がある。法規に則った試験の情報と、12項の環境影響情報とに基づいて、修正が必要な場合がある。
国際規制
国連番号1093
国連品名ACRYLONITRILE,STABILIZED
国連危険有害性クラス3
副次危険6.1
容器等級J
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質該当する
国内規制
海上規制情報船舶安全法に従う。
航空規制情報航空法に従う。
陸上規制情報消防法、道路法に従う。
特別安全対策移送時にイエローカードの保持が必要。
輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号131

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
化審法優先評価化学物質
旧第2種監視化学物質
労働安全衛生法変異原性が認められた既存化学物質
作業環境評価基準
危険物・引火性の物
特定化学物質第2類物質、特定第2類物質
名称等を表示すべき危険有害物(法第57条、施行令第18条別表第9)
名称等を通知すべき危険有害物(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
リスクアセスメントを実施すべき危険有害物(法第57条の3)
港則法その他の危険物・引火性液体類
下水道法水質基準物質
航空法引火性液体
道路法車両の通行の制限
毒物及び劇物取締法劇物
劇物
消防法第4類引火性液体、第一石油類非水溶性液体
水質汚濁防止法指定物質
船舶安全法引火性液体類
大気汚染防止法揮発性有機化合物
有害大気汚染物質、優先取組物質
自主管理指針対象物質
海洋汚染防止法危険物
有害液体物質
化学物質排出把握管理促進法(PRTR法)第1種指定化学物質
外国為替及び外国貿易管理法輸入貿易管理令第4条第1項第2号輸入承認品目「2の2号承認」
輸出貿易管理令別表第1の16の項
輸出貿易管理令別表第2
輸出貿易管理令別表第1の4項
特定廃棄物輸出入規制法
(バーゼル法)
廃棄物の有害成分・法第2条第1項第1号イに規定するもの
労働基準法
(疾病、がん原性、etc)
疾病化学物質
土壌汚染対策法特定有害物質
高圧ガス保安法可燃性ガス
毒性ガス

16.その他の情報
参考文献各データ毎に記載した。
[注意] 本SDSはJIS Z7253:2012 に準拠して作成しています。