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安全データシート
(JIS Z7253:2019準拠)
3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン
作成日 2001年03月12日
改訂日 2012年03月30日
改訂日 2021年03月12日
1.化学品等及び会社情報
化学品の名称3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン (3,3'-Dichloro-4,4'-diaminodiphenylmethane)
製品コードR02-B-031
会社名○○○○株式会社
住所東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号03-1234-5678
ファックス番号03-1234-5678
電子メールアドレス連絡先@検セ.or.jp
緊急連絡電話番号03-1234-5678
推奨用途及び使用上の制限防水材・床材・全天候型舗装材用のウレタン樹脂硬化剤 (NITE-CHRIPより引用)

2.危険有害性の要約
GHS分類
分類実施日
(物化危険性及び健康有害性)
R3.3.12、政府向けGHS分類ガイダンス (令和元年度改訂版 (ver2.0)) を使用
JIS Z7252:2019準拠 (GHS改訂6版を使用)
物理化学的危険性-
健康に対する有害性生殖細胞変異原性区分2
発がん性区分1B
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)区分1 (血液)
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)区分2 (血液系、肝臓)
分類実施日
(環境有害性)
平成23年度、国連GHS文書(改訂4版)
環境に対する有害性水生環境有害性 (急性)区分1
水生環境有害性 (長期間)区分1
GHSラベル要素
絵表示健康有害性環境
注意喚起語危険
危険有害性情報遺伝性疾患のおそれの疑い
発がんのおそれ
血液の障害
長期にわたる、又は反復ばく露による血液系、肝臓の障害のおそれ
水生生物に非常に強い毒性
長期継続的影響によって水生生物に非常に強い毒性
注意書き
 安全対策使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
取扱後はよく手を洗うこと。
この製品を使用するときに、飲食又は喫煙をしないこと。
環境への放出を避けること。
保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
 応急措置ばく露又はばく露の懸念がある場合:医師に連絡すること。
特別な処置が必要である(このラベルの・・・を見よ)。
注) ”…”は、ラベルに解毒剤等中毒時の情報提供を受けるための連絡先などが記載されている場合のものです。ラベル作成時には、”…”を適切に置き換えてください。
漏出物を回収すること。
 保管施錠して保管すること。
 廃棄内容物/容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に依頼して廃棄すること。
他の危険有害性情報なし

3.組成及び成分情報
単一製品・混合物の区別単一製品
化学名又は一般名3,3'-ジクロロ-4,4'-ジアミノジフェニルメタン
別名4,4'-メチレンビス(2-クロロアニリン)
ビス(4-アミノ-3-クロロフェニル)メタン
濃度又は濃度範囲情報なし
分子式 (分子量)C13H12Cl2N2 (267.15)
化学特性 (示性式又は構造式)構造式
CAS番号101-14-4
官報公示整理番号
(化審法)
4-95
官報公示整理番号
(安衛法)
情報なし
分類に寄与する不純物及び安定化添加物情報なし

4.応急措置
吸入した場合空気の新鮮な場所に移し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合汚染された衣服を脱がせる。
洗い流してから水と石鹸で皮膚を洗浄する。
眼に入った場合多量の水で洗い流す (できればコンタクトレンズをはずす)。
飲み込んだ場合口をすすぐ。
医師に連絡すること。
急性症状及び遅発性症状の最も重要な徴候症状吸入: 咳、他の症状については、「経口摂取」参照。
皮膚: 吸収される可能性あり!
眼: 充血。
経口摂取: 頭痛、めまい。
応急措置をする者の保護情報なし
医師に対する特別な注意事項この物質により中毒を起こした場合は、特別の処置が必要であるため、指示のもとに適切な手段をとれるようにしておく。
ばく露の程度によっては、定期検診を勧める。

5.火災時の措置
適切な消火剤水噴霧、乾燥粉末消火剤、二酸化炭素
使ってはならない消火剤棒状注水
特有の危険有害性可燃性。
火災時に、刺激性あるいは有毒なフュームやガスを放出する。
特有の消火方法情報なし
消火を行う者の保護情報なし

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急措置保護手袋/保護衣/保護眼鏡/保護面を着用すること。
状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付完全防護服を使用することとの記載あり)
環境に対する注意事項周辺環境に影響がある可能性があるため、製品の環境中への流出を避ける。
封じ込め及び浄化の方法及び機材こぼれた物質を、ふた付きの容器内に掃き入れる。
湿らせてもよい場合は、粉塵を避けるために湿らせてから掃き入れる。
残留分を、注意深く集める。
地域規則に従って保管処理する。
この物質を環境中に放出してはならない。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策「8. ばく露防止及び保護措置」に記載の措置を行い、必要に応じて保護具を着用する。
安全取扱い注意事項使用前に取扱説明書を入手すること。
全ての安全注意を読み理解するまで取り扱わないこと。
粉じん/煙/ガス/ミスト/蒸気/スプレーを吸入しないこと。
環境への放出を避けること。
裸火禁止。
作業衣を家に持ち帰ってはならない。
接触回避「10. 安全性及び反応性」を参照。
衛生対策この製品を使用する時に、飲食又は喫煙しないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
保管
安全な保管条件施錠して保管すること。
密封し、排水管や下水管へのアクセスのない場で貯蔵する。
安全な容器包装材料国連危険物輸送勧告で規定された容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
許容濃度については日本産衛学会の「許容濃度の勧告」及びACGIHの「TLVs and BEIs」について記載しています。
管理濃度0.005mg/m3
許容濃度
日本産衛学会 (2020年度版)未設定
ACGIH (2020年版)TLV-TWA: 0.01 ppm, 0.11 mg/m3
(Inhalable fraction and vapor)
(Skin; BEI)
設備対策粉じんが発生する作業所においては、必ず密閉された装置、機器又は局所排気装置を使用する。
保護具
呼吸用保護具状況に応じた適切な呼吸用保護具を使用すること。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器を使用することとの記載あり)
手の保護具保護手袋を着用する。
眼の保護具保護眼鏡や保護面を着用する。(ICSCには、安全ゴーグルまたは顔面シールドを着用することとの記載あり)
皮膚及び身体の保護具保護衣 (化学防護服) を着用する。(ICSCには、漏洩物処理時に自給式空気呼吸器付完全防護服を使用することとの記載あり)

9.物理的及び化学的性質
物理的状態
物理状態固体 (20℃、1気圧) (GHS判定)
無色または淡褐色
臭いかすかなアミン臭
融点/凝固点110℃ (ICSC (2013))
沸点、初留点及び沸騰範囲202℃で分解する (ICSC (2013))
可燃性可燃性 (HSDB (Access on April 2020))
爆発下限界及び爆発上限界/可燃限界該当しない
引火点該当しない
自然発火点該当しない
分解温度202℃ (ICSC (2013))
pH弱アルカリ性 (HSDB (Access on April 2020))
動粘性率該当しない
溶解度水:14 mg/L (20℃) (GESTIS (Access on April 2020))
ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミドに可溶 (HSDB (Access on April 2020))
n-オクタノール/水分配係数log Kow = 3.91 (HSDB (Access on April 2020))
蒸気圧3.9E-006 mmHg (25℃) (est) (HSDB (Access on April 2020))
密度及び/又は相対密度1.44 g/cm3 (ICSC (2013))
相対ガス密度該当しない
粒子特性データなし

10.安定性及び反応性
反応性「危険有害反応可能性」を参照。
化学的安定性情報なし
危険有害反応可能性200℃以上で分解する。
塩化水素および窒素酸化物を含む、有毒で腐食性のフュームを生じる。
強酸、強塩基およびアルカリ土類金属と反応する。
避けるべき条件混触危険物質との接触
混触危険物質強酸、強塩基、アルカリ土類金属
危険有害な分解生成物塩化水素および窒素酸化物を含む、有毒で腐食性のフューム

11.有害性情報
急性毒性
経口【分類根拠】
(1) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50 (OECD TG 423、GLP試験): > 2,000 mg/kg (SIAR (2014)、既存点検結果 (Access on May 2020))

【参考データ等】
(2) ラットのLD50: 2,100 mg/kg (ACGIH (7th, 2019))
(3) ラットのLD50: 750 mg/kg (ACGIH (7th, 2019))
(4) ラットのLD50: 1,140 mg/kg (HSDB (Access on April 2020))
経皮【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) ラットのLD50: > 2,000 mg/kg (SIAR (2014)、AICIS IMAP (2014))
(2) ウサギのLD50: > 5,000 mg/kg (ACGIH (7th, 2019))
(3) ウサギのLD50: > 5,000 mg/kg (HSDB (Access on April 2020))
吸入: ガス【分類根拠】
GHSの定義における固体であり、区分に該当しないとした。
吸入: 蒸気【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
吸入: 粉じん及びミスト【分類根拠】
データ不足のため分類できない。
皮膚腐食性及び皮膚刺激性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。

【根拠データ】
(1) 本物質はモルモットの皮膚を軽微に刺激する (ACGIH (7th, 2019)、CERI有害性評価書 (2005)、AICIS IMAP (2014)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。
(2) OECD Draft TGに準拠した人工皮膚モデルを用いたin vitro皮膚刺激性試験において、適用15分後の細胞生存率はそれぞれ135%であり、非刺激物と判定されている (SIDS Dossier (2014)、REACH登録情報 (Access on June 2020))。
眼に対する重篤な損傷性又は眼刺激性【分類根拠】
(1)〜(3) より、区分に該当しないとした。新たなデータが得られたことにより、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 本物質はウサギの眼に対し、軽度の結膜刺激を示すが、角膜及び虹彩には影響を与えない (ACGIH (7th, 2019)、CERI有害性評価書 (2005)、AICIS IMAP (2014)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。
(2) OECD TG 437に準拠し、ウシ角膜を用いたin vitro眼損傷性試験 (BCOP) において、平均刺激性スコア (IVIS) は8.1であり、区分1は否定された (SIDS Dossier (2014)、REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(3) Federal Register, August 16, 1961に準拠したウサギを用いた眼刺激性試験で、非刺激物と判定された (SIDS Dossier (2014))。
呼吸器感作性【分類根拠】
データ不足のため、分類できない。
皮膚感作性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分に該当しないとした。新しいデータ (1) が得られたことから分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) TG 429に準拠したマウス局所リンパ節試験 (LLNA) において、陰性と判定された (AICIS IMAP (2014)、REACH登録情報 (Access on June 2020))。
(2) 本物質はモルモットに対して感作性を示さない (ACGIH (7th, 2019)、CERI有害性評価書 (2005)、AICIS IMAP (2014)、GESTIS (Access on May 2020)、HSDB (Access on May 2020))。
生殖細胞変異原性【分類根拠】
(1)、(2) より、区分2とした。

【根拠データ】
(1) in vivoでは、マウス (骨髄) の小核試験で陽性 (CERI有害性評価書 (2005)、ATSDR (2017))、マウス(赤血球) の小核試験で陰性、ラット (骨髄、末梢血リンパ球) の小核試験で陰性 (ATSDR (2017))、ラット(末梢血リンパ球) の姉妹染色分体交換試験で陽性 (CERI有害性評価書 (2005)、ATSDR (2017))。ラットのDNA付加体形成試験 (肝臓、腎臓、肺、膀胱、リンパ球) で陽性、ラットのDNA一本鎖切断試験 (コメットアッセイ) で、肺及び肝臓で陽性、腎臓で陰性の報告がある (ATSDR (2017))。
(2) in vitroでは、細菌の復帰突然変異試験、哺乳類培養細胞の遺伝子突然変異試験で陽性、(CERI有害性評価書 (2005)、ATSDR (2017))。哺乳類培養細胞の染色体異常試験で陰性、不定期DNA合成試験で陽性、形質転換試験で陽性、姉妹染色分体交換試験で陽性、陰性の報告がある (CERI有害性評価書 (2005)、ATSDR (2017))。哺乳類培養細胞のDNA損傷試験で陽性の報告がある (ATSDR (2017))。
発がん性【分類根拠】
(1) の既存分類結果において、IARCはヒトでの疫学的証拠は不十分 (inadequate evidence) であるが、(2) の職業ばく露における遺伝毒性の強い証拠及び (3) の実験動物での結果からグループ1とした。しかし、IARCの2012年分類以降の他機関による分類結果からは、IARCのグループ1の評価は支持されない。ヒトでの発がん性について限定的な証拠すら得られていない現時点では、他機関の分類結果に基づき区分1Bとするのが妥当と考えられた。新たな分類結果等の情報 ((1) のACGIH、NTP、MAK (DFG)) の追加により、分類結果を変更した。

【根拠データ】
(1) 国内外の分類機関による既存分類では、IARCでグループ1 (IARC 100F (2012))、産衛学会で第2群A (産衛学会発がん分類の提案理由書 (2012))、ACGIHでA2 (ACGIH (7th, 2019))、NTPでR (Reasonably anticipated to be human carcinogens) (NTP RoC (14th, 2016))、EU CLPでCarc.1B (EU CLP分類 (Access on April 2020))、MAK (DFG) で2 (DFG List of MAK and BAT Values 2019) に分類されている。
(2) 本物質は芳香族アミンの典型的な性質を多く有し、ヒトにおいてDNA反応中間体への代謝活性化、DNA付加体形成、変異原性及び染色体異常誘発影響を含む遺伝毒性を有する。本物質にばく露した作業者の尿路上皮では本物質がDNAとの相互作用による付加体形成が、また作業者の血中にはヘモグロビンとの相互作用により付加体形成が認められた。さらに、ばく露作業者の尿路上皮細胞とリンパ球における姉妹染色分体交換 (SCE) と小核の出現頻度の増加がみられた (IARC 100F (2012))。
(3) 雌雄のラットに本物質を2年間混餌投与した試験で、肺の腺腫症及び腺がんの発生率の有意な増加に加え、胸膜中皮腫、肝細胞腺腫や腺がんの発生がみられ、雄ラットに本物質の塩酸塩を18ヵ月間混餌投与した試験では、肺の腫瘍、乳腺の腺がん、ジンバル腺のがん及び肝細胞がんの発生率に有意な増加が認められた (IARC 100F (2012))。さらに、雌雄のマウスに本物質の塩酸塩を18ヵ月間混餌投与した試験では、雌で肝細胞がんの発生率に有意な増加が認められた (IARC 100F (2012))。

生殖毒性【分類根拠】
(1) より、生殖能に影響はみられていないが、催奇形性を含む児の発生に対する影響についてはデータが不十分であり、分類できないとした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) において、親動物毒性 (血液、肝臓への影響) 用量においても生殖能及び児の発生に影響はみられていない (既存点検結果 (Access on May 2020))。
特定標的臓器毒性 (単回ばく露)【分類根拠】
(1)、(2) より、ガイダンス値区分1の用量範囲で血液系に対する影響が示唆される。したがって、区分1 (血液) とした。

【根拠データ】
(1) イヌを用いた反復経口投与試験で試験開始1日目に10 mg/kg/day 以上の群で血中のメトヘモグロビン濃度が上昇し、40及び80 mg/kg/day 以上の群で虚弱、嘔吐、蒼白、チアノーゼが現れ、少量を連日投与によりメトヘモグロビン血症と大球性貧血を起こしたとの記述がある (ACGIH (7th, 2019))。
(2) ラットを用いた強制経口投与による急性毒性試験 (OECD TG 423) において、300 mg/kg (区分1の範囲) の1例で耳介及び四肢の暗調化、2,000 mg/kg (区分2の範囲) で耳介及び四肢の暗調化、飲水行動の亢進、自発運動減少、呼吸数減少、異常歩行 (失調性歩行)、死亡例1例で呼吸深大、粗毛を伴い2日後に死亡がみられている。死亡例の剖検では、肝臓の白色巣、副腎の暗赤色、胃の暗赤色巣、空腸から回腸の暗赤色内容物がみられた (既存点検結果 (Access on May 2020)、SIAR (2014))。
特定標的臓器毒性 (反復ばく露)【分類根拠】
(1) より、腎臓、血液系、肝臓に影響がみられた。腎臓の影響については軽微な影響と考えられた。したがって、区分2 (血液系、肝臓) とした。

【根拠データ】
(1) ラットを用いた強制経口投与による反復投与毒性・生殖発生毒性併合試験 (OECD TG 422) (雄: 42日間投与、雌: 42〜55日間投与) において、10 mg/kg/day (90日換算: 4.7 mg/kg/day、区分1の範囲) 以上の雄で腎臓の好塩基性尿細管、脾臓のヘモジデリン沈着の増加傾向、雌で血清総タンパク及びアルブミンの減少、腎臓相対重量増加、50 mg/kg/day (90日換算: 23.3 mg/kg/day、区分2の範囲) の雌雄で流涎、メトヘモグロビン濃度の増加、赤血球減少、肝臓の小葉中心性肝細胞腫大、小葉中間帯性脂肪変性、雄で血色素濃度、Htの減少、網状赤血球数及び血小板数の増加、総タンパク及びアルブミンの減少、総コレステロール、トリグリセライド及び無機リンの増加、肝臓の絶対及び相対重量増加、脾臓の相対重量増加、肝臓の小葉中心性単細胞壊死、雌で妊娠後期体重の低値、ハインツ小体保有赤血球の増加、LDH及びγ-GTPの増加、A/G比の減少、脾臓の絶対及び相対重量増加、肝臓及び甲状腺の相対重量増加、脾臓のヘモジデリン沈着の増加傾向、脾臓の髄外造血増加がみられた (既存点検結果 (Access on May 2020)、SIAR (2014))。
誤えん有害性*【分類根拠】
データ不足のため分類できない。

12.環境影響情報
生態毒性
水生環境有害性 (急性)甲殻類 (オオミジンコ) の48時間EC50 = 0.250 mg/L (NITE初期リスク評価書 (2005)) から、区分1とした。
水生環境有害性 (長期間)慢性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく (4週間でのBODによる分解度:0% (既存点検 (1978))) 、甲殻類 (オオミジンコ) の21日間NOEC = 0.0095 mg/L (環境省生態影響試験 (2001) 他)) であることから、区分1となる。 慢性毒性データが得られていない栄養段階に対して急性毒性データを用いた場合、急速分解性がなく (4週間でのBODによる分解度:0% (既存点検 (1978))) 、魚類 (メダカ) の96時間LC50 = 0.606 mg/L (環境省リスク評価第7巻 (2009)) であることから、区分1となる。 以上の結果から、区分1とした。
オゾン層への有害性当該物質はモントリオール議定書の附属書に列記されていない。

13.廃棄上の注意
残余廃棄物廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を委託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装容器は洗浄してリサイクルするか、関連法規制並びに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
本物質のGHS分類結果に基づく国際規制の分類等は、以下の通りと推定されるが、該否は製品によって異なる場合がある。輸送危険物の分類は、容器等級を含め、荷送人が責任をもって判断することとされているため、輸送の際には、個々の貨物について、製品の状態、形状等も考慮し、輸送モード (航空、船舶) を規制する法規に沿って事業者が判断する必要がある。
国際規制
国連番号3077
国連品名ENVIRONMENTALLY HAZARDOUS SUBSTANCE, SOLID, N.O.S.
国連危険有害性クラス9
副次危険-
容器等級L
海洋汚染物質該当する
MARPOL73/78附属書K及びIBCコードによるばら積み輸送される液体物質-
国内規制
海上規制情報船舶安全法の規定に従う。
航空規制情報航空法の規定に従う。
陸上規制情報-
特別な安全上の対策-
その他 (一般的) 注意輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
重量物を上積みしない。
緊急時応急措置指針番号*171
* 北米緊急時応急措置指針に基づく。米国運輸省が中心となって発行した「2016 Emengency Response Guidebook (ERG 2016)」(一般社団法人日本化学工業協会によって和訳されている(発行元:日本規格協会)に掲載されている。

15.適用法令
法規制情報は作成年月日時点に基づいて記載されております。事業場において記載するに当たっては、最新情報を確認してください。
労働安全衛生法作業環境評価基準(法第65条の2第1項)【17 3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン】
特定化学物質第2類物質、特定第2類物質(特定化学物質障害予防規則第2条第1項第2,3号)【19 3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン】
特定化学物質特別管理物質(特定化学物質障害予防規則第38条3)【19 3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン】
特殊健康診断対象物質・現行取扱労働者(法第66条第2項、施行令第22条第1項)【3 3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン】
特殊健康診断対象物質・過去取扱労働者(法第66条第2項、施行令第22条第2項)【15 3,3´−ジクロロ−4,4´−ジアミノジフエニルメタン】
名称等を表示すべき危険物及び有害物(法第57条第1項、施行令第18条第1号、第2号別表第9)【242 3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン】
名称等を通知すべき危険物及び有害物(法第57条の2、施行令第18条の2第1号、第2号別表第9)【242 3,3′−ジクロロ−4,4′−ジアミノジフェニルメタン】
危険性又は有害性等を調査すべき物(法第57条の3)
作業場内表示義務(法第101条の4)
化学物質排出把握管理促進法 (PRTR法)第1種指定化学物質(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)【160 3,3’−ジクロロ−4,4’−ジアミノジフェニルメタン】
毒物及び劇物取締法-
化学物質審査規制法旧第2種監視化学物質(旧法第2条第5項)【旧番号6 4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン(別名4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン))(平成23年4月1日をもって廃止)】
旧第3種監視化学物質(旧法第2条第6項)【旧番号76 4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン(別名4,4’−メチレンビス(2−クロロアニリン))(平成23年4月1日をもって廃止)】
優先評価化学物質(法第2条第5項)【255 4,4’−ジアミノ−3,3’−ジクロロジフェニルメタン】
航空法有害性物質(施行規則第194条危険物告示別表第1)【【国連番号】3077 環境有害物質(固体)】
船舶安全法有害性物質(危規則第3条危険物告示別表第1)【【国連番号】3077 環境有害物質(固体)】
大気汚染防止法有害大気汚染物質に該当する可能性がある物質(中央環境審議会第9次答申)【238 4,4−メチレンビス(2−クロロアニリン)】

16.その他の情報
参考文献
9項、11項については各データ毎に記載。その他の各項については以下を参照。
NITE化学物質総合情報提供システム (NITE-CHRIP)
International Chemical Safety Cards (ICSC)
Hazardous Substances Data Bank (HSDB)
GESTIS Substance database (GESTIS)
ERG 2016版 緊急時応急措置指針−容器イエローカードへの適用