製品安全データシート
クロロアセチル=クロリド
作成日2002年12月17日
改定日2006年10月17日

1.化学物質等及び会社情報
化学物質等の名称: クロロアセチル=クロリド
製品コード: ○○○
会社名: ○○○○株式会社
住所: 東京都△△区△△町△丁目△△番地
電話番号: 03−1234−5678
緊急連絡電話番号: 03−1234−5678
FAX番号: 03−1234−5678
メールアドレス:
推奨用途及び使用上の制限: 医薬・染料中間体、クロロアセチル化剤

2.危険有害性の要約
GHS分類
物理化学的危険性 火薬類 分類対象外
可燃性・引火性ガス 分類対象外
可燃性・引火性エアゾール 分類対象外
支燃性・酸化性ガス 分類対象外
高圧ガス 分類対象外
引火性液体 区分外
可燃性固体 分類対象外
自己反応性化学品 分類対象外
自然発火性液体 区分外
自然発火性固体 分類対象外
自己発熱性化学品 区分外
水反応可燃性化学品 分類対象外
酸化性液体 分類対象外
酸化性固体 分類対象外
有機過酸化物 分類対象外
金属腐食性物質 分類できない
人健康有害性 急性毒性(経口) 区分3
急性毒性(経皮) 区分3
急性毒性(吸入:気体) 分類対象外
急性毒性(吸入:蒸気) 区分2
急性毒性(吸入:粉じん) 分類対象外
急性毒性(吸入:ミスト) 分類できない
皮膚腐食性・刺激性 区分2
眼に対する重篤な損傷・眼刺激性 区分2A
呼吸器感作性 分類できない
皮膚感作性 分類できない
生殖細胞変異原性 分類できない
発がん性 分類できない
生殖毒性 分類できない
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露)
区分1(呼吸器)
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露)
区分1(呼吸器)
吸引性呼吸器有害性 分類できない
環境有害性 水生環境急性有害性 分類できない
水生環境慢性有害性 分類できない
絵表示又はシンボル: どくろ 健康有害性
注意喚起語: 危険
危険有害性情報: 飲み込むと有毒(経口)
皮膚に接触すると有毒(経皮)
吸入すると生命に危険(蒸気)
皮膚刺激
強い眼刺激
呼吸器の障害
長期又は反復ばく露による呼吸器の障害
注意書き: 【安全対策】
適切な保護手袋、保護衣を着用すること。
適切な呼吸用保護具を着用すること。
適切な保護眼鏡、保護面を着用すること。
ミスト、蒸気、スプレーを吸入しないこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。
【応急措置】
直ちに、すべての汚染された衣類を脱ぐこと、又は取り除くこと。
取り扱った後、手を洗うこと。
飲み込んだ場合、口をすすぐこと。
皮膚に付着した場合、多量の水と石鹸で洗うこと。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
吸入した場合、被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
眼に入った場合、水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
飲み込んだ場合、直ちに医師に連絡すること。
吸入した場合、直ちに医師に連絡すること。
皮膚に付着した場合、皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを求めること。
眼に入った場合、眼の刺激が持続する場合は医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
【保管】
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
【廃棄】
内容物、容器を都道府県知事の許可を受けた専門の廃棄物処理業者に業務委託すること。
国・地域情報:

3.組成、成分情報
化学物質
化学名又は一般名: クロロアセチル=クロリド(Chloroacetyl chloride)
別名: モノクロロ酢酸クロライド(Monochloroacetyl chloride)
化学式: C2H2Cl2O
化学特性(化学式又は構造式): 化学式又は構造式
CAS番号: 79-04-9
官報公示整理番号
(化審法・安衛法):
(2)-1147
分類に寄与する不純物及び安定化添加物: 情報なし
濃度又は濃度範囲: 情報なし

4.応急措置
吸入した場合: 被災者を新鮮な空気のある場所に移動し、呼吸しやすい姿勢で休息させること。
直ちに医師に連絡すること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
皮膚に付着した場合: 直ちに、汚染された衣類をすべて脱ぐこと、又は取り去ること。
汚染された衣類を脱ぐこと。
皮膚を速やかに洗浄すること。
多量の水と石鹸で洗うこと。
皮膚刺激が生じた場合、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
汚染された衣類を再使用する前に洗濯すること。
目に入った場合: 水で数分間注意深く洗うこと。次に、コンタクトレンズを着用していて容易に外せる場合は外すこと。その後も洗浄を続けること。
眼の刺激が持続する場合は、医師の診断、手当てを受けること。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
飲み込んだ場合: 直ちに医師に連絡すること。
口をすすぐこと。
気分が悪い時は、医師の手当て、診断を受けること。
予想される急性症状及び遅発性症状: 催涙性。眼を刺激し、皮膚、気道に対して腐食性を示す。経口摂取すると、腐食性を示す。蒸気又はエアロゾルを吸入すると肺水腫を起こすことがある。肺水腫の症状は2〜3時間経過するまで現れない場合が多く、安静を保たないと悪化する。したがって、安静経過観察が不可欠である。
皮膚に触れた場合:吸収される可能性あり。発赤、痛み、重度の皮膚熱傷、水疱。
眼に入った場合:痛み、発赤、かすみ眼、重度の熱傷。
経口摂取 :灼熱感、腹痛、下痢、 ショック又は虚脱。
最も重要な兆候及び症状:

5.火災時の措置
消火剤: 小火災:粉末消火剤、二酸化炭素(シアン化合物は除く)、乾燥砂、耐アルコール性泡消火剤
大火災:散水、噴霧水、耐アルコール性泡消火剤
使ってはならない消火剤: 棒状注水
特有の危険有害性: 加熱あるいは水の混入により容器が爆発するおそれがある。
火災によって刺激性、腐食性及び毒性のガスを発生するおそれがある。
特有の消火方法: 危険でなければ火災区域から容器を移動する。
容器内に水を入れてはいけない。
消火活動は、有効に行える最も遠い距離から、無人ホース保持具やモニター付きノズルを用いて消火する。
消火後も、大量の水を用いて十分に容器を冷却する。
散水によって逆に火災が広がるおそれがある場合には、上記に示す消火剤のうち、散水以外の適切な消火剤を利用すること。
消火を行う者の保護: 消火作業の際は、適切な空気呼吸器、化学用保護衣を着用する。

6.漏出時の措置
人体に対する注意事項、保護具及び緊急時措置: 直ちに、全ての方向に適切な距離を漏洩区域として隔離する。
関係者以外の立入りを禁止する。
作業者は適切な保護具(「8.ばく露防止及び保護措置」の項を参照)を着用し、眼、皮膚への接触やガスの吸入を避ける。
漏洩しても火災が発生していない場合、密閉性の高い、不浸透性の保護衣を着用する。
風上に留まる。
低地から離れる。
密閉された場所は換気する。
環境に対する注意事項: 河川等に排出され、環境へ影響を起こさないように注意する。
環境中に放出してはならない。
回収、中和: 少量の場合、漏洩物は清潔な帯電防止工具を用いて集め、プラスチック容器に入れゆるく覆いをし、後で廃棄処理する。
封じ込め及び浄化の方法・機材: 漏出物を取扱うとき用いる全ての設備は接地する。
危険でなければ漏れを止める。
少量の場合、乾燥土、砂や不燃材料で覆い更にプラスチックシートで飛散を防止し、雨に濡らさない。
二次災害の防止策: すべての発火源を速やかに取除く(近傍での喫煙、火花や火炎の禁止)。
排水溝、下水溝、地下室あるいは閉鎖場所への流入を防ぐ。
容器内に水を入れてはいけない。

7.取扱い及び保管上の注意
取扱い
技術的対策: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の設備対策を行い、保護具を着用する。
局所排気・全体換気: 「8.ばく露防止及び保護措置」に記載の局所排気、全体換気を行う。
安全取扱い注意事項: 接触、吸入又は飲み込まないこと。
空気中の濃度をばく露限度以下に保つために排気用の換気を行うこと。
屋外又は換気の良い区域でのみ使用すること。
取扱い後はよく手を洗うこと。
この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
接触回避: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管
技術的対策: 保管場所には危険物を貯蔵し、又は取り扱うために必要な採光、照明及び換気の設備を設ける。
混触危険物質: 「10.安定性及び反応性」を参照。
保管条件: 酸化剤から離して保管する。
容器を密閉して換気の良い場所で保管すること。
施錠して保管すること。
容器包装材料: 国連輸送法規で規定されている容器を使用する。

8.ばく露防止及び保護措置
管理濃度: 設定されていない。
許容濃度(ばく露限界値、生物学的
ばく露指標):
日本産業衛生学会(2006年版) 設定されていない。
ACGIH(2006年版) TLV-TWA 0.05ppm Skin
TLV-STEL 0.15ppm Skin
設備対策: この物質を貯蔵ないし取扱う作業場には洗眼器と安全シャワーを設置すること。
完全密閉系及び完全密閉装置でのみ取り扱うこと。
気中濃度を推奨された管理濃度・許容濃度以下に保つために、工程の密閉化、局所排気、その他の設備対策を使用する。
高熱工程でミストが発生するときは、空気汚染物質を管理濃度・許容濃度以下に保つために換気装置を設置する。
保護具
呼吸器の保護具: 適切な呼吸器保護具を着用すること。
ばく露の可能性のあるときは、送気マスク、空気呼吸器、又は酸素呼吸器を着用する。
手の保護具: 適切な保護手袋を着用すること。
眼の保護具: 適切な眼の保護具を着用すること。
保護眼鏡(普通眼鏡型、側板付き普通眼鏡型、ゴーグル型)
皮膚及び身体の保護具: 適切な保護衣を着用すること。
適切な顔面用の保護具を着用すること。
しぶきの可能性がある場合は、全面耐薬品性防護服(例えば、酸スーツ)及びブーツが必要である。
衛生対策: この製品を使用する時に、飲食又は喫煙をしないこと。
取扱い後はよく手を洗うこと。

9.物理的及び化学的性質
物理的状態、形状、色など: 無色〜黄色の液体 14)
臭い: 刺激臭 14)
pH: データなし
融点・凝固点: -21.8℃(融点) 1)
沸点、初留点及び沸騰範囲: 106℃(沸点) 1)
引火点: データなし
爆発範囲: データなし
蒸気圧: 2.5 kPa (20℃) 14)
蒸気密度(空気 = 1): 3.9 14)
比重(密度): 1.4 14)
溶解度: 反応する(水) 5)
データなし(有機溶媒)
オクタノール/水分配係数: データなし
自然発火温度: データなし
分解温度: データなし
臭いのしきい(閾)値 データなし
蒸発速度(酢酸ブチル = 1): データなし
燃焼性(固体、ガス):  該当しない
粘度: データなし

10.安定性及び反応性
安定性: 空気に触れると、腐食性のガスを発生する。
加熱すると分解し、ホスゲン、塩化水素などの有毒で腐食性のヒュームを生じる。
危険有害反応可能性: 水、アルコール、金属粉末、多くの有機物と激しく反応し中毒又は火災や爆発の危険をももたらす。
避けるべき条件: 湿気を含む空気。
混触危険物質: 水、アルコール、金属粉末、多くの有機物。
湿気が存在すると大部分の金属は激しく腐食される。
危険有害な分解生成物: 燃焼した時、有害ガス(塩化水素、ホスゲン)を発生する。

11.有害性情報
急性毒性: 経口:ラットを用いた経口投与試験のLD50 120mg/kg 22)、208mg/kg 10) のうち低い値 120mg/kgから区分3とした。
飲み込むと有毒(経口)
経皮:ラットを用いた経皮投与試験のLD50 662mg/kg 22) から区分3とした。
皮膚に接触すると有毒(経皮)
吸入(蒸気):ラットを用いた吸入ばく露試験 (蒸気) のLC50  3.04mg/L(1時間)、3.45mg/L(1時間)、4.619mg/L(4時間) 10) に基づき、計算式を適用してLC50 (4時間換算値)の 330ppm が得られた。飽和蒸気圧 19mmHg(20℃) [換算値 2500Pa(20℃)] 17) における飽和蒸気濃度は 250000ppm である。今回得られたLC50 は、飽和蒸気濃度の90%より低い濃度であるため、「ミストがほとんど混在しない蒸気」として、ppm 濃度基準値で区分2とした。
吸入すると生命に危険(蒸気)
皮膚腐食性・刺激性: ヒトへの健康影響の記述「急性ばく露影響の医学報告:皮膚の紅斑及び火傷;眼の刺激、流涙及び火傷;呼吸困難、チアノーゼ、咳など呼吸への影響;消化管への影響」10) から、区分2とした。
皮膚刺激
眼に対する重篤な損傷・刺激性: ヒトへの健康影響の記述 10)、ラットを用いた眼刺激性試験結果「強度の刺激性」22) より、眼に対して強い刺激性を有すると考えられるため、区分2Aとした。
強い眼刺激
呼吸器感作性又は皮膚感作性: 皮膚感作性:データなし
呼吸器感作性:データなし
生殖細胞変異原性: in vivo 変異原性/遺伝毒性試験データがなく、in vitro 変異原性試験 (復帰突然変異試験、染色体異常試験) で陰性 10) であるため、分類できない。
発がん性: データがなく分類できない。
生殖毒性: データがなく分類できない。
特定標的臓器・全身毒性
(単回ばく露):
ヒトについては、「眼と気道に非常に強い刺激性、流涙、呼吸困難、チアノーゼ、咳など呼吸への影響」 22) 等の記述、実験動物については、「浅呼吸又は努力呼吸、肺及び鼻腔のうっ血」 22) 等の記述があることから、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。
呼吸器の障害
特定標的臓器・全身毒性
(反復ばく露):
実験動物については、「呼吸器系の病理組織学的変化、呼吸器系の肉眼的病変部」22) 等の記述があることから、呼吸器が標的臓器と考えられた。なお、実験動物に対する影響は、区分1に相当するガイダンス値の範囲でみられた。以上より、分類は区分1(呼吸器)とした。
長期又は反復ばく露による呼吸器の障害
吸引性呼吸器有害性: データなし

12.環境影響情報
水生環境急性有害性: データ不足のため分類できない
水生環境急性有害性: データ不足のため分類できない

13.廃棄上の注意:
残余廃棄物: 廃棄においては、関連法規並びに地方自治体の基準に従うこと。
都道府県知事などの許可を受けた産業廃棄物処理業者、もしくは地方公共団体がその処理を行っている場合にはそこに委託して処理する。
廃棄物の処理を依託する場合、処理業者等に危険性、有害性を十分告知の上処理を委託する。
汚染容器及び包装: 容器は清浄にしてリサイクルするか、関連法規ならびに地方自治体の基準に従って適切な処分を行う。
空容器を廃棄する場合は、内容物を完全に除去すること。

14.輸送上の注意
国際規制
海上規制情報 IMOの規定に従う。
UN No.: 1752
Proper Shipping Name: CHLOROACETYL CHLORIDE
Class: 6.1
Sub Risk: 8
Packing Group: I
Marine Pollutant: Not applicable
航空規制情報 Forbidden
国内規制
陸上規制情報 毒劇法の規定に従う。
海上規制情報 船舶安全法の規定に従う。
国連番号: 1752
品名: クロロアセチルクロライド
クラス: 6.1
副次危険: 8
容器等級: I
海洋汚染物質: 非該当
航空規制情報 輸送禁止
特別の安全対策 輸送に際しては、直射日光を避け、容器の破損、腐食、漏れのないように積み込み、荷崩れの防止を確実に行う。
食品や飼料と一緒に輸送してはならない。
重量物を上積みしない。
他の危険物や燃えやすい危険物に上積みしない。
他の危険物のそばに積載しない。
移送時にイエローカードの保持が必要。

15.適用法令
労働安全衛生法: 名称等を通知すべき有害物
(法第57条の2、施行令第18条の2別表第9)
(政令番号 第143号)
化学物質排出把握管理促進法
(PRTR法):
第1種指定化学物質
(法第2条第2項、施行令第1条別表第1)
(政令番号 第70号)
毒物及び劇物取締法: 劇物
(指定令第2条)
船舶安全法: 毒物類・毒物
(危規則第2,3条危険物告示別表第1)
航空法 : 輸送禁止

16.その他の情報
参考文献
1) ICSC (1998)
2) Merck (13th, 2001)
3) IMDG (2004)
4) ホンメル (1991)
5) SRC (2006)
6) HSDB (2005)
7) Lange (16th, 2005)
8) Patty (5th, 2001)
9) IUCLID (2000)
10) ACGIH (7th, 2001)
11) RTECS (2004)
12) HSFS (2000)
13) SITTIG (47th, 2002)
14) ICSC (J)(1998)
15) Chapman (2005)
16) Lange (16th, 2005)
17) NFPA (13th,2001)
18) Howard (1997)
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20) DFGOT vol.3 (1991)
21) Verschueren (4th, 2003)
22) CERIハザードデータ集 2000−53 (2001)
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25) Ullmanns (E) (5th, 1995) A3: p325-327
26) Gangolli vol.1 (1st,1992 ) p456-459
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28) IRIS( 2005)
災害事例
情報なし